「親御様」は、主に子どもの保護者やそのご家族を敬意をもって呼ぶときに使う表現です。しかし、敬語が重なり不自然とされるケースもあり、正しい使い方を知っておくことが重要です。本記事では、意味や例文、注意点まで丁寧に解説します。
1. 「親御様」とは?意味と使われる場面
1-1. 「親御様」の語源と成り立ち
「親御様」は「親」に敬意を表す「御(ご)」、さらに尊敬を強める「様」をつけた形です。「親御」自体がすでに尊敬語であるため、「様」をつけると二重敬語とされることがありますが、実際の使用では定着しています。
1-2. 主に使われるシーン
・学校や塾など教育現場での保護者への連絡
・冠婚葬祭や案内状などフォーマルな文書
・病院・施設での家族説明時など
2. 「親御様」の基本的な使い方
2-1. 書面や案内文での使い方
例:
「ご多忙の中、親御様におかれましては本校の方針にご理解・ご協力を賜り、誠にありがとうございます。」
→フォーマルな文脈では非常に丁寧で好印象を与えます。
2-2. 口頭でのあいさつ・対応時
例:
「本日はお子様とご一緒に親御様もご来校いただき、誠にありがとうございます。」
→初対面やあいさつ時に丁寧な印象を与える表現です。
2-3. 子どもに対して保護者の話をする場合
例:
「ご家庭で、親御様と一緒にこの内容を復習してみてくださいね。」
→教師や指導者として配慮ある表現が求められるシーンで活躍します。
3. 「親御様」の類語とその使い分け
3-1. 「保護者様」との違い
「保護者様」は教育や医療、行政文書で用いられるより硬い表現です。「親御様」は柔らかく温かみのある言葉として、学校行事や案内文など親しみを込めたい場面に適しています。
3-2. 「ご両親様」や「お父様・お母様」
個別に話す場合は「お父様」「お母様」などを使うほうが自然です。「親御様」はやや集合的・総称的な言葉として便利ですが、相手に応じて変えるのが望ましいです。
3-3. 「親御」との違い
「親御」は十分丁寧な表現ですが、「様」を付けることでさらに敬意を強めるニュアンスになります。文書では「親御様」、会話では「親御」でも失礼には当たりません。
4. 「親御様」を使う際の注意点
4-1. 二重敬語との指摘を受けることがある
「御」と「様」の両方が敬語のため、「親御様」は二重敬語にあたるという意見があります。ただし、実務上は定着しており、使用は一般的です。違和感を抱く相手には「保護者様」などで言い換えるのが無難です。
4-2. 敬語が過剰にならないようにする
例:「親御様におかれましては~なさっていただけますと幸いです」
→敬語を重ねすぎると読みづらく、意味が伝わりにくくなります。バランスの取れた文章構成を意識しましょう。
4-3. 同一文書内で表現を統一する
文書内で「親御様」「保護者様」「ご両親」などを混在させると、読み手に違和感を与えるため、表現を統一しましょう。
5. シーン別「親御様」の例文集
5-1. 学校から保護者へ
「親御様におかれましては、日頃より本校の教育方針にご理解とご支援を賜り、深く感謝申し上げます。」
5-2. 塾や習い事のご案内
「今後の進路相談について、親御様とも個別に面談の機会を設けております。」
5-3. 医療機関・施設での説明
「親御様のご意向も踏まえたうえで、今後の治療方針を検討してまいります。」
5-4. 冠婚葬祭の挨拶文
「ご親族・親御様をはじめ、ご関係の皆様に深く感謝申し上げます。」
6. 使い分けが求められるケース
6-1. カジュアルな案内文では「親御様」よりも「保護者各位」
広範な文書、特に通知文では「親御様」ではなく「保護者各位」の方が格式に合う場合もあります。
6-2. 相手が祖父母や後見人の場合
「親御様」だと実親を限定してしまう場合があるため、「保護者様」や「ご家族様」などの表現に置き換えることが適切です。
6-3. 他社宛て文書・案内では使用を控える場合も
営業やビジネスパートナーに対する案内文では、「親御様」はやや内輪感があるため「保護者様」「ご家族様」など汎用性のある表現が望まれます。
まとめ
「親御様」は、子どもを持つ方への敬意を込めたやわらかい表現であり、学校や施設での連絡・挨拶文などに適しています。ただし、敬語が重複するため、場面に応じて「保護者様」「ご両親様」との使い分けが大切です。文脈や相手の属性に配慮して、自然で丁寧な表現を心がけましょう。