「趣向」という言葉は、日常会話や文章の中でしばしば使われる日本語のひとつです。しかし、意味をなんとなくで使っている人も多いかもしれません。本記事では、「趣向」の正しい意味や使い方、類語との違いについて丁寧に解説します。

1. 「趣向」の基本的な意味

1-1. 工夫されたアイデアや演出

「趣向(しゅこう)」とは、物事をより面白くしたり印象深くしたりするためにこらされた工夫やアイデア、演出のことを指します。
例:宴会に趣向を凝らす、展示に趣向がある

1-2. 特有の好み・傾向

また、「趣向」には「趣味や好みの傾向」という意味もあります。この場合は個人の志向に近い使い方です。
例:彼は和風の趣向が強い、趣向の違う作品

2. 「趣向」の使い方

2-1. イベントや企画に使う

パーティーや舞台、作品などで「ひと味違う工夫」を加えることを表す際に用いられます。
例:趣向を凝らした演出が観客に好評だった

2-2. 芸術や創作に関して

映画や文学、音楽などで他の作品とは異なる工夫や構成がある場合にも使われます。
例:この小説は倒叙という趣向で書かれている

2-3. 会話や文脈での柔らかな印象づけ

「~という趣向で」などと使うことで、単なる説明ではなく、意図的な構成や目的があることを自然に示すことができます。
例:今回は参加型という趣向でイベントを行います

3. 「趣向」と混同しやすい言葉

3-1. 志向(しこう)

「志向」は意志や考え方の方向性を指します。「趣向」はアイデアや構成における“工夫”が中心であり、意味は異なります。
例:志向はビジネス的、趣向は演出的

3-2. 趣味(しゅみ)

「趣味」は好きなこと・楽しみを指します。「趣向」は“工夫された仕掛け”や“演出”が意味の中心であるため、ニュアンスに違いがあります。

4. 類語とその使い分け

4-1. 工夫

「工夫」は広い意味で使われる実用的な表現で、「趣向」はそこに“楽しみ”や“美的感覚”が伴う印象です。
例:工夫してまとめた→実用的、趣向を凝らした→洒落た工夫

4-2. アレンジ

「アレンジ」は英語の“arrange”が語源で、手を加えて変化を加えること。「趣向」は、その変化に“遊び心”や“意図”がある場合に合います。
例:料理をアレンジした→調整、趣向を変えた→演出

5. 「趣向」を使った表現例

5-1. 趣向を凝らす

ありきたりではない、特別な工夫をすること。
例:披露宴の余興に趣向を凝らした演出を用意した

5-2. 趣向が変わっている

通常と異なる変わった演出や構成がされていること。
例:この映画は趣向が変わっていて最後まで飽きなかった

5-3. 趣向に富む

多彩な工夫が見られること。
例:趣向に富んだ装飾が観光客を楽しませた

まとめ

「趣向」とは、物事を魅力的にするために加えられた工夫や演出、あるいは人の好みや傾向を表す言葉です。企画・芸術・会話など、さまざまな場面で使われ、文章に表現の深みや柔らかさを与えてくれます。似た言葉と混同しやすいですが、それぞれの意味の違いを意識して使い分けることで、より正確かつ効果的なコミュニケーションが可能になります。

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