「図る」「測る」「計る」「量る」という言葉は、似たような意味を持つため、日常会話や書き言葉で使い分けに迷うことがあります。これらの言葉は、全て「何かを測る」「評価する」という意味を含んでいますが、使われる場面やニュアンスに違いがあります。この記事では、これらの言葉の違いと使い分けの方法について、具体的な例を交えて解説します。
1. 図る 測る 計る 量る の基本的な意味
1-1. 「図る」の意味
「図る(はかる)」は、主に「計画を立てる」「意図する」「考えを巡らせる」という意味で使われます。目標を設定したり、計画を立てたり、物事を意図的に進めようとする行動を示す際に使用されます。物理的な計測を表すことは少なく、精神的・戦略的な意味合いが強いです。
例:
* 彼は成功するために戦略を図っている。
* 事故の原因を図るために調査を行う。
1-2. 「測る」の意味
「測る(はかる)」は、長さや重さ、温度、時間などの物理的な量を計測する際に使われます。計測対象が数値で表せるものであることが特徴です。「測る」は通常、物理的な対象に対して使います。
例:
* 温度を測る。
* 身長を測る。
* 時間を測る。
1-3. 「計る」の意味
「計る(はかる)」は、数量や程度を把握することを指し、時間や距離、金額などの計算に使われます。特に、ある基準を元に計算したり、予定を立てたりする際に使用されます。「計る」は、数字や数値を使って行う計算や予測に関することが多いです。
例:
* 料理の時間を計る。
* 運転距離を計る。
* 費用を計る。
1-4. 「量る」の意味
「量る(はかる)」は、物の量を測定する際に使われます。特に「量る」は物理的な量、つまり物質の大きさや重さを量る際に使われることが多いです。物の重さや容量を把握する場合に使用します。
例:
* 重さを量る。
* 容量を量る。
* 体重を量る。
2. 図る 測る 計る 量る の使い分け
2-1. 「図る」の使い分け
「図る」は、物理的な計測というよりも、計画や意図、戦略を立てるという意味で使います。このため、仕事や計画、戦略の立案、意図を表現する時に使われることが多いです。
例えば、戦略を考えたり、計画を立てたりする時に使います。
* 目標を図る。
* 事件の原因を図る。
* 対策を図る。
また、「図る」には「試みる」「意図する」という意味もあるため、行動を起こす前にその目的や方法を考える際に使われます。
2-2. 「測る」の使い分け
「測る」は、物理的な量を計測する場合に使います。温度、長さ、重さ、時間など、具体的に測定できる物理的な対象に対して使用します。
* 長さを測る
* 温度を測る
* 時間を測る
このように、何らかの数値を得るために測定を行う場合に使われます。
2-3. 「計る」の使い分け
「計る」は、数字や計算に基づくものを扱う場合に使います。時間、距離、費用、金額などの「計算」を表す時に使われ、数字で結果を出すような事柄に関連しています。
* 時間を計る
* 費用を計る
* 距離を計る
計算や予測を含む場合に使われ、何らかの基準に基づいて数量や程度を把握する時に使われます。
2-4. 「量る」の使い分け
「量る」は、物の物理的な量を計測する際に使います。物質の重さや容量を測る場合に使われ、主に物理的な対象に適用されます。
* 重さを量る
* 体重を量る
* 容量を量る
「量る」は、物の「量」を測定する場合に使うため、重量や容量、数量に関することが多いです。
3. 例外的な使い方と注意点
3-1. 言葉の重複に注意
「図る」「測る」「計る」「量る」は、類似しているものの、厳密には異なる場面で使われます。例えば、「時間を計る」という表現と「時間を測る」という表現がありますが、厳密には「時間を測る」よりも「計る」が適切です。「測る」は物理的なものを対象とすることが多いため、時間の測定は「計る」が使われるべきです。
3-2. 「量る」と「測る」の違い
「量る」と「測る」は似ている言葉ですが、微妙に使い分けが必要です。例えば、「重さを量る」「重さを測る」の場合、どちらも使用可能ですが、「量る」の方が、より物理的な量に焦点を当てています。一方で、「測る」は温度や時間など、目に見えないものの計測にも使われます。
3-3. 日本語の微妙なニュアンス
日本語では、これらの動詞が使われる場面に対して微妙なニュアンスの違いがあります。状況に応じて、どの動詞を使うかが重要です。例えば、距離や時間を「計る」ことはありますが、同じく距離や長さを「測る」ことはあまりありません。
4. 英語での「図る」「測る」「計る」「量る」の対応表現
4-1. 対応する英語表現
* 図る → plan, devise, strategize
* 測る → measure, gauge
* 計る → calculate, assess
* 量る → weigh, gauge, measure
4-2. 使用例
* **図る**:
・We need to plan for the future carefully.
(未来のために慎重に計画を図る必要がある)
* **測る**:
・We will measure the temperature tomorrow.
(明日、温度を測る予定です)
* **計る**:
・Let's calculate the total cost of the project.
(このプロジェクトの総費用を計るしよう)
* **量る**:
・I need to weigh the ingredients before I start cooking.
(料理を始める前に、材料を量る必要がある)
英語では、これらの動詞をシチュエーションに応じて使い分ける必要があります。
5. まとめ:図る・測る・計る・量るの違いと使い分け
「図る」「測る」「計る」「量る」は、どれも「何かを測る」「評価する」という意味を含んでいますが、それぞれの使い方には微妙な違いがあります。物理的な計測を行う場合は「測る」や「量る」、計画を立てる場合には「図る」、数字や計算に関連することには「計る」を使うといった使い分けが求められます。
これらの違いをしっかり理解し、適切な場面で正しく使い分けることで、より明確なコミュニケーションを行うことができるようになります。