発赤とは皮膚や粘膜が赤くなる症状を指し、炎症やアレルギー、血流の変化などさまざまな原因で生じます。正しい理解と対応は、早期発見や適切な治療につながります。
1. 発赤の基本的な意味
発赤（はっせき）とは、皮膚や粘膜の色が赤くなる状態を指します。医学的には血管拡張による血流増加が主な原因とされ、炎症や感染症、アレルギー反応などでよく見られる症状です。
1-1. 発赤の医学的定義
発赤はラテン語で「rubor」と呼ばれ、炎症の4徴候の一つとして古くから医療で認識されています。炎症反応に伴い、血管が拡張して血流が増加することで赤く見えます。
1-2. 発赤と紅斑の違い
発赤は一般的な赤みを指しますが、紅斑（こうはん）は皮膚の赤みの中でも色素沈着や炎症を伴うものを意味します。臨床では両者の区別が重要です。
2. 発赤の原因
発赤は多岐にわたる原因で生じます。原因を理解することは診断や治療の第一歩です。
2-1. 炎症による発赤
細菌感染やウイルス感染、物理的刺激による炎症は発赤の代表的な原因です。発赤は熱感や腫れ、痛みとともに現れることがあります。
2-2. アレルギー反応による発赤
アレルギー性皮膚炎や薬疹、食物アレルギーなどで発赤が起こります。ヒスタミンなどの化学物質が血管を拡張させ、赤みやかゆみを引き起こします。
2-3. 血流や温度変化による発赤
運動や入浴、寒暖差による血流の変化でも発赤が生じます。この場合、健康な人でも一時的に皮膚が赤くなることがあります。
2-4. 慢性疾患による発赤
自己免疫疾患や皮膚疾患、循環器系の疾患でも発赤が見られることがあります。ループスや皮膚血管炎などが代表例です。
3. 発赤の診断方法
発赤を正確に診断するためには、視診や触診、必要に応じて検査を行います。
3-1. 視診と触診
赤みの範囲、形状、温度、痛みの有無を確認します。急性炎症では熱感や腫れ、痛みを伴うことが多いです。
3-2. 血液検査
感染症や炎症の程度を確認するため、白血球数やCRP（C反応性タンパク）などを測定します。
3-3. 皮膚検査や画像検査
皮膚生検やダーモスコピーで炎症の種類を確認する場合があります。また、内臓疾患が疑われる場合はCTやMRIを用いた画像診断も行われます。
4. 発赤の治療方法
発赤の治療は原因に応じて行われます。原因を特定し、適切な対応を行うことが重要です。
4-1. 炎症性発赤の治療
抗炎症薬や抗菌薬を用いて原因となる感染や炎症を抑えます。局所治療と全身治療を組み合わせることが一般的です。
4-2. アレルギー性発赤の治療
抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を用いて赤みやかゆみを軽減します。原因物質の回避も重要です。
4-3. 血流変化による発赤への対応
血流や温度変化による一時的な発赤は基本的に治療不要ですが、症状が持続する場合は循環器や皮膚科での評価が推奨されます。
4-4. 慢性疾患による発赤の管理
自己免疫疾患や慢性皮膚疾患の場合、発赤は症状の一つとして管理されます。薬物療法や生活習慣の改善、定期的な医療機関でのフォローが必要です。
5. 発赤の注意点とセルフケア
発赤は単なる赤みでも、病気のサインである場合があります。セルフケアと注意点を知っておくことが重要です。
5-1. 発赤の観察ポイント
赤みが急に広がる、熱感や痛みを伴う、かゆみや水ぶくれがある場合は医療機関を受診しましょう。
5-2. 日常生活でできるケア
保湿や刺激物の回避、適切な温度管理を行うことで発赤を軽減できます。また、アレルギーや皮膚疾患が原因の場合は原因物質の特定が重要です。
5-3. 医療機関を受診すべきケース
発赤が長期間続く、発熱や全身症状を伴う、薬や食べ物によるアレルギーが疑われる場合は早めの受診が推奨されます。
6. まとめ
発赤とは、皮膚や粘膜が赤くなる症状で、炎症やアレルギー、血流変化など多様な原因で起こります。原因に応じて治療や対応が異なるため、正しい理解が重要です。早期の観察と必要に応じた医療機関受診が、安全かつ適切な対応につながります。
