誰かに場所へ同行させてもらう場面で使われる「連れて行ってもらう」という表現。日常会話ではよく使われますが、ビジネスやフォーマルな場面では、そのままでは敬意が不足することもあります。本記事では、「連れて行ってもらう」の正しい敬語表現と、場面に応じた丁寧な言い換え例、自然な使い方を紹介します。
1. 「連れて行ってもらう」の基本的な意味と構造
「連れて行ってもらう」は、「誰かに同行をお願いし、その人の助けを得て目的地に行く」という意味を持つ表現です。
この表現には以下の要素が含まれます。
- 連れて行く(動作の主体は相手)
- もらう(自分が恩恵を受ける)
つまり、自分が誰かに対して「してもらう」立場にあるという構文で、謙譲のニュアンスはあるものの、そのままではカジュアルな印象になってしまいます。
1.1 どんな場面で使うか
- 上司や先輩と外出・訪問先に同行する時
- 取引先に案内してもらう時
- 初訪問の場所に同席する時
このような場面では、敬語を使って丁寧に意図を伝える必要があります。
2. 「連れて行ってもらう」は敬語として適切?
結論から言えば、「連れて行ってもらう」は敬語としてはややカジュアルです。ビジネスや公式の場では、より丁寧な表現に置き換えることが望ましいとされています。
2.1 なぜカジュアルに聞こえるのか
「もらう」は自分が恩恵を受けることを表す言葉であり、謙譲語に近い構造ではありますが、完全な敬語ではありません。話し相手が目上の人の場合には、より丁寧な謙譲語や尊敬語を用いる必要があります。
2.2 敬語として失礼のない表現にするには
相手への敬意を込めた表現にするには、「お連れいただく」「同行させていただく」「ご案内いただく」などの敬語表現に言い換えるのが適切です。
3. 「連れて行ってもらう」の敬語表現・言い換え例
3.1 「お連れいただく」
例文:
「〇〇様にお連れいただき、誠にありがとうございました。」
「お連れいただく」は、「連れて行く」の尊敬語+補助動詞「いただく」で構成され、相手への敬意をしっかり表現できます。
3.2 「ご案内いただく」
例文:
「現地までご案内いただき、大変助かりました。」
訪問や見学などの場面では、「連れて行く」という動作の代わりに「案内する」という表現が適切です。
3.3 「同行させていただく」
例文:
「本日はご一緒させていただき、ありがとうございました。」
こちらは自分を主語にした謙譲語で、フォーマルな場でも使いやすい表現です。
3.4 「同行いただく」
相手に同行してもらう意味で使います。
例文:
「お忙しい中、当日同行いただきありがとうございます。」
4. ビジネスメールや挨拶での使用例
4.1 お礼メールでの例
件名:本日のご案内のお礼
本文:
〇〇様
本日は現地までご案内いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで無事に目的を果たすことができました。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
4.2 同行前の挨拶での例
件名:明日の訪問について
本文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
明日はご多用のところ、ご同行いただき誠にありがとうございます。
ご迷惑をおかけしないよう、当日は万全の準備で臨みますので、何卒よろしくお願いいたします。
5. 丁寧な言い回しにするコツ
5.1 主語を立てすぎない
「自分が〜する」という表現より、「させていただく」「〜いただく」の形にすることで、謙遜の気持ちを自然に込めることができます。
5.2 感謝をセットで伝える
単に「連れて行ってもらった」事実を述べるだけでなく、「ありがとうございます」「助かりました」などの感謝の一言を添えると、印象が格段に良くなります。
5.3 形式を整え、柔らかい文体に
「お手数をおかけしますが」「恐れ入りますが」などのクッション言葉を活用することで、相手に敬意を払った丁寧な依頼・報告になります。
6. まとめ
「連れて行ってもらう」は日常的には使いやすい表現ですが、ビジネスや目上の人との会話では、より丁寧な敬語表現への置き換えが求められます。「お連れいただく」「ご案内いただく」「同行させていただく」などの表現を使い分けることで、丁寧さと敬意のバランスが取れた会話やメールを実現できます。場面や相手に応じて適切な言い換えを選び、信頼感のあるコミュニケーションを心がけましょう。