「周知いたします」という表現は、ビジネスシーンや公的な場で「皆に知らせる」という意味を丁寧に伝える言葉です。組織内のメールや会議でのアナウンス、マニュアルの更新や取引先への連絡など、複数の相手にまとめて情報を伝えたい場合に効果的です。正しく使えば、相手へ敬意を示しつつ必要事項を広く告知できるため、スムーズなコミュニケーションに役立ちます。ここでは、その意味や使い方、注意点などを分かりやすく解説していきます。

1. 「周知いたします」の基本的な意味

「周知」は「広く知れ渡らせること」を表す言葉です。そこに謙譲語の「いたします」を付けて「周知いたします」とすることで、「皆にしっかりとお知らせします」という丁寧な言い回しになります。社内向けの通達や社外への公式な連絡など、フォーマルなシーンで特に適しています。

2. 使うメリット

まず、丁寧な印象を与えられる点が挙げられます。「周知します」よりも改まった響きがあり、相手への敬意を示しながら情報を伝えることができます。次に、伝えたい内容を「組織や関係者全員へ向けたお知らせ」としてしっかりアピールできるのも特長です。これにより、受け手は「これは私に関係のある情報だ」と認識しやすくなります。

3. 具体的な使い方

3-1. 社内メールや文書での例

件名: 新しい勤務スケジュールについて
本文:
各位
このたび、人事部より新たな勤務スケジュールが発表されましたので周知いたします。詳細は添付ファイルをご確認ください。ご不明な点やご意見がありましたら、人事部までご連絡をお願いいたします。

3-2. 会議や報告書での例

議事録などに記載する際は次のようにまとめられます。
本日の会議で決定した事項は各部署に周知いたします。必要な対応がある場合は来週末までに総務部へご連絡ください。

3-3. 口頭での使い方

上司や取引先など目上の方に対しても、口頭で「周知いたします」と言うと敬意を保ったまま情報を伝えることができます。例えば「ご提案内容については、関係各所へ早急に周知いたしますので、改めて日程調整のほどよろしくお願いいたします」といったように伝えれば、真摯な姿勢が伝わりやすくなります。

4. 注意点

4-1. 乱用しすぎない

「周知いたします」は便利な表現ですが、何度も使いすぎると文面が硬くなりすぎたり、くどく感じられたりします。要所だけで活用し、ほかの場面では「お知らせします」「共有します」などと表現を変えましょう。

4-2. 周知範囲を明確に

「周知」とは不特定多数や広範囲を対象にした告知を意味します。しかし、誰に知らせるのかが曖昧なままだと情報が行き渡らない恐れがあります。部署や役職ごとに明確にしておくと、受け手も混乱しにくくなります。

4-3. 改まったシーンで使う

カジュアルなメンバー同士であれば「周知します」や「共有します」でも十分です。例えば社内チャットや気心の知れた同僚向けに「周知いたします」と毎回書くと、やや堅苦しい印象を与えるかもしれません。相手や状況に応じて使い分けるのが大切です。

5. 類似表現との比較

「通知いたします」は特定の情報を正式に知らせる際に、文章や公的発表でよく使われます。「告知いたします」は広く世間一般に知らせる場合に使われることが多いです。一方「周知いたします」は社内や組織内の複数人を対象とするときに適した言い回しです。それぞれがカバーする範囲やニュアンスに違いがあるので、シーン別に合わせて選びましょう。

6. まとめ

「周知いたします」は、フォーマルな場面で「皆さまにしっかりとお知らせする」という意図を伝えたいときに適した表現です。「周知します」よりも丁寧な印象を与えやすく、社内外での通達や会議でのアナウンスなどに幅広く活用できます。
ただし、乱用しすぎると堅苦しい印象を与えたり、相手との距離を感じさせたりする可能性があります。適度に使いつつ、誰に何をどのように周知するのかを明確にしたうえで活用するのがポイントです。周りの状況や相手との関係性を踏まえ、他の表現とも上手に使い分けながら円滑なコミュニケーションを築いていきましょう。

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