ビジネスメールやフォーマルな挨拶文で見かける「おかれましても」という表現。格式を感じさせる言葉ですが、意味や使い方が曖昧なまま使われていることも少なくありません。本記事では、「おかれましても」の正しい意味、使われる場面、自然な使い方、具体例、注意点について詳しく解説します。

1. 「おかれましても」の基本的な意味

1. 基本的な意味

「おかれましても」とは、「その立場においても」「その状況においても」という意味を持つ表現です。相手の状況や立場を尊重しながら話を進めるために使われ、敬意を込めて相手の立場を慮るニュアンスが含まれています。

2. 「おかれる」の敬語表現

「置かれる」という動詞の尊敬語が「おかれる」であり、それに「ましても」が付くことで、さらに相手を立てながら状況に言及する形になります。

2. 「おかれましても」が使われる主な場面

1. 相手の状況に配慮する場合

例:「ご多忙のおかれましても、迅速にご対応いただきありがとうございます。」

2. 挨拶やお礼の言葉の中で

例:「貴社におかれましても、ますますのご発展をお祈り申し上げます。」

3. 招待や依頼を断る際の丁寧な表現

例:「ご配慮いただきましたが、私どもにおかれましても都合がつかず、今回は失礼させていただきます。」

3. 「おかれましても」の自然な使い方と例文

1. 感謝を伝える場合

例:「ご多忙のおかれましても、弊社のためにお時間を割いていただき、誠にありがとうございました。」

2. 相手の立場を尊重する場合

例:「貴職におかれましても、今後ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。」

3. 苦境にある相手に対して使う場合

例:「ご事情厳しき中におかれましても、変わらぬご支援を賜り、心より感謝申し上げます。」

4. 依頼文に添える場合

例:「ご多用のおかれましても、何卒ご対応賜りますようお願い申し上げます。」

4. 「おかれましても」の言い換え表現

1. そのような状況においても

わかりやすく表現したいときに使えます。
例:「ご多忙の状況においてもご尽力いただき、ありがとうございます。」

2. ご多用にもかかわらず

時間的な余裕がないことへの配慮を示す表現です。
例:「ご多用にもかかわらず、早急にご対応いただき感謝いたします。」

3. 厳しい状況下においても

苦境にある相手に使う表現です。
例:「厳しい状況下においてもご尽力賜り、深く御礼申し上げます。」

4. このような状況下におかれても

より丁寧な言い回しです。
例:「このような状況下におかれても、変わらぬご支援に感謝申し上げます。」

5. 「おかれましても」を使う際の注意点

1. 過度な多用を避ける

文章の中で何度も「おかれましても」を使用すると、くどい印象を与える恐れがあります。適度な頻度で使うよう意識しましょう。

2. 相手の状況を正確に理解する

例えば、相手が特別忙しくない状況で「ご多忙のおかれましても」と使うと、違和感を与えることがあります。相手の状況に即した使い方を心がけましょう。

3. 形式ばかりに頼らない

「おかれましても」は便利な敬語表現ですが、常に自然な感謝や配慮の気持ちを込めた文章を意識することが重要です。

6. ビジネスメール・文書での使用例

1. 挨拶文での使用例

本文:
拝啓 春暖の候、貴社におかれましても益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

2. 感謝文での使用例

本文:
ご多忙のおかれましても、〇〇プロジェクトに多大なるご協力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

まとめ

「おかれましても」という表現は、ビジネスにおいて相手の立場や状況に敬意を表しながら丁寧に言葉を添えるために非常に有効です。ただし、形式的になりすぎず、相手の状況に応じた自然な使い方を心がけることが大切です。「ご多用にもかかわらず」などの言い換えも適宜活用し、信頼感を高めるビジネスコミュニケーションを実現しましょう。

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