「申し受ける」という表現は、ビジネスメールや契約文書などでよく使われる敬語表現のひとつです。日常会話ではあまり耳にする機会が少ないものの、正式な文書や取引に関するやりとりでは非常に重宝されます。この記事では、「申し受ける」の意味、使い方、言い換え表現、例文、使用時の注意点を詳しく解説します。
1. 「申し受ける」の意味
1-1. 基本の意味
「申し受ける」とは、相手から物事を受け取る、または承諾することを、謙譲の意味を込めて表現する言葉です。
「申し」は「言う」「申し上げる」の謙譲語、「受ける」は「受け取る」という意味で、合わせて「謙虚に受け取る」というニュアンスになります。
1-2. 使用される主な場面
・商品や料金、申込書などを受け取るとき
・注文・依頼・申し込みを受けたとき
・正式な取引成立の受領を伝えるとき
・ビジネス文書や契約関係でのやりとり
2. 実際の使用例
2-1. ビジネスメールでの例文
・ご注文につきまして、確かに申し受けました。
・本日、お申込み書類を申し受けましたので、ご報告申し上げます。
2-2. 契約書・見積書での使用例
・代金は、納品時に申し受けるものといたします。
・サービス利用にあたり、初期費用を申し受けます。
2-3. 口頭での使用例
・本件につきましては、担当部署にて申し受けました。
・ご意見、ご要望につきまして、確かに申し受けました。
3. 丁寧な言い換え表現
3-1. 同じ意味を持つ言い換え
・承りました
・お受けいたしました
・お預かりいたしました
・拝受いたしました
3-2. 柔らかい表現にしたい場合
・確かに受け取りました
・お引き受けいたしました
・内容を確認いたしました
3-3. 例文で比較
・ご注文を申し受けました。
→ ご注文を承りました。
→ ご注文をお受けいたしました。
4. 使用時のポイント
4-1. 「申し受ける」はやや堅い表現
ビジネス文書、正式な取引連絡、契約関係などのフォーマルな場面に適した表現です。社内チャットやカジュアルなメールでは「承りました」などに置き換えたほうが自然です。
4-2. 金銭・書類・申込内容などに使う
「申し受ける」は主に形のあるもの(お金・書類・注文内容など)を受け取る場面で使われます。単なる会話のキャッチボールではあまり使用しません。
4-3. 相手に敬意を払う意図を持つ
この表現は相手の申し出を尊重して受け取る気持ちを込めたものです。特に、金銭や正式依頼に対して使うことで、より丁寧で信頼感ある印象を与えます。
5. よくある質問
5-1. 「申し受ける」と「承る」の違いは?
「申し受ける」は物理的なもの(お金・書類・申込)を受け取る際に使うのが一般的です。
「承る」は言葉・依頼・注文を受ける際にも広く使えます。
5-2. 料金案内で「申し受けます」は失礼?
問題ありません。「料金を申し受けます」は、堅実で丁寧なビジネス表現です。ただし、あまり頻繁に使うと固く感じられる場合があるため、柔らかい文面にしたい場合は「お支払いいただきます」なども検討しましょう。
5-3. メールの結びに使える?
使えます。特に、注文・申込を受け付けた旨を丁寧に伝えたい場合、
「ご注文を確かに申し受けました。引き続きよろしくお願いいたします。」などと使うと、誠意のある印象を与えられます。
6. 実践的な文例集
6-1. 社外メールでの例文
・本日、〇〇様よりお申込み書類を申し受けましたので、手続きに入らせていただきます。
・〇月〇日付にて、代金を申し受けましたことをご報告いたします。
6-2. 社内報告での例文
・営業部より、新規顧客からの発注書を申し受けた旨、報告がありました。
・本日付で、クレーム対応についてのご意見を申し受けましたので、担当部署にて対応予定です。
6-3. 契約書・見積書での例文
・本サービスのご利用にあたり、初回登録料として〇〇円を申し受けます。
・オプションサービスの料金は、都度精算にて申し受けるものといたします。
まとめ
「申し受ける」は、相手から正式に物や内容を受け取ることを、謙虚かつ丁寧に表現する言葉です。主にビジネス文書、取引メール、契約書などで使われ、信頼感と礼儀正しさを伝える役割を果たします。状況に応じて「承る」「お受けいたします」などと使い分けながら、より自然でスマートなコミュニケーションを心がけましょう。