「彼だけが割を食った形だ」「その制度では若者が割を食っている」など、日常会話やニュース記事でも目にすることのある「割を食う」という表現。やや口語的な言い回しですが、意味や使いどころを理解すると非常に便利な表現です。この記事では、「割を食う」の意味、由来、使い方、類語との違いなどを詳しく解説します。

1. 「割を食う」の基本的な意味

1-1. 定義

「割を食う(わりをくう)」とは、「不利益を被る」「損をする」という意味の慣用句です。 → 誰かや何かの事情のあおりを受けて、自分が損をする状況を表します。

1-2. ニュアンス

単に「損をする」だけでなく、「本来なら避けられたはずの不利益」や「他人の都合に巻き込まれて損をする」といった含みがあります。

2. 語源と由来

2-1. 商取引に由来する表現

「割」とは取引における分け前・配分・割合のこと。 → 本来受け取るはずだった利益や分け前(割)を、他の事情によって減らされてしまい「損をする」=「割を食う」となったと言われています。

2-2. 江戸時代の口語表現から

江戸期の商人言葉や庶民の会話に端を発する庶民的な言い回しとして広まりました。

3. 「割を食う」の使い方と例文

3-1. 社会・政治において

・「高齢者優遇政策の影で、若年層が割を食っている」 ・「地方の財政赤字の補填で都市部が割を食う形に」

3-2. 職場や学校など日常の場面で

・「トラブルの責任を押しつけられて、完全に割を食った」 ・「急なシフト変更で、彼女だけが割を食った形だ」

3-3. 家庭・人間関係において

・「両親の離婚で子どもが割を食ってしまった」 ・「兄ばかり優遇されて、弟が割を食うような状況だった」

4. 類語・言い換え表現

4-1. 損をする

→ 一般的かつわかりやすい表現。 例:「その条件では一方が損をする」

4-2. 不利益を被る

→ よりフォーマルでビジネス文書向け。 例:「価格改定により顧客が不利益を被る可能性がある」

4-3. あおりを受ける

→ 他者の影響で間接的に損失を受ける点で共通。 例:「円安のあおりを受けて中小企業が苦境に」

4-4. 割に合わない

→ 労力やリスクに対して得るものが少ないというニュアンス。 例:「その仕事は割に合わない」

5. 使用上の注意点

5-1. やや口語的な表現

「割を食う」は日常会話やコラム、軽めの文章に適していますが、正式な契約書や学術文では避ける方が無難です。

5-2. 他人への配慮が必要

他者に対して「割を食った」と言う場合、責任の所在や事情に触れるため、使い方によっては批判的・皮肉的に聞こえることもあります。

6. まとめ:「割を食う」は不公平感を含む損失を表す便利な表現

「割を食う」は、不本意な損や不利益を表す際に使える非常に便利な表現です。口語的でありながら、状況の不公平さや間接的被害といったニュアンスを的確に伝えることができます。場面や文体に合わせて、「損をする」「不利益を被る」などの言い換えも活用しながら、語彙力を高めていきましょう。

おすすめの記事