「顧みる」という言葉は、文章表現やスピーチなどで見かけるやや格式ある日本語です。現代では日常会話であまり使われないものの、使いこなすことで表現の幅が大きく広がります。本記事では、「顧みる」の意味や使い方、類語との違い、注意点までわかりやすく解説します。

1. 顧みるの基本的な意味

1.1 定義

「顧みる(かえりみる)」は、「過去の出来事や自身の行動・考えを振り返ること」「周囲の状況や他者に注意を向けること」という意味を持つ動詞です。漢字の「顧」には「振り向く」「気にかける」という意味があります。

1.2 二つの主な意味

1. 過去を振り返る意味:
例)学生時代を顧みて、感慨にふける

2. 注意を払う・気にかける意味:
例)仕事に忙しく、家庭を顧みることがなかった

2. 顧みるの使い方と例文

2.1 振り返りの意味での使用

この意味では、回想や反省といったニュアンスで使われます。文章やスピーチなどで使うと格式ある印象を与えます。

例:
・自らの過ちを顧みて、謝罪した
・人生を顧みると、多くの出会いに恵まれてきた

2.2 気にかける・配慮する意味での使用

他人や周囲の状況に対する配慮や注意を示す文脈で使われます。やや堅めの表現として用いられます。

例:
・社会の弱者を顧みる姿勢が求められる
・利益を追求するあまり、従業員の健康を顧みない企業もある

3. 類語との違い

3.1 振り返るとの違い

「振り返る」は日常的でカジュアルな表現で、単に後ろを向く動作や過去の出来事を思い出すことを意味します。「顧みる」はより重々しい印象があり、反省や教訓といった深い意味合いを含むことが多いです。

例:
・昨日のことを振り返る(カジュアル)
・人生を顧みる(格式ある)

3.2 顧慮との違い

「顧慮(こりょ)」は、他人の立場や状況を配慮・考慮するという意味の名詞です。「顧みる」は動詞であり、行為そのものを表します。

3.3 省みるとの違い

「省みる(かえりみる)」も「顧みる」と同じく、過去を振り返る意味を持ちますが、「自己反省」のニュアンスがより強く出ます。公的な文書では「省みる」が使われることも多いです。

例:
・己の行動を省みる(反省が強調される)
・あの頃を顧みる(懐かしさや感慨が中心)

4. 顧みるを使う際の注意点

4.1 会話ではやや堅い印象

「顧みる」は書き言葉としては自然ですが、会話で使うとやや堅苦しく感じられることがあります。口語では「振り返る」「気にかける」などの語に言い換えるとよいでしょう。

4.2 文脈に応じた意味の理解が必要

「顧みる」は文脈によって「反省」なのか「配慮」なのかが変わるため、前後の文をよく見て意味を判断する必要があります。

4.3 漢字変換ミスに注意

「省みる」「顧みる」はどちらも「かえりみる」と読みますが、意味に違いがあるため、誤った漢字を使うと意味が通らなくなることがあります。

5. まとめ

「顧みる」とは、過去を振り返ること、または他者や状況に気を配ることを意味する格式ある日本語表現です。「振り返る」や「省みる」などの類語との使い分けによって、文章の印象や深みが変わってきます。使う場面や文脈に応じて正しく使い分けることで、より豊かな日本語表現が可能になります。ビジネスや文章表現の場面で、適切に用いることを意識するとよいでしょう。

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