「挙動(きょどう)」という言葉は、日常会話だけでなく、IT・心理学・ビジネスなどさまざまな分野で使われます。
「怪しい挙動を見せる」「プログラムの挙動が不安定だ」といった表現を耳にしたことがある人も多いでしょう。
この記事では、「挙動」の意味や使い方、関連語や英語表現までをわかりやすく解説します。
1. 「挙動」とは?基本の意味
「挙動」とは、人や物が動くようす・行動のしかたを指す言葉です。
「挙(あ)げる」と「動く」という二つの漢字からなり、もともとは「体を動かす」「振る舞う」という意味を持ちます。
辞書的な定義では次のように説明されます。
挙動(きょどう):動作・行動のようす。ふるまい。
(出典:広辞苑)
つまり「挙動」とは、単なる「動き」ではなく、人や機械などがどのように動くかという特徴・傾向を含む表現です。
- 例文1:彼の挙動がどこか不自然だった。
- 例文2:プログラムの挙動を検証する。
- 例文3:猫の挙動を観察する。
2. 「挙動」の語源
「挙動」は、漢字で見ると「挙(あげる)」+「動(うごく)」から成り立っています。
- 「挙」=行う・持ち上げる・起こす
- 「動」=動作・移動
つまり「挙動」とは、何かを起こして動くこと、またはその動作全体を意味しています。
古くは「武士の挙動」「儀式の挙動」など、礼儀作法や立ち居振る舞いを指して使われていました。
3. 「挙動」の使い方
3-1. 人の動作・行動に使う場合
「挙動」は、人の行動や態度が普通と違うとき、特に「不審」「緊張」「動揺」などを感じさせる場合によく使われます。
- 例1:警備員が男の挙動を不審に思った。
- 例2:試験前の彼の挙動は落ち着きがなかった。
- 例3:子どもの挙動を注意深く観察する。
このように「挙動」には、人の心理状態が表れる行動というニュアンスが含まれます。
3-2. 機械・プログラムの動作に使う場合
ITや機械分野では、「挙動」は「動作」や「反応」の意味で用いられます。
- 例1:このアプリの挙動が不安定だ。
- 例2:新しい設定でシステムの挙動を確認する。
- 例3:ブラウザの挙動が予期せぬ動きをしている。
この場合、「挙動」は機械やソフトウェアがどのように反応・作動するかを指します。
3-3. 動物や自然現象に対して使う場合
- 例1:野生動物の挙動を研究する。
- 例2:台風の挙動を追跡する。
このように、科学・観察の分野でも「挙動」は「動きのパターン」「変化の傾向」を表す専門的な言葉として使われます。
4. 「挙動不審」とは?
日常でよく使われる表現に「挙動不審(きょどうふしん)」があります。
これは、動作や態度が落ち着かず、疑わしい様子を意味します。
- 例:駅で挙動不審な人物を見かけた。
- 例:彼は質問されると挙動不審になった。
つまり「挙動不審」とは、「不自然な行動・ぎこちないしぐさ」を指し、警察や報道でも頻繁に使われる言葉です。
5. 「挙動」と「動作」「行動」の違い
| 言葉 | 意味 | 使われ方 |
|---|---|---|
| 挙動 | 動きのようすや傾向、動作全体の特徴 | 人や機械の反応・動き方 |
| 動作 | 体や機械の物理的な動き | 立つ・歩く・回る など |
| 行動 | 意識的な行為・行い | 判断に基づく動きや決断 |
たとえば、
・「動作」は具体的な動き(手を上げる、歩く)
・「挙動」はその動き方の様子(不自然、落ち着きがない)
・「行動」は目的を持った行為(逃げる、助ける)
と区別できます。
6. 「挙動」の類語・関連語
| 類語 | 意味 |
|---|---|
| 動作 | 体や機械の動き |
| 動き | 一般的な運動・変化 |
| 行動 | 目的や意図をもった行為 |
| 反応 | 刺激に対して起こる動き |
| 態度 | 行動にあらわれる心のあり方 |
7. 「挙動」の英語表現
| 英語表現 | 意味・使い方 | 例文 |
|---|---|---|
| behavior | 人・動物・機械などの動きやふるまい | His behavior was suspicious.(彼の挙動は怪しかった。) |
| movement | 物理的な動き | The robot’s movements are smooth.(ロボットの挙動は滑らかだ。) |
| operation | 機械やシステムの作動 | We tested the operation of the new system.(新システムの挙動を確認した。) |
| reaction | 反応、応答 | We observed the chemical’s reaction.(化学物質の挙動を観察した。) |
8. まとめ
「挙動(きょどう)」とは、人や物・システムの動きやふるまいのようすを指す言葉です。
人に対しては「不審な動き」、機械に対しては「動作の傾向」など、文脈によって意味が変わります。
特に「挙動不審」「システムの挙動」といった形で使われることが多く、観察や分析を必要とする場面で重要な言葉です。
