「各々の判断に任せる」「各々が責任を持つべきだ」など、フォーマルな文章やビジネスシーンでも見かける「各々」という言葉。少し硬めで品のある印象を与える日本語ですが、その意味や正しい使い方を理解しておくと、表現の幅が広がります。この記事では「各々」の意味、用法、類語との違いまで詳しく解説します。
1. 「各々」の基本的な意味と読み方
1-1. 意味
「各々(おのおの)」とは、**それぞれ・一人ひとり・個々**を意味する言葉です。 → 複数の人や物について、**個別に対応することや状態**を表す語です。
1-2. 読み方
・音読み:おのおの ・まれに「かくかく」や「それぞれ」とも読まれますが、通常は「おのおの」が一般的です。
2. 「各々」の使い方と例文
2-1. 主語として使う場合
・「各々が意見を述べた」 → 一人ひとりが自分の意見を出したことを示す。
2-2. 名詞の前に置く修飾語として
・「各々の役割を明確にする」 → 一人ひとりの役割に焦点を当てている。
2-3. 書き言葉での使用例
・「参加者は各々の判断で行動してください」 ・「各々の立場を尊重する必要がある」
3. 類語との違いと使い分け
3-1. それぞれ
→ もっと口語的で柔らかい印象 ・例:「それぞれが自分の席についた」 ・違い:「各々」はやや改まった文章に適する
3-2. 一人ひとり
→ 人に限定される傾向が強い ・例:「一人ひとりが責任を持つ」 ・違い:「各々」は人・物・事象すべてに使える
3-3. 各自(かくじ)
→ ビジネスや案内文でよく使われる ・例:「荷物は各自で管理してください」
4. 「各々」の注意点
4-1. 会話ではあまり多用しない
→ 書き言葉やスピーチ・式典などの改まった場に向いています。
4-2. 意味を強調しすぎない
→「各々それぞれ」などと重ねて使うのは冗長なので避けましょう。
5. 英語での表現
5-1. 一般的な訳語
- each(各自・各々)
- respectively(それぞれに)
- individual(個々の)
5-2. 英文例
・Each member is responsible for their own task. ・The students answered the questions respectively. ・Each has their own opinion.
6. まとめ:「各々」は上品で格式のある言葉
「各々」は、「それぞれ」や「一人ひとり」と同じ意味を持ちながらも、より格式高く丁寧な印象を与える言葉です。主に書き言葉やフォーマルな場面で使われ、相手への配慮や敬意を込めた表現として重宝されます。場面に応じて使い分けることで、言葉遣いに深みと品格を持たせることができるでしょう。