「とんでもございません」は、ビジネスメールや日常会話でよく使われる表現ですが、実は文法的に誤りであることをご存じでしょうか?本記事では、「とんでもございません」が誤用とされる理由を解説し、正しい言い換え表現を紹介します。メールでの適切な使い方や、フォーマルな場面で失礼にならない表現も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

1. 「とんでもございません」は間違い?

「とんでもございません」は、ビジネスメールや会話でよく使われる表現ですが、実は文法的に正しくないとされています。「とんでもない」という形容詞を「とんでも」という形で切り離し、「ございません(丁寧語)」をつける形は、本来の日本語の文法には存在しません。

なぜ「とんでもございません」は誤用なのか?

「とんでもない」は形容詞であり、そのまま否定形として成立します。「とんでもないことです」のように使うのが正しい形ですが、「とんでもございません」とすると、「とんでも」が単独の名詞のようになってしまい、不自然な表現になります。

使っても問題ないケース

現在では「とんでもございません」も一般的に使われるようになっており、実際の会話では違和感なく受け入れられることが多いです。ただし、フォーマルな場面やビジネスメールでは、正しい表現を使う方が望ましいでしょう。

2. 「とんでもございません」の適切な言い換え表現

「とんでもございません」は、日本語のビジネスメールやフォーマルな場面でよく使われる表現ですが、場合によっては他の表現に言い換えることも重要です。特に、より丁寧に、または別のニュアンスを伝えたい場合には、「とんでもございません」の代わりに使える言い換え表現がいくつか存在します。本節では、そんな適切な表現方法をいくつかご紹介します。

「恐れ入りますが」

「とんでもございません」は謙遜の気持ちを表す際に使われますが、この表現の代わりに使える言い換えとしては、より丁寧な印象を与える「恐れ入りますが」があります。この表現は、相手の感謝や謝罪に対して自分が行ったことが当然のことだと謙遜する場合に使用します。特にビジネスメールや正式な文脈において、相手への敬意を示しながら謙遜する際に便利です。

【例文】
• 「ご配慮いただき、恐れ入りますが、私としては何も特別なことをしたわけではなく、ただのお手伝いをさせていただいただけです。」
• 「この度はそのようなお言葉をいただき、恐れ入りますが、私自身はまだまだ学ぶことが多い身でございますので、大変光栄に存じます。」
• 「お心遣い、恐れ入りますが、私にとっては何も大したことではありません。今後ともよろしくお願いいたします。」

このように、「恐れ入りますが」は、単なる謙遜にとどまらず、相手の厚意に対する感謝の気持ちを強調することができます。

「おそれ多いことでございます」

「おそれ多いことでございます」という表現は、非常に丁寧で謙虚な言い回しであり、特にフォーマルなシーンに適しています。上司や取引先、または目上の人に対して使用することが多く、特に感謝の言葉を頂いた場合などに、自分の行動や貢献を過度に評価していただいた際に使います。この表現は、相手の評価や言葉を非常に重く受け止め、謙遜の気持ちを強く伝えることができるため、ビジネスシーンで非常に重宝されます。

【例文】
• 「そのようにおっしゃっていただけるとは、おそれ多いことでございます。私としてはまだまだ未熟な部分が多いので、過分なお言葉に恐縮しております。」
• 「過分なお言葉を頂戴し、おそれ多いことでございます。今後とも精進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
• 「そのようなお褒めの言葉をいただき、おそれ多いことでございます。まだまだ至らぬ点が多いですが、今後とも何卒ご指導を賜りますようお願い申し上げます。」

この表現は特に、上司や顧客に対して使うことで、非常に敬意を表すことができます。

「とんでもないことでございます」

「とんでもございません」を正しい文法で表現した形が「とんでもないことでございます」です。この表現は、謙遜しつつもややシンプルで、理解しやすい表現です。「とんでもない」という言葉を使用することで、相手の評価や感謝を過剰に受け取らないようにし、丁寧に否定することができます。ややフォーマルな印象で使われ、丁寧な口調を保ちながら謙遜の気持ちを表現します。

【例文】
• 「お褒めの言葉をいただきましたが、とんでもないことでございます。私がしたことはほんの些細なことで、これからも頑張ってまいります。」
• 「ご丁寧にありがとうございます。とんでもないことでございます。これからも日々精進し、期待に応えられるよう努力いたします。」
• 「このようなお言葉を頂戴し、とんでもないことでございます。私にできることはまだまだ少ないですが、今後とも何卒よろしくお願いいたします。」

この表現は、謙遜しつつも相手の言葉に対して失礼のないよう、丁寧に自分の行動を否定する形で使用できます。

「滅相もございません」

「滅相もございません」は、非常にフォーマルな表現で、格式高い場面で使用されることが多いです。やや古風な響きがあるため、現代では少し堅苦しく感じることもありますが、重要な場面では非常に適しています。この表現は、「とんでもない」をさらに強調し、相手からの感謝や評価に対して過剰に謙遜する際に使用します。

【例文】
• 「お褒めいただきましたが、滅相もございません。私自身、まだまだ未熟な点が多いため、今後も精進してまいります。」
• 「そのようなことを言っていただき、滅相もございません。私にとっては、あくまで皆様のお力添えがあってこその結果です。」
• 「とんでもございません。そのようなお言葉をいただけるのは、ひとえに皆様のおかげであり、滅相もございません。」

この表現は、より格式の高い言い回しを必要とする場面や、深い謙遜を示したいときに使うことができます。

3. ビジネスメールでの適切な言い換え例

ビジネスメールでは、相手に失礼のないように丁寧な表現を心掛ける必要があります。「とんでもございません」をより適切な言葉に置き換えた例を紹介します。

感謝に対する返信

相手:
「このたびはお力添えいただき、誠にありがとうございました。」
NG:
「とんでもございません。お役に立てて何よりです。」
OK:
恐れ入りますが、お役に立てたようで何よりでございます。」

謝罪に対する返信

相手:
「お忙しい中、ご対応いただき申し訳ございませんでした。」
NG:
「とんでもございません。お気になさらないでください。」
OK:
どうぞお気になさらず、今後ともよろしくお願いいたします。」

お褒めの言葉に対する返信

相手:
「素晴らしいご提案をありがとうございました。」
NG:
「とんでもございません。恐縮です。」
OK:
おそれ多いことでございます。引き続き尽力いたします。」

4. まとめ

「とんでもございません」は一般的に使われる表現ですが、文法的には誤用とされ、特にフォーマルな場面では適切な言い換えをすることが重要です。

• 「恐れ入りますが」:ビジネスシーンでよく使われる丁寧な表現
• 「おそれ多いことでございます」:格式の高い言い回し
• 「とんでもないことでございます」:文法的に正しい丁寧表現
• 「滅相もございません」:やや古風ながらもフォーマルな表現

ビジネスメールでは、相手の発言に応じた適切な言い換えを選び、より洗練された印象を与えましょう。

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