商売繁盛の神様として全国で信仰される「えびす様」。その祭りのひとつ「宵えびす(よいえびす)」は、多くの商人や参拝客で賑わう日本の伝統行事です。本記事では、宵えびすの意味や由来、開催日、本えびすとの違い、各地の代表的な神社での様子などを詳しく解説します。日本の年初めを彩る「えびす信仰」の文化を深く理解していきましょう。
1. 宵えびすとは何か
宵えびすとは、毎年1月に行われる「十日えびす」の行事の初日にあたる祭りのことです。主に1月9日を指し、この日から11日までの3日間を「えべっさん(えびす祭)」と呼びます。宵えびすはその前夜祭であり、「本えびす」(1月10日)や「残りえびす」(1月11日)に向けたスタートの意味を持ちます。
1-1. えびす信仰の背景
えびす様は「商売繁盛」「五穀豊穣」「漁業繁栄」の神様として知られ、日本全国で広く信仰されています。七福神の一柱としても有名で、右手に釣竿、左手に鯛を持つ姿が象徴的です。宵えびすは、このえびす様に新年の感謝と願いを伝える行事として行われています。
1-2. 宵えびすの意味
「宵」とは夜のことを意味し、「宵えびす」は「えびす祭の前夜」を指します。本えびすに向けて神様を迎え、祭りの準備を整える神聖な時間です。多くの人がこの日に参拝し、縁起物の「福笹(ふくざさ)」を授かるのが特徴です。
2. 宵えびすの由来と歴史
宵えびすの起源は古く、平安時代や中世の商人文化にまで遡ります。えびす信仰自体が漁業や商業の神として広まったことから、商人の町である大阪や京都、兵庫を中心に発展していきました。
2-1. 十日えびすの始まり
「十日えびす」は毎年1月10日に行われる「本えびす」を中心とした三日間の行事です。古くは漁師や商人が一年の商売繁盛を祈願するために行っていたもので、やがて庶民の行事として全国に広まりました。その初日が「宵えびす」となります。
2-2. 商人文化との関係
江戸時代には商業の発展とともに「えびす信仰」が商人の間で強く根付きました。大阪では「商いの神」として、京都では「福の神」として、そして兵庫では「海の神」として崇められるようになり、宵えびすは新年最初の大祭として定着しました。
3. 宵えびすと本えびす・残りえびすの違い
えびす祭りは3日間にわたって行われます。それぞれに意味と役割があり、宵えびすはその幕開けとして重要な役割を果たします。
3-1. 宵えびす(1月9日)
宵えびすは「お迎ええびす」とも呼ばれ、えびす様を迎える日です。神社の境内では「商売繁盛で笹持ってこい」という掛け声が響き、多くの参拝者が福笹を受け取ります。夜遅くまで屋台や出店が並び、にぎやかな雰囲気に包まれます。
3-2. 本えびす(1月10日)
本えびすは祭りの中心日で、最も多くの参拝客が訪れます。商人や企業の代表者が参拝し、新年の商売繁盛を祈ります。関西ではこの日に「宝恵駕行列(ほえかごぎょうれつ)」が行われる神社もあり、華やかな行列が街を練り歩きます。
3-3. 残りえびす(1月11日)
残りえびすは「えびす様の送り日」とされ、三日間の祭りを締めくくる日です。この日には再び神前に感謝を捧げ、福笹に飾る吉兆(縁起物)を買い足す人も多く見られます。
4. 宵えびすの主な行事
宵えびすの日には、神社によってさまざまな行事が行われます。その中でも代表的なものを紹介します。
4-1. 福笹の授与
宵えびすで最も有名なのが「福笹」の授与です。笹は生命力や繁栄を象徴しており、これに吉兆と呼ばれる飾りをつけて商売繁盛を祈願します。神社の巫女や福娘が笹を授けてくれる様子は、宵えびすの風物詩といえます。
4-2. 福娘によるお祓い
福娘はえびす祭の象徴的存在で、選ばれた女性たちが華やかな装束で参拝者を迎えます。笹を授与したり、お祓いを行ったりと、神事に彩りを添えます。
4-3. 縁起物の販売
熊手や小判、鯛の飾りなどの縁起物が多く売られます。これらを福笹に取り付けることで、さらにご利益が高まるとされています。
5. 宵えびすが行われる主な神社
全国で行われるえびす祭の中でも、特に有名な神社を紹介します。
5-1. 西宮神社(兵庫県)
「えびす神社の総本社」とされる西宮神社では、毎年「開門神事福男選び」が行われます。宵えびすの日からすでに多くの参拝者でにぎわい、本えびす当日は全国から人が集まります。
5-2. 今宮戎神社(大阪府)
大阪の商人文化を象徴する今宮戎神社では、「商売繁盛で笹持ってこい」の掛け声で知られています。宵えびすから本えびすまでの3日間、夜通し参拝客が絶えません。
5-3. 京都ゑびす神社(京都府)
京都ゑびす神社では「えべっさんにお顔を向けて願いごとをする」といった独自の風習があります。宵えびすには境内が灯りに包まれ、幻想的な雰囲気になります。
6. 宵えびすの楽しみ方
宵えびすは信仰の行事でありながら、庶民の年初の楽しみでもあります。参拝のマナーを守りながら、神聖な空気を感じるのがおすすめです。
6-1. 参拝の手順
まずは手水舎で身を清め、本殿に参拝します。その後、福笹を授与してもらい、縁起物を選びます。最後にえびす様の像や社殿に向かって「商売繁盛」を願いましょう。
6-2. 屋台や出店も楽しむ
宵えびすでは多くの屋台が並び、地元グルメや縁日気分を楽しむこともできます。夜の参拝と合わせて味わうことで、一層風情を感じられます。
7. まとめ:宵えびすは新年を彩る商売繁盛の祭り
宵えびすとは、えびす祭の初日に行われる「お迎えの儀」であり、商売繁盛や福運を祈願する日本の伝統行事です。えびす信仰は古くから日本人の生活と深く結びつき、今なお多くの人々に親しまれています。宵えびすの夜、笹を手に新年の願いを込めて、神様との縁を結ぶ時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
 
											 
                     
                         
                         
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                       
                                      