「以って(もって)」という言葉は古風で格式のある表現として使われることが多いですが、現代の文章や会話の中での正しい意味や使い方を理解している人は意外と少ないです。この記事では「以って」の基本的な意味や用法、使い方のポイント、例文まで詳しく解説します。
1.「以って」の基本的な意味とは
1.1 「以って」の読み方と語源
「以って」は「もって」と読みます。漢字の「以」は「手段」「理由」を示し、「って」は助詞的に機能します。古典日本語や文語体でよく見られる表現です。
1.2 「以って」の主な意味
主に以下の三つの意味で使われます。
手段や方法を示す
理由や根拠を示す
時間や期限を示す(「以って終わり」など)
2. 「以って」の使い方と例文
2.1 手段・方法を示す場合
この用法では、「〜をもって」と続け、ある行為の手段や方法を説明します。
例:本書を以って、皆様への感謝の意とします。
例:この資料を以って、説明に代えさせていただきます。
2.2 理由や根拠を示す場合
「〜を以って」と使い、ある判断や行動の理由を表すことがあります。
例:皆様のご理解を以って、この計画は承認されました。
例:これを以って、会議を終了いたします。
2.3 時間・期限を示す場合
「〜を以って」と表現し、ある日時や期限を示します。
例:本日を以って、契約を解除します。
例:今月末を以って、サービスを終了いたします。
3. 「以って」と似た表現との違い
3.1 「によって」との違い
「によって」も手段や理由を示しますが、より口語的でカジュアルな表現です。一方、「以って」はやや堅い文語的表現で公式文書や礼儀正しい場面に適しています。
3.2 「をもって」と「で」の違い
「で」は口語的に手段や理由を示しますが、「をもって」は文章やスピーチで格式を持たせたい場合に使われます。
4. 「以って」の正しい使い方の注意点
4.1 口語では使わないほうがよい
日常会話では「以って」はほとんど使われず、堅苦しく響くため適しません。文章やビジネス文書、スピーチなど限られた場面で使いましょう。
4.2 適切な語尾との組み合わせ
「以って」は「〜を以って」の形で使うことが一般的で、単独で使うことは少ないです。また、文末の締め方に注意し、敬語表現などと組み合わせて使うと自然です。
5. 「以って」を使った例文集
5.1 ビジネス文書での例
例:この報告書を以って、今回のプロジェクトの進捗を報告いたします。
例:ご理解を以って、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
5.2 礼儀正しい挨拶文での例
例:本書を以って、皆様に深く感謝申し上げます。
例:皆様のご支援を以って、無事に終えることができました。
5.3 法的・公式文書での例
例:本通知を以って、契約解除の意向をお知らせいたします。
例:この通知を以って、本件に関するすべての説明といたします。
6. 「以って」の歴史的背景と現代での位置づけ
6.1 古典日本語での用法
「以って」は古典日本語の文語体で頻繁に使われ、手段や理由を示す重要な接続詞的役割を持っていました。
6.2 現代日本語での変遷
現代では口語的表現が増えたことで、使用頻度は減少しましたが、公的文書や儀礼的な場面ではいまだに重要な表現とされています。
7. まとめ
「以って」は、手段・理由・期限を示す日本語の伝統的な表現です。文章の格式を高めるために使われ、ビジネスや公式な場での表現力アップに役立ちます。ただし、日常会話には向かず、正しい文脈で適切に使うことが大切です。意味と用法を理解し、自然な文章作成に役立ててください。