「引き取り(ひきとり)」という言葉は、日常会話からビジネス、物流や販売などさまざまな場面で使われます。「商品を引き取る」「子どもを引き取る」「責任を引き取る」など、文脈によって意味が少し変わるのが特徴です。この記事では、「引き取り」の基本的な意味と使い方を、例文を交えてわかりやすく解説します。

1. 「引き取り」とは

「引き取り」とは、もともと「引き取る」という動詞の名詞形で、自分のもとへ受け取って持ち帰ること、または人や物を迎え入れることを意味します。

辞書的な定義:

  • 引き取り: ①他人の手にあるものを受け取って自分のところに持ってくること。②人を自分のもとに迎え入れること。

つまり「引き取り」は、物や人を自分の側に戻す・受け取る行為を指します。

2. 読み方と品詞

  • 読み方:ひきとり
  • 品詞:名詞(動詞は「引き取る」)

3. 「引き取り」の主な意味と使い方

3-1. 物を受け取る・回収する

もっとも一般的な意味で、「商品・荷物・修理品などを受け取ること」を指します。

  • 修理が終わったパソコンを引き取りに行く。
  • 宅配業者が返品商品を引き取りに来た。
  • 忘れ物の引き取りは1週間以内にお願いします。
  • 廃品の引き取りを依頼する。

ビジネスや物流の場面では、「回収」や「受け取り」という意味合いで使われることが多いです。

3-2. 人を自分のもとに迎える

人に関する「引き取り」は、誰かを自分のもとに迎え入れて世話をするという意味で使われます。

  • 両親の死後、叔母が子どもを引き取った
  • 退院後は家族が彼を引き取ることになった。
  • 迷子の猫を引き取ることにした。
  • 老人ホームを出た父を自宅で引き取って暮らす。

この使い方では、「保護」「養育」「世話をする」という温かい意味を含みます。

3-3. 席を立つ・立ち去る(丁寧な言い方)

「引き取る」は、その場を去る・帰るという意味でも使われます。

  • それでは、これで引き取らせていただきます。(=おいとまします)
  • お話も尽きませんが、そろそろ引き取ります

この用法は主に会話や手紙などで使われる、丁寧な言い回しです。

3-4. 責任や立場を引き受ける

比喩的に、「責任を引き取る」「問題を引き取る」など、何かを自分で負う・処理するという意味でも使われます。

  • 上司が部下の失敗を引き取った
  • トラブル案件は私が引き取ります
  • 彼の言葉の真意を、私なりに引き取って解釈した。

この場合、「責任を背負う」「受け止める」といった抽象的な意味になります。

4. 「引き取り」とよく使われる表現

表現 意味
商品引き取り 購入・修理・返品などで物を受け取ること。
引き取り手 人や物を受け取る人(例:孤児の引き取り手)。
引き取り先 受け取る側の場所・人。
引き取り拒否 受け取るのを断ること。
引き取り証 受け取りの証明書。

特にビジネスや行政文書では、「引き取り手」「引き取り先」という表現がよく登場します。

5. 類義語と使い分け

言葉 意味 違い
受け取り 物を受け取ること。 「引き取り」よりも単純に受領の意味。
回収 集めて持ち帰ること。 主に物品・廃棄物などに使う。
引受け 責任を持って受けること。 契約や業務など抽象的な対象にも使う。

たとえば「荷物を受け取る」は受領の行為、「荷物を引き取る」は受け取って持ち帰る行為を強調します。

6. 英語での「引き取り」

英語では、文脈によって次のように訳されます。

  • pick up: 荷物・人などを受け取りに行く(例:I’ll pick up the package.)
  • take in: 人や動物を迎え入れる(例:They took in a stray cat.)
  • collect: 物を回収・受け取る(例:Please collect your order.)
  • take responsibility for: 責任を引き受ける(例:He took responsibility for the issue.)

7. まとめ

「引き取り(ひきとり)」とは、人や物を自分のもとへ受け取る・迎えることを意味します。
具体的には、商品の受け取り、家族や動物の保護、または場を去るときの丁寧な表現など、幅広い使い方があります。
文脈に応じて「回収」「受け取り」「迎え入れ」などの意味が変化するため、状況に合わせて使い分けることが大切です。

おすすめの記事