ビジネスメールや書面でよく使われる「頂戴いたしました」という言い回し。丁寧でフォーマルな印象を与える一方で、使い方や言い換えが適切でないと、違和感を持たれてしまうこともあります。本記事では、「頂戴いたしました」の意味や使い方、注意点、言い換え表現、さらに具体的なメール例文まで詳しく解説します。

1. 「頂戴いたしました」の意味と役割

1.1 「頂戴いたしました」は謙譲語

「頂戴いたしました」は、「もらう」「受け取る」の謙譲語であり、相手から何かを受けたことに対して、へりくだって表現する丁寧な言い回しです。書類やメール、贈答品、情報、意見などを受け取った際に用いられます。

例:

「ご送付いただいた資料を確かに頂戴いたしました。」
「お心遣いを頂戴いたし、誠にありがとうございます。」

1.2 ビジネスシーンでの使用頻度が高い理由

「頂戴いたしました」は、フォーマルな場面に適しており、社外とのやりとりや、上司への報告メールなど、丁寧さが求められる場面で頻繁に使われます。相手に敬意を払う姿勢を表現できるため、信頼関係を築くうえでも有効です。

2. よくある使用シーンと注意点

2.1 資料や書類を受け取った時

ビジネスメールでは、相手から送付されたファイルや紙の資料を受け取った報告として「頂戴いたしました」を使います。

例文:

「ご依頼の資料を頂戴いたしました。ありがとうございました。」
「先ほどの会議資料、確かに頂戴いたしました。」

2.2 意見やご提案を受けた時

意見や提案、指摘を受けた際にも「頂戴いたしました」は使えます。感謝の意とともに受け止める姿勢を示すことができます。

例文:

「貴重なご意見を頂戴いたしましたこと、感謝申し上げます。」
「有益なご提案を頂戴し、参考にさせていただきます。」

2.3 誤用に注意:「ご確認を頂戴いたしました」

「確認を頂戴いたしました」のように、動作主体が自分でないと不自然な使い方になることがあります。確認してもらったことを伝える場合は、「ご確認いただき、ありがとうございます」などが適切です。

3. 「頂戴いたしました」の言い換え表現一覧

3.1 拝受いたしました

「拝受いたしました」は、「頂戴いたしました」と同様に受け取ったことを丁寧に伝える謙譲表現です。特にフォーマルな文面や、お礼の気持ちを込めたいときに向いています。

例:

「ご送付いただいた書類、確かに拝受いたしました。」

3.2 受け取りました

「受け取りました」は、「頂戴いたしました」よりもカジュアルな表現で、社内や親しい関係性の相手に使うのが自然です。

例:

「お送りいただいた資料、受け取りました。ありがとうございます。」

3.3 いただきました

「いただきました」もまた、柔らかく丁寧な言い方ですが、「頂戴いたしました」ほど堅くなく、日常的なビジネスメールに適しています。

例:

「ご連絡いただきました件、確認いたしました。」

3.4 確認いたしました

状況によっては、「確認いたしました」と端的に表現した方が明瞭な場合もあります。「頂戴いたしました」はあくまで受け取ったという事実を伝える表現なので、その後のアクション(確認した、対応した)を明示することも重要です。

4. 「頂戴いたしました」を使った例文

4.1 社外宛て:資料送付に対する返信

件名:資料の受領について
本文:
〇〇株式会社
〇〇様

いつも大変お世話になっております。
ご送付いただきました〇〇の資料、確かに頂戴いたしました。
内容を拝見し、改めてご連絡させていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

4.2 社内宛て:上司からの情報共有に対して

件名:〇〇の件、受領のご報告
本文:
部長

お疲れ様です。
ご共有いただきました〇〇に関する資料、頂戴いたしました。
ありがとうございます。内容確認の上、明日の会議でご報告いたします。

4.3 お礼のニュアンスを込めるパターン

件名:お心遣いありがとうございます
本文:
〇〇様

いつも大変お世話になっております。
このたびは、お心遣いを頂戴いたし、誠にありがとうございました。
今後とも末永くお付き合いいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

5. 「頂戴いたしました」を使う際のポイントと注意

5.1 相手との関係に応じて表現を使い分ける

社外や目上の方には「頂戴いたしました」「拝受いたしました」
社内やフラットな関係性なら「いただきました」「受け取りました」
このように言い換え表現を適切に使い分けることが、ビジネスマナーとして重要です。

5.2 多用を避け、文脈に合った表現を選ぶ

「頂戴いたしました」は丁寧な表現であるがゆえに、何度も繰り返すとくどくなってしまいます。内容に応じて表現を調整し、読み手の印象にも気を配りましょう。

5.3 動作の主体に注意

たとえば「ご確認を頂戴いたしました」のように、相手の行動(確認)を「頂戴する」とすると文法的に不自然になります。自分が受け取る動作に限って使うようにしましょう。

6. まとめ:「頂戴いたしました」は万能ではない

「頂戴いたしました」は、丁寧で謙譲の意を表す美しい日本語です。しかし、どんな場面でも使える万能表現ではありません。相手との関係性や文脈、言葉の重複に配慮して使い分けることで、より洗練されたビジネスコミュニケーションが可能になります。日々のメールや会話の中で自然に使いこなせるよう、ぜひ本記事の例文や言い換え表現を参考にしてみてください。

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