「拝命」は、上司や組織から任務や役職などを“いただいた”ことを丁寧に表現する敬語です。新たな役職就任時の挨拶文やメール、社内外への自己紹介など、フォーマルな文脈で使われます。本記事では、「拝命」の意味や使い方、言い換え、使用例、注意点についてわかりやすく解説します。

1. 「拝命」の意味

1. 語義と構造

「拝命」は、「命(めい)を拝する」、すなわち「任命・命令をありがたく頂戴する」という意味の謙譲語です。「命じられることを、ありがたくいただきます」というニュアンスを含みます。

2. 使用される場面

・役職就任のご挨拶や報告文
・社内外向けのメール・案内文
・取材対応や講演の紹介文
・ビジネス文書や公的文書のフォーマルな表現として

2. 「拝命」の使い方

1. 基本の文型

「〇〇を拝命いたしました」や「〇〇の任を拝命し、」の形で使われます。

2. フォーマルな文脈で使用

例文:
「このたび、営業部長を拝命いたしました田中と申します。」
「新規プロジェクトの責任者を拝命し、身の引き締まる思いです。」

3. 自己紹介や異動挨拶に

例文:
「令和〇年〇月より、〇〇部の部長職を拝命いたしました。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」

3. ビジネス文書での使用例

1. 就任挨拶文

平素より大変お世話になっております。
このたび〇〇部〇〇課長の職を拝命いたしました、〇〇と申します。
微力ではございますが、精一杯努めてまいりますので、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

2. 社外へのメール

件名:【ご報告】役職就任のご挨拶
本文:
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
このたび、〇〇株式会社にて営業部次長を拝命いたしました〇〇と申します。
皆様のご期待に沿えるよう、邁進してまいりますので、今後とも変わらぬご指導ご支援を賜れますようお願い申し上げます。

3. 自己紹介スピーチ

「このたび、〇〇プロジェクトの統括マネージャーを拝命いたしました。〇〇と申します。責任の重さを痛感しておりますが、成功に向け全力を尽くしてまいります。」

4. 言い換え表現

1. 担当いたします

ややカジュアルで社内向きの表現。
例:「来月より、〇〇の業務を担当いたします。」

2. お引き受けいたしました

依頼や任命に応じた際の柔らかな表現。
例:「今回の役割をお引き受けいたしました。」

3. 任命されました

受動的かつ事実の報告を重視する場面で使用。
例:「〇〇部長に任命されました〇〇です。」

4. ご用命を受けました

業務や役割の依頼を受けた場合に使える丁寧な表現。
例:「今回の業務についてご用命を受けました。」

5. 使用上の注意点

1. 目上の人や公式な文脈でのみ使用

「拝命」は非常に丁寧かつ改まった表現なので、カジュアルな場面や社内のやり取りなどには不向きです。

2. 自分以外には使わない

「拝命」は謙譲語であり、自分自身が役職や任務を“いただいた”ことを伝えるため、他人の役職について「拝命した」と表現するのは誤用になります。

3. 「就任」との違いに注意

「拝命」は任命されること、「就任」は実際にその職に“つく”ことを意味します。使い分けが求められるシーンもあります。
例:
正:「〇〇部長を拝命いたしました」
正:「〇月より〇〇部長に就任いたします」

まとめ

「拝命」は、役職や任務をありがたくいただくことを意味する謙譲語で、就任のあいさつや報告に適した非常に丁寧な表現です。主に社外への正式な通知や自己紹介の場面で使われ、誠実さと責任感を伝える効果があります。カジュアルな表現や社内文では適切な言い換えを用い、場に応じた言葉選びを意識することが大切です。正しく使うことで、相手に信頼と敬意を感じさせる表現として活用できます。

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