ビジネスメールや報告書、会議資料など、日常業務の中で「なお」という言葉を目にする機会は多いものです。しかし、その使い方を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。本記事では、「なお」の正しい意味や使い方、類語との違い、具体的なビジネス文書での活用例を丁寧に解説していきます。

1. 「なお」の基本的な意味と役割

1-1. 「なお」の意味とは?

「なお(尚)」は、日本語で補足説明や条件の追加、あるいは別の側面を提示する際に用いられる副詞です。主に「そのうえに」「加えて」「ちなみに」といった意味合いを持ちます。

1-2. 使われる場面と目的

「なお」は、話し手や書き手が伝えたい主文に対して、追加情報を自然に伝えるための橋渡しの役割を果たします。文脈を滑らかにし、論理的な流れを保つのに非常に便利な表現です。

2. ビジネスシーンでの「なお」の使い方

2-1. 補足情報を加えるときの「なお」

たとえば、会議の案内メールで以下のように使われます。

会議は10時から開始いたします。なお、資料は事前にメールで配布しておりますのでご確認ください。
この例では、主文の後に補足情報として「資料配布」について伝えています。

2-2. 注意喚起をするときの「なお」

ご返信は4月20日までにお願いいたします。なお、期限を過ぎた場合は対応いたしかねますのでご注意ください。
このように、「なお」は注意点や重要な補足事項を強調する場面でもよく使用されます。

2-3. 別の視点を示すときの「なお」

本件については、現在調査を進めております。なお、別部署では既に類似の対応を完了しております。
このように別の部門や立場からの情報を示す際にも有効です。

3. 「なお」の言い換え表現

3-1. 「ちなみに」

カジュアルな印象を与えるため、社内のフランクなやり取りには向いていますが、フォーマルなビジネスメールにはやや不向きです。

本件は既に対応済みです。ちなみに、別件については来週ご報告いたします。

3-2. 「加えて」

やや堅めの表現ですが、「なお」と同様に補足や追加情報を述べる際に使えます。

資料は添付いたしました。加えて、来週の会議で口頭でもご説明いたします。

3-3. 「そのうえ」

強調したいときや、より積極的なトーンで追加説明をするときに効果的です。

当製品はコストを削減できます。そのうえ、導入も非常に簡単です。

4. 「なお」を使う際の注意点

4-1. 主文との関係を意識する

「なお」で始まる文は、前文とのつながりがあってこそ意味を成します。したがって、「なお」の前後の文が関連していることを常に意識しましょう。

4-2. 頻用しすぎない

便利な言葉ではありますが、多用すると文章がくどくなったり、単調な印象を与えたりします。他の言い換え表現とバランスよく使うことが大切です。

4-3. 口頭表現ではやや堅い印象も

「なお」は文章では自然ですが、会話ではやや硬い印象を与えることがあります。対面の会話では「それと」「ちなみに」といった表現の方が適している場合もあります。

5. ビジネスメールでの使用例

5-1. お礼とお詫びのメール

この度は貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。なお、当日の資料については添付ファイルをご参照ください。

5-2. 提案書送付メール

ご依頼の件につき、以下に提案書をお送りいたします。なお、ご不明点がございましたらお気軽にお申し付けください。

5-3. 納期確認メール

商品は4月25日に発送予定でございます。なお、納品日が変更となる場合は別途ご連絡申し上げます。

6. 「なお」を使った自然なビジネス文章の書き方

「なお」を効果的に使うには、以下のポイントを押さえましょう。

主文を完結させたうえで「なお」で始める
補足・注意・別視点のいずれかの意図が明確になっている
読み手にとって自然な流れを意識する
文章構成の中で「なお」が自然に収まるように設計することで、相手への伝わり方が格段に良くなります。

7. まとめ

「なお」はビジネス文書において非常に便利で、上品かつ明確に補足や注意点を伝えることができる表現です。ただし使いすぎには注意が必要で、他の言い換え表現とうまく組み合わせることで、より読みやすく説得力のある文章を作ることが可能です。ぜひ本記事を参考に、正しく「なお」を活用し、伝わるビジネス文書を目指してみてください。
また、「なお」という言葉は文頭で使うことが多いですが、文中や文末で使っても違和感はありません。例えば「資料は配布済みで、なお説明は当日行います」といったように、文全体の流れを意識して配置することで、文章の自然さと読みやすさが格段に向上します。繰り返し練習することで使いこなせるようになります。ビジネスメールにおいては、「なお」の前後に適切な接続語を添えることで、丁寧さや明確さが増します。「そのため」「または」などと組み合わせると、文章全体に一貫性が生まれ、読み手に配慮した印象を与えることができます。

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