多くの人から一斉に批判される様子を表す「非難轟々(ひなんごうごう)」という言葉。SNSの炎上やニュース報道などで頻繁に見聞きするようになりましたが、正確な意味や使い方を知らないまま使っている人も少なくありません。本記事では「非難轟々」の意味や語源、使い方、現代における活用例などを詳しく解説します。
1. 非難轟々の意味とは
「非難轟々」とは、多くの人から一斉に強い批判を受けることを意味する四字熟語です。読み方は「ひなんごうごう」と読み、日常会話でも比較的よく使われる言い回しの一つです。
「非難」は相手の過ちや欠点を指摘し、責めること。「轟々」は雷や機械音のように響き渡る音のことですが、ここでは「騒がしい様子」や「多くの人が同時に声をあげる様子」を比喩的に表しています。
つまり「非難轟々」は、「大勢の人が大きな声で一斉に非難する」というニュアンスを持っています。
1.1 ネガティブなニュアンスが強い
「非難轟々」は非常に強い否定的な意味を持つため、使い方には注意が必要です。誰かが批判を浴びている状況や、失言・失策に対する反応などに使われることが多く、冗談半分で使うと誤解を招くこともあります。
2. 非難轟々の語源と成り立ち
「非難轟々」という言葉は日本独自の熟語であり、漢語や古典から派生したものではありません。「非難」も「轟々」もそれぞれ独立した単語で、比較的現代語に近い語感を持っています。
「轟々」は、雷鳴・爆音などの大きな音を表す擬音語からきています。その音が多くの人々の怒声や怒鳴り声にたとえられ、「非難」という言葉と組み合わさってこの熟語が誕生しました。
2.1 熟語としての使用は近代以降
「非難轟々」という言い回しが一般に使われ始めたのは、近代以降とされています。新聞やラジオ、テレビなどのメディアにより、不特定多数の意見が一度に可視化されるようになった時代と軌を一にして、この表現が広まっていきました。
3. 非難轟々の使い方と例文
この言葉は、誰かの発言や行動が世間や周囲から強く批判されたときに使われます。主語は人だけでなく、「コメント」や「投稿」「発言」などにも用いることができます。
3.1 例文で理解する使い方
彼の差別的な発言には、SNS上で非難轟々の声が上がった。
環境問題を軽視した発言に対し、世間から非難轟々だった。
経営陣の不祥事が発覚し、会社は非難轟々の事態に。
このように、非常に批判的な空気がある場面で使われます。
3.2 間違った使い方に注意
「非難轟々」はあくまで「強い批判」を意味するため、ポジティブな文脈で使用するのは誤用です。
誤用例:
ファンからの声援が非難轟々だった(×)
→ この場合は「歓声」「喝采」などが適切です。
4. 非難轟々が使われる現代のシーン
近年、この言葉は特にSNSやネットニュースで頻繁に登場します。一個人の投稿が一瞬で拡散され、大勢からの批判が集中する「炎上」の場面では、まさに「非難轟々」という言葉がぴったり当てはまります。
4.1 SNS時代における「非難轟々」
たとえば、芸能人の不適切発言や政治家の軽率な言動などに対し、X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeのコメント欄が批判の嵐になることがあります。このような状況は、文字通り「非難轟々」だといえるでしょう。
4.2 ニュース記事の見出しにも頻出
「○○の発言に非難轟々」「○○氏の対応に非難轟々」といった形で、ニュースサイトの見出しや記事中に使われるケースも多く、インパクトの強さゆえにメディアでも好まれる表現の一つです。
5. 類語・言い換え表現
「非難轟々」と同じような意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
5.1 類語の例
炎上:ネット上での批判が殺到している状態。
袋叩き:多くの人から一方的に責められること。
猛反発:強い反対意見や拒否の反応。
批判殺到:意見や行動に対して多くの否定的な意見が寄せられること。
これらはいずれもネガティブな意味を持ち、使い方によっては「非難轟々」と置き換えることが可能です。ただし、文脈に合わせて微妙にニュアンスが異なることに注意しましょう。
6. 非難轟々にならないための心構え
誰でも発言や行動が「非難轟々」な状態になる可能性があります。特に現代のように情報がすぐに拡散される社会では、発信前に注意を払うことが重要です。
6.1 発言前の確認を怠らない
軽率な一言が命取りになる時代です。SNS投稿や発言をする際は、誤解を招かない表現になっているか、差別的・攻撃的な内容になっていないかを確認する習慣を持ちましょう。
6.2 批判を受けた後の対応
もし「非難轟々」の状態になってしまった場合は、迅速かつ誠実な謝罪と説明が求められます。黙っていることが火に油を注ぐ結果になりやすいため、誠意ある対応が最も有効な対処法です。
7. まとめ
「非難轟々」は、大勢からの強い批判を意味する表現であり、現代のSNS社会では非常に身近な言葉となっています。その強いインパクトゆえに誤用されることもありますが、正しい意味と使い方を理解しておくことで、より的確な表現が可能になります。
不用意な言動が「非難轟々」にならないよう、常に言葉の重みを意識し、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。