「棚に上げる」という表現は日常会話やビジネスシーンでもよく使われますが、その正確な意味や由来については知らない人も多いです。この記事では「棚に上げる」の意味や使い方、類語、注意点まで幅広く解説します。

1. 「棚に上げる」とは?基本的な意味

「棚に上げる」とは、自分の過ちや問題点などを一時的に無視したり、見て見ぬふりをすることを意味します。たとえば、相手の欠点を指摘しながらも自分の同じ欠点については触れないようにする行為が「棚に上げる」です。

この表現は、議論や会話の中で問題点を先送りにしたり、自分の非を隠すために使われることが多いです。一般的には否定的なニュアンスを持ちます。

2. 「棚に上げる」の由来と語源

2.1 物理的な「棚」に由来する説

「棚に上げる」は、文字通り「棚の上に物を置く」イメージから来ています。つまり、問題や課題を「棚の上」に置いてしまい、目の届かない場所に追いやるという意味合いです。

この比喩から、問題を一時的に脇に置いて考えないことを指すようになりました。

2.2 昔の生活様式との関係

昔の日本の家庭や店では、使わない物や一時的に処理しない物を棚の上に置いておく習慣がありました。これが言葉として定着し、問題を先送りにする意味に発展したと考えられています。

3. 「棚に上げる」の具体的な使い方と例文

3.1 日常会話での使い方

たとえば、友人が「君は遅刻が多いくせに、人のことはよく言うね」と言った場合、「それは君がいつも遅刻することを棚に上げているからだよ」と返すことができます。

このように、自分や相手の非を指摘する際に使われます。

3.2 ビジネスシーンでの使い方

職場での会議や議論で、「Aさんは他部署のミスを指摘しているが、自分のチームの問題を棚に上げている」と使うケースがあります。相手の欠点を指摘しつつ、自分の欠点を見過ごす行為を表現しています。

4. 「棚に上げる」の類語と似た表現

4.1 類語一覧

「見て見ぬふりをする」

「問題を先送りにする」

「無視する」

「片付けない」

これらは状況によって「棚に上げる」と似たニュアンスで使われますが、ニュアンスの強さや対象が多少異なります。

4.2 他の慣用句との違い

例えば「目をつぶる」や「手をこまねく」も似た意味ですが、「棚に上げる」は特に自分の非や問題を隠す意味が強いのが特徴です。

5. 「棚に上げる」を使う際の注意点

5.1 相手を批判するときのリスク

この表現は相手の行動や態度を否定的に指摘するため、使い方を間違えるとトラブルの原因になります。ビジネスや公の場で使う際は相手の感情を考慮し、言い方に注意が必要です。

5.2 自分の非を認める重要性

「棚に上げる」ことが常態化すると、問題解決が遅れ信頼を失う可能性があります。自己反省を忘れずに、適切なタイミングで問題と向き合うことが大切です。

6. 「棚に上げる」に関するよくある誤解

6.1 単なる「後回し」との違い

単に「後回しにする」とは違い、「棚に上げる」は自分の責任や非を隠す意図が含まれることが多い点が特徴です。

6.2 ポジティブな意味で使われることは少ない

時には建設的な意味で「一旦棚に上げて考える」という使い方もありますが、基本的には否定的な意味で使われることがほとんどです。

7. まとめ

「棚に上げる」は自分や他人の問題点を見ないふりをしたり、責任から逃れる行為を表す慣用句です。由来は生活の中の「棚に置く」行動から来ており、日常会話やビジネスシーンでもよく使われます。使う際は相手に誤解を与えないよう注意が必要であり、自己反省の大切さも忘れてはいけません。

正しい理解と使い方を身につけることで、円滑なコミュニケーションに役立ててください。

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