「すると」は会話でも文章でも頻繁に登場する接続表現ですが、フォーマルな文章や論理的な構成が求められる場面では注意が必要な言葉でもあります。本記事では、「すると」の意味やニュアンスに合った言い換え表現を、ビジネス・日常・論文などシーン別にわかりやすく整理しました。
1. 「すると」の基本的な意味と使い方
1-1. 「すると」は結果や展開を示す接続詞
「すると」は、「ある出来事に続いて、別の出来事が起こった」という意味で使われる接続詞です。主に話の展開をスムーズに伝える役割があります。
例:
* ドアを開けた。すると、猫が飛び出してきた。
* 彼に質問した。すると、驚いた顔をした。
1-2. ビジネスではやや口語的な印象を持たれる
日常会話では自然ですが、報告書・議事録・メールなどでは少しカジュアルに響くことがあります。そのため、文書のトーンに応じて適切な言い換えが求められます。
2. シーン別「すると」の言い換え一覧
2-1. ビジネスメールや報告書で使える言い換え
* 「その結果」
例:アンケートを実施した。その結果、多くの改善点が明らかになった。
* 「これにより」
例:新制度を導入した。これにより業務の効率が向上した。
* 「したがって」
例:市場が縮小している。したがって、再編が必要だ。
* 「そのため」
例:予算が不足している。そのため、計画を一部修正する。
2-2. 日常会話で自然に使える言い換え
* 「そうしたら」
例:電話したら、そうしたらすぐに来てくれた。
* 「そしたら」
例:手伝いを頼んだ。そしたら、みんな喜んで参加してくれた。
* 「そのあと」
例:食事をした。そのあと、散歩に出かけた。
* 「そこで」
例:雨が降ってきた。そこで、傘を買った。
2-3. 論文や説明資料での言い換え
* 「結果として」
例:実験を繰り返した。結果として、新たなパターンが見つかった。
* 「以降」
例:第2章では背景を述べる。以降、詳細な分析を行う。
* 「以て」
例:この検証を以て、仮説の妥当性が確認された。
3. 「すると」の言い換えの選び方のポイント
3-1. カジュアル/フォーマルのレベルを意識する
「すると」はカジュアルな接続詞なので、フォーマルな文脈ではより論理的・客観的な語に置き換えるのが基本です。
▼使用NG例(ビジネスメール)
×:資料を提出しました。すると、ご指摘をいただきました。
▼改善例
○:資料を提出したところ、ご指摘をいただきました。
3-2. 時系列/因果関係の違いに注意
「すると」は因果的にも時間的にも使える表現ですが、言い換えによってニュアンスが変わるため、文脈をよく見て選びましょう。
* 因果関係 → 「その結果」「これにより」「したがって」
* 時系列 → 「そのあと」「それから」「以降」
4. 例文比較で学ぶ「すると」言い換えの効果
4-1. 曖昧な「すると」が引き起こす誤解
×:ボタンを押した。すると、機械が動き出した。
→「すると」では機械が自動で動いたのか、操作した結果なのかがやや曖昧です。
4-2. 言い換えによる論理の明確化
○:「ボタンを押した結果、機械が動き出した。」
→ 原因と結果が明確になり、読み手の理解が深まります。
5. 「すると」以外に避けたい口語的表現
5-1. ビジネス文書で避けたい例
* 「そしたら」「やっぱり」「なんか」など、あいまい・口語的表現
* 「こうなって」や「そうすると」の多用
→文章が稚拙に見え、説得力が下がる可能性があります。
5-2. 整った印象を与える書き換え
* 「〜したところ」
* 「〜した結果」
* 「〜であることが判明した」
* 「〜が明らかになった」
これらを用いると、文書全体が洗練された印象になります。
6. Chatでのやり取りや資料作成でも応用
6-1. 社内チャットでの表現例
* ×:「確認しました。すると、エラーが出ました」
* ○:「確認したところ、エラーが発生していることを確認しました」
「すると」は思考の流れをそのまま表す分、曖昧さを生みがちです。報告・確認にはできるだけ具体的な語を使うと好印象です。
6-2. スライドやレポートの表現力向上に
「すると」の代わりに「その結果」「以降」「これにより」などを使うと、スライド資料でも論理展開が明確になります。特にアクションや提案の理由を説明する場面では、効果的です。
7. まとめ:「すると」は便利だが慎重に使おう
「すると」は非常に汎用性の高い接続詞ですが、使い方次第で文章のトーンや伝わり方が大きく変わります。特にビジネス文書では、目的や相手に応じて言い換え表現を使い分けることが重要です。状況に応じた適切な表現を選ぶことで、読み手の理解と信頼をより確かなものにできるでしょう。