「共有いたします」は、ビジネスの場において情報や資料、進捗状況などを他者に伝える際に使われる丁寧な表現です。メールや会議、報告書など、あらゆるビジネスシーンで使えるこの言葉は、正しく使うことで信頼感や円滑なコミュニケーションにつながります。本記事では、「共有いたします」の意味、使い方、例文、注意点、言い換え表現などを丁寧に解説します。
1. 「共有いたします」の意味
1-1. 言葉の構造
「共有いたします」は、「共有する」の謙譲語です。「共有」とは、情報や考えなどを相手と共に持つことを意味し、「いたします」は「する」の謙譲語表現です。
つまり「共有いたします」は、「自分が得た情報を、相手に敬意を払って伝える」という意味を持ちます。
1-2. 使用される場面
・業務上の情報を関係者に伝えるとき
・会議後の議事録や要点を送るとき
・取引先やクライアントに資料やデータを送るとき
・チーム内でのナレッジシェアを行うとき
2. 実用例と使用シーン
2-1. メールでの使用例
・会議の議事録を作成いたしましたので、共有いたします。
・以下に、プロジェクト進捗の概要を共有いたします。
・添付ファイルにて資料を共有いたしますので、ご確認ください。
2-2. チャット・口頭での例
・こちらのURLをチームに共有いたしますね。
・本件については、社内で共有いたしました。
・資料が完成しましたので、後ほど共有いたします。
2-3. 報告書や資料内での表現
・今回の分析結果について、以下の通り共有いたします。
・得られたフィードバックは、全関係者に共有いたしました。
3. 言い換え表現と使い分け
3-1. 同様の敬語表現
・お伝えいたします
・ご案内申し上げます
・ご報告いたします
・ご送付いたします
3-2. 柔らかい表現への言い換え
・共有させていただきます
・お送りします
・情報をお届けします
3-3. 例文比較
・議事録を共有いたします。
→ 議事録を共有させていただきます。
→ 議事録をお送りします。
→ 議事録をご参考までに添付いたします。
4. 敬語としての適切な使い方
4-1. 「共有させていただきます」との違い
「共有させていただきます」は自分が主体であることを示しつつ、相手の了承を前提とした柔らかい敬語です。
一方「共有いたします」は、ややフォーマルで事務的な印象が強く、明確に情報を伝えることに重きを置いた表現です。
4-2. 二重敬語や過剰敬語に注意
×「ご共有させていただきます」
→「ご」と「させていただきます」が重なり、過剰敬語になる可能性があるため避けましょう。
正:
・「共有させていただきます」
・「共有いたします」
4-3. 過度に繰り返さない
同じメール内で何度も「共有いたします」を使うとくどく感じられます。類語とバランスよく使い分けると、読みやすく丁寧な印象になります。
5. 実践的な文章例
5-1. ビジネスメールでの文例
件名:〇月〇日ミーティング議事録のご送付
本文:
お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
先日実施いたしましたミーティングの議事録を以下に共有いたします。
ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
(本文続く)
5-2. ステータス報告の例
・現在の進捗状況は以下の通りです。詳細について、別途資料にて共有いたします。
・修正後のスケジュールを共有いたしましたので、今後の対応をご確認ください。
5-3. 社内向け連絡の例
・新たなガイドラインが策定されましたので、該当部署の皆様に共有いたします。
・先ほどのお問い合わせについての回答を、全員に共有いたしました。
6. よくある質問
6-1. 「共有いたします」は社外にも使える?
はい、使えます。丁寧かつフォーマルな印象を与えるため、取引先や顧客とのメールでも安心して使用できます。
6-2. 書きすぎるとくどくならない?
くどくなる場合は、「ご案内申し上げます」や「お送りします」などの別の表現と組み合わせると自然な文になります。
6-3. 「共有しました」との違いは?
「共有しました」は事実の報告、「共有いたします」は今から共有するという丁寧な意思表示です。文脈に応じて使い分けるのがベストです。
まとめ
「共有いたします」は、ビジネスシーンで丁寧に情報を伝えるときに最適な敬語表現です。メール、報告書、会話のあらゆる場面で使えますが、文章のトーンや相手との関係性に応じて、「共有させていただきます」「ご案内申し上げます」などの表現も使い分けることで、より自然で印象の良いコミュニケーションが可能になります。適切な言葉選びで、信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。