「付す」という言葉は、日常会話ではあまり多用されませんが、公的文書やビジネス文章、法律関連の文脈で頻繁に見られる重要な語です。本記事では、「付す」の意味や使い方、類語や英語表現までを整理し、理解を深められるように解説します。

1. 付すとは何か

「付す」とは「添える」「加える」「与える」といった意味を持つ動詞です。漢語的な響きを持ち、文章語や書き言葉として用いられるのが特徴です。口語的にはあまり登場せず、やや硬い印象を与える表現といえます。

1-1. 語源と漢字の意味

「付」は「つける、加える」という意味を持ち、「す」は古語的な動詞の接尾辞です。そのため「付す」は「付けることをする」というニュアンスが基本にあります。

1-2. 文語的な位置づけ

現代の口語では「付ける」と言うのが自然ですが、公式文書や法令では「付す」と表記されることで文章が引き締まった印象になります。

2. 付すの主な意味

2-1. 添える・加える

もっとも基本的な意味は「添えること」です。例として「注意を付す」「署名を付す」が挙げられます。これはすでにあるものに追加で加える行為を示します。

2-2. 与える・授ける

「責任を付す」「権限を付す」といった表現では、誰かに権限や役割を与える意味になります。特に組織や法律関連の文脈で多く見られます。

2-3. 添付する

「資料を付す」「書類を付す」という表現は、文書やメールに別の文書を添付する意味で使われます。ビジネス文書で多く利用されます。

3. 付すの使い方と例文

3-1. ビジネス文書での使用

「参考資料を下記に付す」「同意書を別紙に付す」といった表現は、ビジネス文書で頻出します。正式な印象を与えるため、顧客や取引先への案内に適しています。

3-2. 法律・公的文書での使用

法律や条令では「第〇条に付す」といった形で用いられます。これは特定の条文に追加する、あるいは補足を加える意味を表しています。

3-3. 日常的な例文

日常会話ではあまり使われませんが、例文としては以下が挙げられます。 ・「感謝の意をここに付す」 ・「念のため補足を付す」 いずれもやや格式張った文体に適しています。

4. 付すの類語

4-1. 添える

もっとも近い口語的な言い換えは「添える」です。柔らかく、日常的な文章に適しています。

4-2. 加える

数量や要素を増やす意味で「加える」が適しています。表現がやや一般的で、幅広い場面に対応できます。

4-3. 与える

責任や役割を付与する意味では「与える」との置き換えが可能です。シンプルで理解しやすい表現です。

4-4. 添付する

資料やファイルを送る場合には「添付する」が一般的です。メールなどでは「付す」より自然に使えます。

5. 付すの英語表現

5-1. attach

「資料を付す」に近い表現は attach です。ビジネスメールで「Please find attached...」とよく使われます。

5-2. add

「意見を付す」は add に相当します。簡単に「add a comment」と表現できます。

5-3. grant

「権限を付す」は grant が適切です。「grant authority」といった形で用いられます。

6. 付すが使われる具体的な場面

6-1. 学術論文

論文では補足資料や注釈を「付す」と表現することがあります。学術的な厳密さを示す言葉として適しています。

6-2. 契約書

契約書においては「本契約に別紙を付す」というように、条項や条件を補う場合に用いられます。

6-3. 公告や通知文

官公庁の通知などでは「次の通り付す」といった表現で、正式な補足や資料が添えられます。

7. 付すと付けるの違い

「付ける」は日常的で口語的な表現です。一方、「付す」は公的、文語的で硬い印象を持ちます。同じ意味を持つ場合もありますが、使われる文脈によって適切な言葉を選ぶ必要があります。例えば、メールで「資料を付けました」と言うのが自然ですが、契約書では「資料を付す」と書かれることが多いです。

8. まとめ

「付す」とは、何かを添える、加える、与えるといった意味を持ち、特に公的文書やビジネス文書で使用される表現です。類語や言い換えを理解しておくことで、場面に応じた適切な文章を作成できます。口語ではあまり使われませんが、正式な文書においては欠かせない表現であるといえます。

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