「例に漏れず」は、日常会話からビジネスシーン、文章表現まで幅広く使われる日本語表現です。一見すると分かりにくい表現ですが、正確な意味と使い方を理解すれば、文章や会話に深みを加えることができます。本記事では「例に漏れず」の意味、語源、具体的な使用例、類語などを詳しく解説します。
1. 「例に漏れず」の意味と基本知識
1.1 「例に漏れず」の意味
「例に漏れず(れいにもれず)」とは、「他の例と同じように」「例外ではなく」といった意味を持つ慣用表現です。周囲の状況や一般的な傾向に、自分や特定の対象も当てはまることを表すときに使われます。
1.2 言い換えるとどうなるか
簡単に言い換えると「やはり」「案の定」「他と同様に」などが近い意味となります。ある出来事や傾向が特別ではなく、他と同じであることを強調する際に使われます。
2. 「例に漏れず」の語源と成り立ち
2.1 「例に」と「漏れず」の意味
「例に」は「前例」や「他の例」を意味し、「漏れず」は「抜け落ちず」「外れず」といった意味を持ちます。この二つが合わさることで、「他の例に含まれている」「一般的な傾向から外れていない」という意味合いになります。
2.2 なぜ「漏れる」が使われているのか
「漏れる」という語は、「リストや範囲から外れる」「含まれない」という意味で使われます。つまり「漏れず」は「含まれている」ことを否定の否定(=肯定)で表しており、やや回りくどい日本語表現の一例でもあります。
3. 「例に漏れず」の使い方と例文
3.1 会話での使用例
- 彼も例に漏れず、スマホ依存がひどい。 - 最近の若者は、例に漏れずSNSに夢中だ。 - 私も例に漏れず、ダイエットに何度も失敗しています。
3.2 書き言葉としての使用例
- 本書も例に漏れず、従来の学説に基づいて論じられている。 - この都市も例に漏れず、急速な人口減少に直面している。
4. 「例に漏れず」が使われる場面
4.1 一般的傾向への言及
何かが広く見られる傾向である場合に、それに属する対象を語るときによく使われます。たとえば、全国的な現象や、世代的な行動パターンに言及する際に適しています。
4.2 自分を含めた表現
自嘲的に「私も例に漏れず」と使うことで、やや謙遜した表現になります。このように使うことで、自己主張を控えめにしつつ共感を得ることができます。
5. 類語・言い換え表現との違い
5.1 「やはり」「案の定」との違い
「やはり」や「案の定」は、予想通りであることに焦点を当てた言葉であり、主観的な印象が強くなります。一方、「例に漏れず」はあくまで一般的傾向の中に含まれていることを指摘する表現で、比較的客観性があります。
5.2 「ありがちな」の違い
「ありがちな」は頻度や可能性に焦点を当てていますが、「例に漏れず」はその現象や傾向に実際に含まれていることを表します。ニュアンスは似ていますが、用法や意味の深さに違いがあります。
6. 注意すべき使い方と誤用例
6.1 否定語との重複に注意
「例に漏れず」は否定の形が入っているため、「例に漏れず〇〇ではない」とすると二重否定になり、意味が反転してしまう恐れがあります。 例(誤用):「彼は例に漏れず、スマホを使っていない」→ 意味が曖昧に 例(正しい): 「彼は例に漏れず、スマホを使っている」
6.2 例外を強調したい場合には不適
「例に漏れず」は「例外ではない」という表現なので、特別性や独自性を示したい場合には不適です。「例外的に」「異例の」などの語を使いましょう。
7. ビジネスやフォーマルな場での活用
7.1 ビジネスメールでの使用
「例に漏れず」は多少くだけた表現に分類されますが、ビジネスメールでも比較的カジュアルな場面では使用可能です。たとえば社内連絡やプレゼン資料などで、「当社も例に漏れず、原材料費の高騰に影響を受けています」などと使うと、分かりやすく丁寧です。
7.2 フォーマルな文書では注意が必要
公式な報告書や契約書などのフォーマルな文書では、より直接的で簡潔な表現が求められるため、「例に漏れず」ではなく「同様に」「一般的に見られるように」などの語に言い換えることが望ましいです。
8. まとめ
「例に漏れず」は、「他と同じように」「例外なく」といった意味を持つ日本語の慣用句です。自分や他者が特定の傾向や状況に当てはまることをやや控えめに、かつ自然に伝えることができます。語源や使い方をしっかり理解し、適切な場面で使うことで、表現の幅が大きく広がります。誤用に注意しながら、言葉のニュアンスを生かした表現力を身につけましょう。