コロナ禍以降、日本で頻繁に使われるようになった「自粛」という言葉。これを英語に訳す際、文脈によってさまざまな表現があります。ただ直訳するのではなく、ネイティブが自然に使うフレーズを選ぶことが大切です。本記事では、「自粛」を英語でどう表現すべきか、場面ごとに詳しく紹介します。

1. 自粛の英語表現はひとつではない

「自粛」は日本語特有の言い回しで、「他者に強制されることなく、自らの判断で行動を控える」ことを意味します。英語にはこの「自ら控える」というニュアンスをピッタリと表す単語が一つだけあるわけではありません。そのため、文脈に応じて適切な表現を選ぶ必要があります。

一般的に「自粛」を表す英語表現としては以下のようなものがあります。

refrain from 〜

voluntarily avoid 〜

self-restraint

self-imposed ban

hold back from 〜

2. 「外出自粛」は英語でどう表す?

コロナ禍でよく聞かれた「外出自粛」は英語では以下のように言い換えることができます。

2.1 refrain from going out

「refrain from going out」はもっとも直訳に近く、「外出を控える」という意味をストレートに伝えます。

例文:We were asked to refrain from going out unnecessarily.

2.2 stay at home voluntarily

より柔らかいニュアンスで伝えたい場合は「stay at home voluntarily(自主的に家にいる)」が効果的です。

例文:Many citizens chose to stay at home voluntarily during the pandemic.

3. 「営業自粛」を英語で伝えるには

企業や店舗が営業を控える場合、「営業自粛」という言い方になります。英語では以下のように表現されます。

3.1 suspend business voluntarily

「suspend business voluntarily」は「自らの判断で営業を一時停止する」という意味になります。

例文:The restaurant decided to suspend business voluntarily due to the outbreak.

3.2 temporary closure

「一時閉店」や「一時休業」といったニュアンスを込めたい場合は「temporary closure」を使うと自然です。

例文:There will be a temporary closure of all non-essential businesses.

4. 「自粛要請」は英語でどう言う?

政府や自治体が市民に対して行動の自粛を呼びかけることを「自粛要請」と言いますが、英語では次のように表現できます。

4.1 request for voluntary restraint

少しフォーマルですが、「request for voluntary restraint」は丁寧な言い回しとして適しています。

例文:The government issued a request for voluntary restraint from travel.

4.2 call for self-restraint

より一般的に使えるのが「call for self-restraint」という表現です。

例文:The mayor made a call for self-restraint during the holiday season.

5. 「自粛ムード」は英語でどう表す?

イベントの中止やキャンセルが相次ぎ、人々の間に「自粛ムード」が漂っている状況では、雰囲気を表す表現が必要です。

5.1 atmosphere of self-restraint

「self-restraint(自制)」という単語を使い、社会全体の雰囲気を伝えることができます。

例文:There is an atmosphere of self-restraint across the country.

5.2 mood of voluntary restraint

「mood(ムード)」と組み合わせて「voluntary restraint」を使うことで、より自然に聞こえます。

例文:The mood of voluntary restraint has affected many events.

6. ビジネスや日常英会話での使い方

「自粛」は日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも使われます。英語で表現する際の注意点を以下にまとめます。

6.1 文脈を意識した表現を選ぶ

日本語の「自粛」は幅広い場面で使える便利な言葉ですが、英語ではその都度適切なフレーズを選ぶ必要があります。たとえば、行動を控える場合は「refrain from」、企業活動の場合は「suspend」や「temporary closure」など、文脈をしっかり把握することが大切です。

6.2 曖昧な表現は避ける

日本語では察しが通じる表現でも、英語では具体的に伝えないと相手に意図が伝わりません。「自粛」という言葉をそのまま訳そうとせず、行動や状態をしっかりと説明するよう心がけましょう。

7. まとめ:自粛の英語表現を正しく使い分けよう

「自粛」という言葉は英語にするとき、状況に応じて適切なフレーズを選ぶことが大切です。直訳に頼るのではなく、「誰が」「何を」「どのように」自粛しているのかを意識しながら表現を選びましょう。

例えば、「外出自粛」は “refrain from going out” や “stay at home voluntarily”、“営業自粛” は “suspend business voluntarily”、“自粛ムード” は “atmosphere of self-restraint” といった具合に、シーンに応じて英語を使い分ける力が求められます。これらの表現を押さえることで、英語での発信や会話がより自然で効果的になります。

おすすめの記事