日常生活や冠婚葬祭の場で見かける「物故者(ぶっこしゃ)」という言葉。敬意を表す言い回しとして使われる一方、誤用されることも少なくありません。本記事では、物故者の意味や語源、正しい使い方、関連語句などを詳しく解説します。

1. 物故者の意味とは

1.1 基本的な定義

物故者とは「すでに亡くなった人」を意味します。特に、特定の分野や団体などで貢献のあった故人に対して、敬意を込めて用いられる言葉です。

1.2 読み方と表記

「物故者」は「ぶっこしゃ」と読みます。日常会話ではあまり使われない語ですが、文章や式典ではよく登場します。

2. 物故者という言葉の由来と成り立ち

2.1 「物故」の語源

「物故」は古典的な表現で、「物にして故(ゆえ)ある者」、つまり「亡くなった者」を指す漢語表現です。故人や逝去と同様、死を直接的に表現しない配慮のある言葉です。

2.2 「者」の意味合い

「者」は人を指す語であり、「物故者」となることで、「亡くなった人」を指す熟語として成立しています。

3. 物故者の使い方と使われる場面

3.1 式典・表彰・追悼の場での使用

功労者を追悼する式典や会議で、「物故者への黙祷」や「物故者一覧」といった形で使われます。

3.2 公文書や報告書での使用

公的な書類や報告書、社史や団体記録でも、「過去に所属していた物故者」として名前が挙げられます。

3.3 日常での使用には注意が必要

あまりカジュアルな場で使う言葉ではないため、日常会話では「亡くなった方」「故人」などの表現のほうが適切です。

4. 類義語との違いと使い分け

4.1 「故人」との違い

「故人」は親しみや個人的な関係性を持つ人に使われるのに対し、「物故者」はより公的・客観的な場で使われます。

4.2 「逝去者」との違い

「逝去者」はやや丁寧な言い方で、特定の文脈で使用されることがありますが、「物故者」は団体や社会的枠組みの中での使用が多いです。

4.3 「亡くなった人」との違い

「亡くなった人」は一般的で日常的な表現である一方、「物故者」は儀礼や文書上での使用が基本です。

5. 物故者の表記に関する注意点

5.1 誤読や誤変換に注意

「ぶっこしゃ」と読めない人も多いため、発表資料などではふりがなをつけるのが親切です。また、誤って「没故者」などと書かないよう注意が必要です。

5.2 使用する文脈を考える

追悼や記録目的で使う場合以外は避け、状況や相手に応じて「故人」など柔らかい言い換えを選びましょう。

6. 物故者を記録・表現する意義

6.1 歴史や貢献の記憶を残す

物故者として記録を残すことは、その人の業績や存在を社会の中で正式に評価し、記憶として継承する意味があります。

6.2 哀悼と敬意の表現

単に死を表すのではなく、相手の人生や貢献に敬意を込めた丁寧な表現です。

7. 物故者に関連する文化や習慣

7.1 年忌法要や追悼式

物故者を対象とする年忌や法要では、その人物の名を読み上げたり、黙祷や献花を行ったりすることがあります。

7.2 卒業アルバムや名簿での記載

学校や団体の名簿において、物故者として注釈をつけて記録されることも多く、亡き人への配慮が見られます。

8. まとめ

物故者とは、亡くなった人を丁寧に、敬意をもって指す言葉です。主に公的・儀礼的な場面で使われ、誤用や場違いな使い方には注意が必要です。この言葉の背景や使い方を正しく理解することで、より適切で敬意ある言語表現が可能になります。

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