「ごもっともです」という言葉は、ビジネスや日常の会話でよく使われます。相手の意見に同意する際や、相手の指摘が正しいと認めるときに使う丁寧な表現です。この記事では、「ごもっとも」の意味、使い方、語源、そして似た表現との違いを具体例とともに解説します。

1. 「ごもっとも」とはどういう意味か

「ごもっとも」とは、相手の言うことがまったく正しい・道理にかなっているという意味の言葉である。
「ごもっともです」は、「おっしゃる通りです」「確かにその通りです」といった丁寧な同意表現。

例:

  • 「注意されても仕方ありませんね」「はい、ごもっともです。」
  • 「それは無理なお願いだと思います」「ごもっともなお考えです。」
  • 「君の提案には改善の余地がある」「ごもっともです、すぐ修正します。」

→ 相手の意見を尊重しながら認める、丁寧で控えめな同意の言葉である。

2. 「ごもっとも」の語源

「もっとも」は漢字で書くと「尤も」。
古語では「最も正しい」「当然である」「理にかなっている」という意味を持つ。

  • 尤(もっと):道理にかなう、当然である。
  • ご〜:尊敬・丁寧を表す接頭語。

→ つまり「ごもっとも」は、「まったく道理にかなっております」「まさにその通りです」という丁寧な言い方である。
現代でも相手の発言を肯定する敬語として広く使われている。

3. 「ごもっとも」の使い方

3-1. 目上の人への同意に使う

  • 上司の指摘に対して:「ごもっともです。以後気をつけます。」
  • 先生の意見に対して:「ごもっともなお言葉をありがとうございます。」
  • お客様の意見に対して:「おっしゃること、まったくごもっともでございます。」

→ 丁寧かつ柔らかい同意表現として、ビジネスシーンで非常に使いやすい。

3-2. 同意+反論を和らげたいとき

「ごもっともです。ただ〜」と続けることで、相手を立てつつ自分の意見を述べることもできる。

例:

  • ごもっともです。ただ、現場の状況を考えると難しい面もあります。
  • ごもっともなお考えですが、別の方法も検討したいです。

→ 反論を柔らかく伝える「クッション言葉」としても機能する。

4. 「ごもっとも」の例文

  • 「お客様のご意見、まったくごもっともでございます。」
  • ごもっともなご指摘をいただき、ありがとうございます。」
  • ごもっともですが、実現には時間がかかります。」
  • 「彼の判断は、誰が見てもごもっともだ。」
  • 「その意見にはごもっともな部分があります。」

→ 同意の度合いを柔らかく表現でき、上品で控えめな印象を与える。

5. 「ごもっとも」と似た表現との違い

表現 意味 使い方の違い
その通りです 相手の意見が完全に正しい。 フラットな同意表現。カジュアルにも使える。
おっしゃる通りです 目上に対して「あなたの意見が正しい」と伝える。 「ごもっとも」より直接的で堅い印象。
確かにそうですね 部分的な同意を示す。 ややカジュアルで、共感的な響き。
なるほど 理解を示す感嘆表現。 「ごもっとも」よりも軽く、会話的。

→ 「ごもっとも」はこれらの中でも、最も柔らかく丁寧な同意表現といえる。

6. 「ごもっとも」の敬語の種類

「ごもっとも」は、尊敬語でも謙譲語でもなく、丁寧語に分類される。
相手の意見を高めているように見えるが、実際には「もっとも」に「ご」を付けて丁寧にしているだけである。

→ したがって、上司・顧客・取引先など、目上の人に対しても安心して使える。

7. 「ごもっとも」を使う際の注意点

  • 皮肉っぽく使うと、嫌味に聞こえることがある。
  • 強く同意しすぎると、形式的・事務的に感じられることがある。
  • 「ごもっともです。ただ〜」と続けて、バランスを取ると印象が良い。

×「はいはい、ごもっともですね。」(皮肉っぽい)
〇「おっしゃること、ごもっともでございます。」(丁寧で自然)

8. 英語での「ごもっとも」表現

英語では、文脈に応じていくつかの言い方がある。

  • You’re absolutely right.(まったくその通りです。)
  • That’s very true.(確かにおっしゃる通りです。)
  • I couldn’t agree more.(全く同感です。)
  • You have a point there.(一理ありますね。)

→ 「ごもっとも」は直訳できないが、「相手の正しさを認める丁寧な同意表現」としてこれらが自然。

9. 「ごもっとも」が持つ印象

「ごもっとも」は、単なる同意を超えて、相手の意見を尊重し、謙虚に受け止める姿勢を示す言葉である。
ビジネスシーンでは、相手の発言を認めつつ、自分の立場も保てる柔らかな表現として重宝される。
日本語特有の「和を大切にする」文化をよく表した言葉といえる。

10. まとめ

「ごもっとも」とは、相手の意見が道理にかなっていて正しいことを認める丁寧な表現である。
「おっしゃる通りです」よりも柔らかく、「確かにそうですね」よりも上品。
謙虚さと礼儀を兼ね備えたこの言葉は、相手を立てながら円滑な会話を進めるのに最適な日本語表現である。

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