「委細承知いたしました」は、ビジネスシーンで使われる敬語表現の一つで、相手からの依頼や説明、要望などの詳細をすべて理解し、了承したことを伝えるフレーズです。ここでは、その意味や使い方、具体的な例文などを詳しく解説します。
「委細承知いたしました」の意味
1. 「委細」とは何か
「委細(いさい)」は、「事の詳細」「細かい部分に至るまで」といった意味を持つ言葉です。つまり「委細承知いたしました」とは、「細かい点まで含めて、すべて理解しました」というニュアンスを伝える表現となります。
2. 「承知いたしました」で敬意を込める
「承知いたしました」は、「分かりました」をさらに丁寧にした謙譲語にあたる表現です。「いたしました」を使うことで、自分の行為(理解したこと)を低め、相手への敬意を示します。そのため、「委細」と組み合わせることで、「細部にわたる内容まですべて把握しました」という、よりフォーマルなイメージを与えられます。
3. 使われるシチュエーション
- 取引先からの依頼内容をまとめて理解したことを示す場合
- 上司やクライアントから伝えられた細かい指示を了承するとき
- 会議や打ち合わせで、多数の情報を一括で受け取り整理できたことを伝えたい場合
たとえば、相手が複数の条件や細かい要望を列挙してきた際に、「すべて理解しましたよ」という意思を丁寧に伝えるときに重宝します。
ビジネスシーンでの使い方
1. メールや文書での使用例
ビジネスメールでは、相手が複雑な要望や複数のポイントをまとめて伝えてきた際に、以下のように書くことができます。
件名:○○プロジェクトに関するご連絡(株式会社△△・山田)
株式会社○○ 営業部 佐藤様
いつもお世話になっております。株式会社△△の山田です。
先ほどお送りいただきました仕様変更のご依頼内容、委細承知いたしました。
早速、社内チームと調整のうえ、来週中を目処に再度スケジュール案を作成し、ご連絡いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社△△ 商品企画部 山田太郎
TEL 000-0000-0000
この例文では、相手から提示された仕様変更の「細かい点まで把握しました」というニュアンスを、「委細承知いたしました」で示しています。その後に具体的な対応(再度スケジュール案を作成)を伝え、スムーズな進行を促しています。
2. 口頭での使用例
会議や打ち合わせ、電話でのやり取りなどでも使いやすい表現です。
「ただいまのご説明、委細承知いたしました。では、各部署に展開し、来週のミーティングまでに方針をまとめてまいります。」
こうすることで、口頭でも「細部まで理解している」という姿勢をアピールできます。
使うときの注意点
1. 相手や場面を選ぶ
「委細承知いたしました」は比較的フォーマルな言い回しです。社内のフランクなやり取りや、親しい同僚とのチャットなどではやや堅苦しく感じられるかもしれません。相手や場面を見極め、カジュアルな場面では「詳細承知いたしました」「内容をすべて把握しました」など、もう少し柔らかい表現を使うとよいでしょう。
2. 実際に細かい内容まで把握する
「委細承知いたしました」と伝える以上、本当に相手の要望や指示を詳細に理解している必要があります。分からない点や未確認の情報があるのに、うっかり使ってしまうと、後から相手に「理解していなかったのでは?」と疑念を抱かれかねません。理解が不十分な場合は、「不明点がいくつかありますので確認させてください」のように質問を添えるのが誠実です。
3. 後続のアクションをきちんと示す
「承知しました」だけで終わると、ただ理解しただけで次に何をするのかが相手に伝わりません。ビジネスでは、認識を揃えたあとに「いつまでにどんな対応をするのか」「どのような手順で進めるか」を伝えることが重要です。「委細承知いたしました。早速、××の準備を行い、○○日までにご連絡いたします」というように、後続のアクションを添えましょう。
他の表現との比較
1. 承知いたしました
「委細承知いたしました」のうち「委細」を省略した形です。細かい部分まで理解したというニュアンスが薄まり、よりシンプルで汎用的な表現になります。相手の指示がそれほど複雑でない場合や、カジュアルなやり取りではこちらを使ったほうが自然です。
2. かしこまりました
「承知いたしました」と同様に敬語表現ですが、さらにへりくだった印象を与えます。接客業やサービス業など、お客様に対して深い敬意を示す場面でよく使われます。詳細を理解したかどうかというより、「はい、わかりました」「了解しました」という感触に近いです。
3. 全て理解しました/全て把握いたしました
「委細承知いたしました」と同じニュアンスですが、ややカジュアルな表現。細部まできちんと目を通して理解しているというニュアンスは同じです。相手との距離感に応じて使いやすい言い回しを選ぶとよいでしょう。
まとめ
「委細承知いたしました」は、相手からの要求や説明などを「細かいところまで理解しました」という意味をしっかり伝えたいときに便利な敬語表現です。ビジネスメールや会議でのやり取りなど、フォーマルな場面で使うと、誠実で丁寧な印象を相手に与えられます。
- 「委細」という言葉が「事の詳細」や「細部」という意味を持つ点が最大の特徴
- 本当に細部まで把握しているときに使うことで、余計な疑念を招かない
- 状況によっては「承知いたしました」「全て把握しました」など、柔らかい表現に切り替える
このように、相手や場面に合わせて表現を調整しながら、「委細承知いたしました」のフレーズを上手に活用しましょう。後続のアクション(何を、いつまでに、どのように行うか)も併せて示すと、よりスムーズで信頼されるビジネスコミュニケーションに繋がるはずです。