「ご都合をつけていただき」という表現は、ビジネスシーンでよく使われるフレーズですが、適切に使うことで、相手に対する礼儀を示すことができます。今回は、この表現がどのような場面で使われ、どのように返信するのがベストなのか、具体的な使い方を詳しく解説します。ビジネスマナーを守りながら、スムーズなコミュニケーションを目指しましょう。
1. 「ご都合をつけていただき」の意味と使い方
「ご都合をつけていただき」とは?
「ご都合をつけていただき」という表現は、相手に対して「日程や時間の調整をしていただけますか?」という依頼の意図を丁寧に伝えるための敬語表現です。とくにビジネスの場では、会議や打ち合わせ、商談、面接など、日程の都合をお願いする場面が頻繁に発生します。そのようなときにこのフレーズを使うことで、直接的な言い方を避けつつ、相手に対する敬意や配慮の気持ちを丁寧に表現できます。
また、「ご都合をつけていただき」は、依頼ではありながらも柔らかく控えめな響きがあるため、相手に圧力を与えることなく予定の調整をお願いできるのが特徴です。「調整してほしい」とストレートに言うよりも、相手の立場を考慮した、思いやりのある表現として受け取られることが多く、ビジネスコミュニケーションでは非常に重宝されます。
使うべき場面
「ご都合をつけていただき」は、相手のスケジュールに配慮しながら丁寧に依頼をしたい場面で使用されるのが一般的です。以下のようなシチュエーションでは、この表現を自然に取り入れることができます:
・会議や打ち合わせの日程調整の際
・採用面接や面談の日取りを再設定する必要がある場合
・商談のスケジュールを変更したいとき
・講演会やセミナー、イベントなどへの参加を依頼する際
・顧客訪問や社外同行の依頼をするとき
こういった場面では、単に「空いていますか?」と聞くよりも、「ご都合をつけていただき」というフレーズを使うことで、相手の予定に対する敬意を示しつつ、柔らかくお願いができます。とくに相手が目上の方である場合や、まだ関係構築の途中にある取引先などには、より丁寧な印象を与える表現として効果的です。
また、ただ使用するだけでなく、文脈やタイミングによって「お忙しいところ恐れ入りますが」や「可能であれば」などの前置きや補足を加えると、より丁寧で気遣いのある依頼になります。このように、「ご都合をつけていただき」は、ビジネスにおける信頼関係の構築にも一役買う重要なフレーズといえるでしょう。
2. 「ご都合をつけていただき」を使う際のポイント
丁寧にお願いする
「ご都合をつけていただき」という表現は、もともと丁寧な敬語表現ではありますが、それだけで完結してしまうと、場合によっては機械的な印象や形式的な印象を与えてしまうこともあります。特にビジネスシーンにおいては、相手との関係性や状況に応じて、さらに丁寧な前置きやクッション言葉を添えることで、より一層配慮のある表現になります。
たとえば、「お手数をおかけしますが」や「お忙しいところ恐縮ですが」、「ご多用中恐れ入りますが」などの一文を添えることで、相手の時間や労力に対してきちんと配慮している姿勢が伝わります。こうしたひと言があることで、相手に「こちらの立場を理解してくれている」という安心感を与えることができ、円滑なやりとりにもつながります。
また、メールでのやり取りでは、あえて一文目に挨拶と共に感謝の意を示し、二文目でお願いするという構成にすると、さらに印象が良くなります。たとえば「いつもお力添えいただきありがとうございます。さて、会議日程についてご都合をつけていただきたく、ご連絡差し上げました。」のような流れが自然です。
具体的な日時を提案する
「ご都合をつけていただき」とだけ伝えても、相手にとっては「いつを想定しているのか」が分からず、返信を後回しにされてしまう可能性があります。ビジネスではスピーディーな意思決定や調整が求められるため、曖昧な表現ではやり取りが長引き、非効率になってしまうことも。
そのため、具体的な候補日や時間帯を提示し、その中から選んでもらう形をとるのがベストです。たとえば、「○月○日(火)の14時または○月○日(水)の午前中でご都合をつけていただけますでしょうか?」のように複数の選択肢を提示することで、相手にとっても判断しやすくなります。
加えて、選択肢を提示する際には「ご都合の良い日時をご指定いただくことも可能です」と一言添えることで、柔軟性のある対応が伝わり、より印象がよくなります。これにより、調整のスムーズさと相手への配慮を両立させることができます。
相手の都合に配慮する
日程やスケジュールをお願いするという行為自体が、相手の貴重な時間を頂戴することになるため、「ご都合をつけていただき」という表現を使用する際には、相手の都合を最優先に考える姿勢が不可欠です。
この際に意識したいのが、「ご無理なさらずに」や「ご都合のつく範囲で構いません」といったクッション表現を併せて使うことです。これにより、相手が「無理に調整しなければならない」というプレッシャーを感じずに済みます。特に相手が多忙であることが分かっている場合は、そういった一言が大きな印象の差につながります。
また、相手の職位や立場によっては、より一歩引いた言い方が求められる場合もあります。「可能でございましたらご調整いただけますと幸いです」や「ご都合のよろしい日程をご教示いただければ幸いです」といった間接的な表現を用いると、より控えめで配慮ある印象を与えることができます。
このように、「ご都合をつけていただき」は単独で使うのではなく、前後の言葉選びによってその印象が大きく変わります。相手にストレスを与えず、配慮をもって日程調整を依頼するための重要な要素として活用しましょう。
3. 「ご都合をつけていただき」を使った具体的な例文
会議の日程調整の例
○○様
お世話になっております。△△株式会社の□□でございます。
このたび、次回の定例会議につきまして日程の調整をお願いしたく、ご連絡差し上げました。
恐れ入りますが、以下の候補日の中で、ご都合をつけていただけるお時間がございましたらお知らせいただけますでしょうか。
・○月○日(曜日) 午後2時〜
・○月○日(曜日) 午前10時〜
もしご都合がつかない場合は、別途ご都合のよろしい日時をご教示いただけますと幸いです。
ご多用のところ大変恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
△△株式会社
□□
面接の日時変更の例
○○様
お世話になっております。△△株式会社の□□でございます。
先日ご案内させていただきました面接の件につきまして、急な事情により日程の再調整が必要となりました。誠に申し訳ございません。
つきましては、以下の日時のいずれかでご都合をつけていただくことは可能でしょうか。
・○月○日(曜日) 午後3時〜
・○月○日(曜日) 午前11時〜
上記以外でご都合の良いお時間がございましたら、遠慮なくお申し付けください。
お忙しい中、お手数をおかけいたしますが、ご調整のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
△△株式会社
□□
イベント参加の依頼例
○○様
いつも大変お世話になっております。△△株式会社の□□でございます。
このたび、弊社主催のイベントを○月○日(曜日)に開催する運びとなりました。ぜひご参加賜りたく、お願い申し上げます。
ご多忙の中恐縮ではございますが、以下の候補日程にてご都合をつけていただけますでしょうか。
・○月○日(曜日) 午後4時〜
・○月○日(曜日) 午前9時〜
ご参加いただける場合は、可能な日時をお知らせいただけますと幸いです。ご無理のない範囲でご検討いただければと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
△△株式会社
□□
4. よくある間違いと適切な表現
適切な敬語を使用する
「ご都合をつけていただき」の表現は非常に丁寧ですが、場合によっては他の敬語を使う方が自然なこともあります。例えば、「お手数ですが」や「お忙しいところ恐れ入りますが」など、相手の状況に応じて適切な表現を加えることで、より礼儀正しい印象を与えることができます。
あいまいな表現を避ける
「ご都合をつけていただき」の後に、あいまいな表現を使ってしまうと、相手にとっては調整が難しく感じることがあります。具体的な日時を示すことで、相手に選択肢を与えつつスムーズに調整を進めることができます。
5. 【まとめ】「ご都合をつけていただき」を使いこなそう
「ご都合をつけていただき」という表現は、ビジネスメールや会話の中でよく使われる非常に重要なフレーズの一つです。相手の都合を優先しながら、具体的な日時や行動をお願いする場面で頻繁に登場します。この表現を適切に使いこなすことは、ビジネスコミュニケーションにおいて円滑で効率的なやり取りを実現するために非常に役立ちます。正しい使い方をマスターし、相手に対する配慮をしっかりと示すことで、信頼関係を築きながら、必要な調整をスムーズに行うことが可能になります。
また、敬語を適切に使いながら、相手に負担をかけず、柔軟に対応できる姿勢を見せることで、よりスムーズで協力的なコミュニケーションが実現します。具体的な提案を行い、相手の都合に配慮した表現を心がけることで、双方にとって満足のいく結果を得ることができるでしょう。このように、ビジネスにおける「ご都合をつけていただき」という表現を使いこなすことは、日常的な業務において非常に重要なスキルとなります。