bonite(ボナイト)は、靴や革製品の製造現場で広く使われる補強素材で、耐久性と加工性の高さから多くのシューズメーカーに採用されています。しかし一般消費者には馴染みが薄く、その役割を知らない人も少なくありません。本記事ではboniteとは何か、その特徴や用途をわかりやすく解説します。

1. boniteとは何か

1-1. boniteの基本的な意味

boniteとは、レザーボード系の圧縮素材で、靴内部の補強材として使用される工業素材の一種です。主に革の繊維を細かく砕き、接着剤とともに圧縮した板状の材料であり、耐久性と加工のしやすさを兼ね備えています。

1-2. 靴業界におけるboniteの位置づけ

靴の素材といえばアッパーやアウトソールが注目されがちですが、boniteは構造を安定させ、履き心地を支える重要な内部材料です。土踏まずやかかと部分の形状を保持するために使われ、靴の製造では欠かせない要素となっています。

1-3. 一般消費者に馴染みが薄い理由

boniteは靴の内部に使われるため目に触れることがなく、製品仕様にも記載されないことが多いため、一般の消費者には知られていません。しかし、靴の耐久性や形成性に大きく影響する素材です。

2. boniteの特徴

2-1. 高い成形性

boniteは熱と圧力を加えることで柔軟に成形でき、靴の形状に合わせて加工しやすい素材です。職人が木型に合わせて丁寧に曲げたり圧縮したりできるため、細かな設計にも対応できます。

2-2. 適度な強度と耐久性

圧縮されたレザーボードであるため、長期間の使用にも耐える適度な強度があります。靴内部の変形を防ぎ、履き心地を安定させる役割を持ちます。

2-3. 木材やプラスチックにはない柔軟性

boniteは木材のように硬すぎず、プラスチックのような脆さを持たないため、靴のフィット感や履き心地を損なわずに補強することができます。適度なしなりがあり、歩行時の力を吸収しやすい点も特徴です。

2-4. コストパフォーマンスが高い

革やゴムなど他の素材と比べて比較的低コストで、加工性にも優れているため、量産靴から高級靴まで幅広く採用されています。

3. boniteの主な用途

3-1. ヒールカウンター部分の補強

boniteが最も多く使われるのが、かかとの内側にあたるヒールカウンターです。この部分にboniteを使用することで、靴の形が崩れにくくなり、歩行時も安定感が増します。

3-2. インソールの芯材

インソールの中の芯材として使われ、靴底のたわみを軽減し、足全体を支えます。特にビジネスシューズではboniteが主流となっているケースが多く見られます。

3-3. 土踏まず(アーチ)の保持

boniteは曲げ加工が容易なため、土踏まずのアーチ部分の形状を作る素材としても利用されます。アーチサポートが強化されることで、立ち仕事でも疲れにくくなります。

3-4. かかと周りの形状維持

靴の履き口周辺やサイド部分にも使われることがあり、革靴のシルエットを美しく保つ役割を果たします。

4. 他素材との比較で分かるboniteのメリット

4-1. プラスチックとの比較

プラスチックは軽量ですが、boniteに比べて硬く、割れやすいことがあります。特に長期間の使用や温度変化に弱いという欠点があります。一方、boniteは耐温度性に優れ、ひび割れが起きにくい特徴があります。

4-2. 木材との比較

木材は形が安定していますが重く、加工が難しい場合があります。また湿気による変形も起こることがあります。boniteは湿度の変化に比較的強く、加工性も高いため靴製造に適しています。

4-3. 革との比較

革は柔軟ですが、補強材として使うにはコストが高くなります。代わりにboniteを使うことで、強度とコストのバランスを取りやすくなります。

5. boniteが使われる靴の種類

5-1. ビジネスシューズ

ビジネスシューズでは、boniteが一般的な補強材として使用されます。形状の安定性と履き心地のバランスを取るため、ヒールから土踏まずまで幅広く活用されています。

5-2. 伝統的な革靴

紳士靴をはじめとする伝統的な革靴では、木型の形を忠実に再現するためにboniteが使われます。履き込むことで足に馴染む柔軟性も評価されています。

5-3. リメイク・修理靴

靴修理業界でもboniteは利用され、ヒールカウンターや内部補強の交換に用いられます。修理後の靴の形状を長く保つために重要な素材です。

6. boniteを理解すると靴選びが変わる

6-1. 履き心地の背景にある素材の存在

靴の履き心地はアッパーやソールだけでなく、内部の補強材によって大きく左右されます。boniteのような芯材を知ることで、靴選びの基準がより深くなります。

6-2. 靴の耐久性を左右する重要ポイント

boniteが使われている靴は、形状が崩れにくく長持ちする傾向があります。見た目の変化が少ないため、ビジネスシューズやフォーマルシューズで特に重視されます。

7. まとめ

boniteは靴の内部補強材として使われるレザーボード素材で、成形性・耐久性・コスト面のバランスが取れた優れた材料です。ヒールカウンターやインソールの芯材として使われ、靴の形状、安定性、履き心地を支える役割を担っています。普段意識することのない素材ですが、靴の品質を大きく左右する重要な存在といえます。

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