ビジネスシーンでは「~だと思っている」「~と考えています」という言い回しをよく使いますが、場面や相手によってはカジュアルすぎる印象を与えてしまうことがあります。また、自分の意見や考えを伝える際、同じ表現を繰り返していると単調になりがちです。本記事では、「思っている」を言い換えるときに使える、より的確で丁寧なビジネス表現を紹介します。場面ごとの使い方や注意点を押さえながら、スムーズなコミュニケーションを目指しましょう。

「思っている」のビジネスシーンでの課題

「~だと思っています」という表現は便利ですが、以下のような懸念点があります。

まず、ニュアンスが曖昧になりやすいという点です。「思う」という言葉だけでは主観的・抽象的に聞こえてしまい、相手が受け取る情報が不十分になる可能性があります。ビジネスシーンでは、なるべく客観的で具体性のある言い回しをすることで信頼感を高めることができます。

次に、説得力を欠く可能性があることも挙げられます。「思っています」と繰り返すだけでは、なぜそう考えるのかという理由づけが曖昧に感じられることがあります。提案やプレゼンであれば、データや事例、背景情報などを補足して根拠をはっきり示したほうが、相手の納得を得やすくなります。

「思っている」の言い換えポイント

言い換えをするときには、自分の意思や意見をはっきり示すことが重要です。ただ「思っています」だけを伝えるのではなく、具体的な検討状況や根拠、提案内容を添えると、相手の理解が深まりやすくなります。行動や要望を伝えるときは、相手への配慮を表すやわらかい言い回しも併用すると、スムーズなコミュニケーションが期待できます。

ビジネスで使える「思っている」の言い換え例

考えております

「思っている」を少し丁寧に言い換えた表現です。電話やメール、対面のミーティングなど、幅広いシーンで使いやすく、適度にフォーマルな印象を与えることができます。


私は、この施策を導入するのが良いと考えております。
社内ではこれを今後の基本方針とするよう考えております。

検討しております

単に「思う」だけでなく、具体的に調査や比較、分析などをしているニュアンスを含めたいときに有効な表現です。上司やクライアントにも、きちんと考慮している姿勢をアピールできます。


現在、新商品の導入時期について検討しております。
本件につきましては社内で検討しておりますので、決定次第お知らせいたします。

意向を持っています

将来的にこうしたい、こう進めたいという強めの意思を伝える際に適した言い回しです。「思っている」だけで終わるよりも具体的な計画や方針を伝えやすくなります。


来期には海外市場に進出する意向を持っています。
こちらの要望を踏まえ、プロジェクトの延長を検討する意向です。

~と考えておりますが、いかがでしょうか

相手に意見を求めるときや、協議を重ねたいときに使いやすい表現です。強要せずに柔らかく提案するニュアンスを出せるため、会議やメールの文面で重宝します。


新しいキャンペーンは来月から実施すると考えておりますが、いかがでしょうか。
デザインについてはA案を採用する方向で考えておりますが、他にご意見はございませんか。

認識しております

何かの事実や状況を「そうだと理解している」と伝えたい場合に役立ちます。「思っている」とは異なり、情報を確認したうえで把握していることを表すため、客観的なニュアンスを持ちます。


この件については、まだ正式な決定ではないと認識しております。
お客様からのご要望は、10月末までに納品するようご希望だと認識しております。

言い換え表現を使うときの注意点

あえて「思う」を使う場面もある

すべてを堅苦しくしすぎると、相手との距離感を縮めにくくなる場合があります。雑談に近いシチュエーションやフランクな関係性では、あえて「思っている」を使ったほうがスムーズにコミュニケーションできる場合もあります。場面や相手を見極めることが大切です。

理由や根拠を示す

「考えております」「検討しております」という言い回しを使う際も、なぜそう考えるのか、どのようなメリットがあるのかを示すと説得力が増します。提案や報告では結論だけでなく背景やデータを簡潔に添え、相手の疑問に答えられるようにしましょう。

過度に敬語を重ねない

「拝察しております」「思っております次第でございます」など、過剰な敬語は読みにくさやわざとらしさを感じさせる可能性があります。敬意を示しつつ、相手が読みやすい適度な敬語表現を選ぶのが望ましいでしょう。

ビジネスメールでの「思っている」言い換え例文

例1: 社内向け(上司への報告)

件名: 新規プロジェクトについての進捗報告

〇〇部 部長 〇〇様

お疲れ様です。△△部の山田です。
現在、新規プロジェクトの体制について検討しております。具体的には、AチームとBチームの連携強化を図るため、共同ミーティングを定期的に設定する方針を考えております。
もし他に良いアイデアや改善点がございましたら、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします。

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△△部 山田 太郎
TEL: 000-0000-0000
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例2: 社外向け(取引先への提案)

件名: コラボ企画のご提案(株式会社○○・山本)

○○株式会社 企画部 佐藤様

いつも大変お世話になっております。株式会社○○の山本です。
先日のミーティングを踏まえ、コラボキャンペーンのスケジュールを来月上旬スタートで進める意向を持っておりますが、いかがお考えでしょうか。貴社のご都合もあるかと存じますので、ご希望の時期などがあればお気軽にお知らせください。
何卒よろしくお願いいたします。

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株式会社○○ 営業企画部
山本 花子
TEL: 000-0000-0000
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まとめ

「思っている」という表現は便利な一方で、曖昧さや説得力の不足が課題となることがあります。状況によっては「考えております」「検討しております」「認識しております」などの言い換えを用いることで、より丁寧で具体的な印象を与えられるでしょう。提案や意見を伝える際には理由や根拠を示し、相手の理解をサポートすることも大切です。

一方ですべてを堅苦しくしすぎると逆に距離を感じさせてしまうこともあるため、相手との関係性や場面に応じて表現を使い分ける柔軟さが必要です。ぜひ本記事の事例や注意点を参考に、「思っている」の上手な言い換えを習得し、より円滑で効果的なビジネスコミュニケーションを目指してみてください。

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