「元々その予定でした」「元々担当しておりました」など、ビジネスシーンでもよく使われる「元々」という言葉。しかし、少しカジュアルな印象があるため、場面によっては丁寧な言い換え表現に置き換えるのが望ましいこともあります。この記事では、「元々」の意味と役割、ビジネスで使える自然な言い換え表現や例文、注意点について詳しく解説します。
1. 「元々」の意味と使われ方
1. 初めから・もともとの状態
「元々(もともと)」は、「はじめからそうであったこと」「本来の状態」を意味する言葉です。「以前から」「当初より」といった意味でも使われ、口語ではよく使われる便利な副詞です。
2. ビジネスではやや口語的な印象
丁寧ではありますが、ややカジュアルで話し言葉寄りの表現であるため、目上の方や社外の相手に使う文書やメールでは、より適切な表現に言い換えるのが望ましい場合があります。
2. よく使われるビジネスシーンの例
1. 業務分担の説明
例:「この業務は元々私が担当しておりました。」
→ 業務の引き継ぎや責任範囲を明確にするときによく使われます。
2. 予定や方針の説明
例:「元々はA案で進める予定でしたが…」
→ 計画の変更点や背景を説明する際に使われます。
3. 状況の前提を伝えるとき
例:「元々期限が厳しい案件でして…」
→ プロジェクトや業務の難易度を補足するときに使われます。
3. 「元々」の言い換え表現一覧
1. 当初より
よりフォーマルで文書向きの表現。初めからという意味を丁寧に伝えられます。
例:「当初より私が担当しておりました。」
2. もとより
格式高く、やや古風な表現ですが、挨拶文や公的な文書で使用されます。
例:「もとより承知しております。」
3. 元来(がんらい)
書き言葉に適した表現で、性質や本質を述べる場面に向いています。
例:「この制度は元来、社内向けに設計されたものでした。」
4. 以前より
自然で控えめな言い回し。継続性や背景を丁寧に伝えたいときに便利です。
例:「以前より担当させていただいております。」
5. 本来は
筋道やルール上の正しさを表現する場面に適しています。
例:「本来はA部署が対応すべき内容かと存じます。」
6. 初めから
比較的フラットな表現で、社内会話などでは違和感なく使えます。
例:「初めからAプランで進める予定でした。」
4. 言い換え例文の比較
1. 元々担当していました
言い換え:「当初より私が担当しておりました」
2. 元々A案の予定でした
言い換え:「当初はA案で進める予定でございました」
3. 元々は日程に余裕がありませんでした
言い換え:「当初より日程には余裕がない状況でした」
4. 元々B社との取引はありません
言い換え:「もとよりB社とはお取引がございませんでした」
5. 使用時の注意点
1. 「元々」は文脈によって意味が曖昧になることも
話し言葉では通じても、文章では「どの時点が起点か」がわかりにくくなることがあります。なるべく「当初より」「以前より」など、具体的な言葉に置き換えましょう。
2. 目上の人には口語表現を避ける
「元々」は社内会話では問題ないことが多いですが、社外メールや提案資料では「当初より」「本来は」などのほうが適しています。
3. 形式文では「もとより」「元来」も活用
やや格式ある文書や挨拶文などでは、「もとより承知しております」「元来の目的」などを使うと文章に深みが出ます。
まとめ
「元々」は便利な言葉ですが、ビジネスの場では場面に応じて「当初より」「以前より」「本来は」などに言い換えることで、より丁寧で誤解のない表現が可能になります。特に文書や社外メールでは、曖昧さやカジュアルさを避けるためにも、具体的で自然な敬語表現を使い分けることが重要です。文脈と相手に応じた言葉選びを心がけ、信頼感のあるコミュニケーションを築いていきましょう。