「従事してまいりました」は、職務経験や活動を丁寧に表現する敬語です。履歴書や職務経歴書、ビジネスメールで頻繁に使われる表現ですが、正しい使い方や文脈を理解していないと誤解を招くこともあります。この記事では、意味・使い方・言い換え・注意点までを丁寧に解説します。
1. 「従事してまいりました」とは?意味と背景
1.1 「従事する」の意味
「従事する」とは、ある仕事や活動に深く関わりながら取り組むことを指します。「〇〇に従事する」という形で使い、「業務に携わっている」ことを表現する敬語表現です。
1.2 「してまいりました」の敬語的意味合い
「まいりました」は、「来ました」の謙譲語で、自分の行動をへりくだって述べる言い回しです。「従事してまいりました」とすることで、丁寧で控えめに自己の業務経験を語る表現になります。
例文:
「これまで営業職として、法人営業に従事してまいりました。」
2. 「従事してまいりました」の使用シーン
2.1 履歴書や職務経歴書
就職活動や転職時の書類作成において、「従事してまいりました」はよく使われます。具体的な職務内容と合わせて使用することで、読み手にしっかりとした印象を与えることができます。
例文:
「株式会社〇〇にて、販売業務および店舗マネジメントに従事してまいりました。」
2.2 面接・自己紹介
面接などの口頭での自己紹介でも、「従事してまいりました」はフォーマルな場面に適した表現です。やや硬めの表現のため、真面目さや誠実さが伝わりやすくなります。
2.3 ビジネスメール・報告書
プロジェクトの報告や業務の進捗に関するメール・文書でも使用されます。
例文:
「本件については、これまでA社様向けの企画運営に従事してまいりました。」
3. より伝わる表現のポイント
3.1 主語と目的を明確にする
「従事してまいりました」だけでは何に関わってきたかが不明瞭になる場合があります。具体的な業務やプロジェクト名を加えることで、読み手に伝わりやすくなります。
悪い例:
「〇〇に従事してまいりました。」
良い例:
「医療機器の営業活動に従事してまいりました。」
3.2 成果や工夫も併せて記載する
単に「従事してきた」だけではアピールになりづらいため、その中でどんな成果を出したか、工夫した点は何かも補足すると良い印象を与えられます。
例:
「新規開拓営業に従事してまいりました。特に中小企業向けの商材提案を強化し、前年比120%の受注件数を達成いたしました。」
4. 言い換え表現とその使い分け
4.1 「携わってまいりました」
「従事してまいりました」とほぼ同義で使えますが、「携わる」は若干ソフトな印象を持ち、関与の範囲が広い表現です。チーム業務などにも適しています。
例:
「企画立案からプロモーションまでの一連のマーケティング業務に携わってまいりました。」
4.2 「担当しておりました」
よりカジュアルかつ具体的な言い方で、日常の会話や柔らかい文脈に適しています。
例:
「私は主に法人営業を担当しておりました。」
4.3 「経験してまいりました」
業務の種類が多岐にわたる場合や、幅広い経験をまとめて伝えたいときに便利です。
例:
「多様な業界のお客様と接する中で、顧客対応の経験を積んでまいりました。」
5. 注意したい誤用・違和感のある使い方
5.1 時制のずれに注意する
「従事してまいりました」は現在完了的な意味を持ちます。過去の話をする際には、「従事しておりました」と時制を合わせる必要があります。
× 誤例:3年前に退職した会社について「従事してまいりました」
○ 正例:3年前まで「従事しておりました」
5.2 曖昧な業務内容に使わない
「従事してまいりました」は少し堅い表現のため、業務内容が曖昧なままでは不自然な印象を与えることもあります。常に「何を」にあたる部分をセットにして記載しましょう。
6. よくある質問と回答
6.1 Q:「従事してまいりました」は謙譲語ですか?
A:「従事する」は敬語ではありませんが、「まいりました」が謙譲語であるため、全体としては丁寧な敬語表現になります。ビジネスでも十分通用します。
6.2 Q:履歴書に毎回「従事してまいりました」と書いていいの?
A:繰り返し使うと単調な印象になるため、「携わってまいりました」「担当しておりました」「従事しておりました」などと適宜言い換えながら使用すると良いです。
6.3 Q:「従事させていただきました」は使える?
A:「従事する」は使役ではないため「させていただく」との相性がやや不自然です。基本的には「従事してまいりました」か「従事しておりました」が無難です。
7. まとめ
「従事してまいりました」は、自分の職務経験や業務歴を丁寧に伝えるうえで非常に便利な表現です。履歴書や面接、ビジネスメールなど多くの場面で使用可能ですが、内容の具体性や文脈に注意して使うことで、相手に誠実さと信頼感を伝えることができます。また、他の言い回しと上手に組み合わせることで、表現に幅を持たせることができます。適切に使いこなし、説得力ある自己表現を目指しましょう。