「とのこと」という表現は、誰かから聞いた話を伝えるときに使われる非常に便利な日本語です。日常会話では違和感なく使えますが、ビジネスシーンではより丁寧でフォーマルな言い換え表現を使うことで、相手に与える印象が大きく向上します。本記事では、「とのこと」の意味、ビジネスでの適切な言い換え例、具体的な使い方、注意点について詳しく解説します。
1. 「とのこと」の基本的な意味
1.1 意味
「とのこと」とは、
「誰かの発言や情報を受け取って、それを第三者に伝えるときの表現」
です。
話し手自身の意見ではなく、「他者から聞いた話」を伝えるニュアンスを持っています。
1.2 主な使用シーン
- 会議や報告書で、上司や取引先の意向を伝える
- メールで他部署の担当者の回答を伝える
- 打ち合わせ内容をまとめて共有する
例
「担当者によれば、来週までに完了するとのことです。」
「部長からは了承いただけたとのことでした。」
2. ビジネスシーンで使える「とのこと」の言い換え表現
2.1 との旨
よりフォーマルで書き言葉に適した表現です。
文書やビジネスメールに使うと、格式を感じさせます。
例
「先方より、納期の延長を希望するとの旨、連絡がありました。」
2.2 というご連絡をいただきました
直接的に「連絡を受けた」ことを表現するため、丁寧な印象を与えます。
例
「担当者より、明日までに資料を提出するというご連絡をいただきました。」
2.3 とのご意向です
相手の意思や希望を伝える場合に使う表現です。
例
「お客様からは、キャンセルをご希望とのご意向をいただいております。」
2.4 と伺っております
少し距離を置きつつ、丁寧に情報を伝える言い回しです。
断定を避けたいときにも便利です。
例
「先方では、検討中であると伺っております。」
2.5 と承っております
目上の人や正式な場面で使える、より格式高い表現です。
例
「社長からは、方針変更のご指示をいただいたと承っております。」
3. ビジネスメールや報告書での例文集
3.1 案件進捗に関する報告
件名:〇〇プロジェクト進捗について
本文
〇〇様
お疲れ様です。△△部の□□でございます。
本件について、担当者より「今週中に完了予定」とのご連絡をいただきました。
完了次第、改めてご報告いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
3.2 お客様からの依頼内容を伝える場合
件名:ご依頼事項の共有
本文
〇〇様
いつもお世話になっております。
先ほどお客様より、「仕様変更を希望するとのご意向」を伺いました。
詳細については別途ご連絡いたしますので、今しばらくお待ちください。
3.3 会議内容のまとめ連絡
件名:本日会議の議事録(要約)
本文
関係各位
お疲れ様です。
本日の会議において、次回納期は〇月〇日とすることで合意したとの旨、議事録にまとめました。
詳細は添付ファイルをご参照ください。
4. 会話やチャットでの自然な使い方
4.1 口頭での一言
「先方は、来週中に返答するとのご意向のようです。」
「部長からは、特に問題ないとのことでした。」
4.2 社内チャットやメッセージで
「〇〇さんから、明日提出で問題ないとの連絡がありました。」
「営業部長より、予算案を修正するとのご指示を承っています。」
5. 使用時の注意点
5.1 相手のニュアンスを正確に伝える
「とのこと」とまとめると、発言の意図やニュアンスがぼやける可能性があります。
重要な内容はできるだけ「具体的に」「正確に」伝えることを意識しましょう。
5.2 距離感を調整する
「とのこと」は若干カジュアルな印象を持つため、
フォーマルな文脈では「との旨」「と承っております」など、より丁寧な言い換えを使うほうが無難です。
5.3 二重敬語にならないよう注意
例:「承りましたとのことです」などは、敬語を重ねすぎて違和感を与えます。
敬語表現は一度で完結させるのが自然です。
6. まとめ
「とのこと」は、他者の発言や情報を伝える便利な表現ですが、ビジネスでは「との旨」「というご連絡をいただきました」「とのご意向です」「と伺っております」「と承っております」など、より丁寧な言い換えを使うことで、文章や会話に格調と配慮を加えることができます。
状況や相手に合わせた適切な表現を選び、正確かつ誠実に情報を伝えることを心がけましょう。