「承諾しました」「ご承諾いただきありがとうございます」など、日常やビジネスで見かける「承諾」という言葉。丁寧な印象を与える言葉ですが、具体的な意味や使いどころ、他の類語との違いまできちんと理解して使っている方は意外と少ないかもしれません。本記事では「承諾」の意味や使い方、関連語との違いについてわかりやすく解説します。
1. 承諾とは何か？基本的な意味
1-1. 「承諾」の定義
「承諾（しょうだく）」とは、他人からの申し出・提案・依頼などに対して、それを受け入れること、または許可することを意味します。
これは主に「目上の人物や相手方の意向を認めて、受け入れる」という丁寧でかしこまった語感を持ちます。
1-2. 漢字から見た意味
「承」は「引き受ける」「受ける」という意味を持ち、「諾」は「うけいれる」「快く返事をする」という意味です。
つまり「承諾」は、相手の意思や希望を受け入れて、それに従う意志を示す言葉になります。
2. 承諾の使い方と例文
2-1. ビジネスシーンでの使用例
ビジネスでは、契約や取引、提案、お願いごとなどを認める際に「承諾」という表現を用います。
例文：
・ご提案の内容につきまして、当方としても承諾いたします。
・契約書の条項について、正式に承諾いただけますでしょうか。
・日程変更の件、承諾いたしました。
2-2. プライベートな場面での使い方
日常会話ではあまり使われませんが、やや丁寧な文書やメールなどでは使われることがあります。
例文：
・写真の掲載についてご承諾をお願いいたします。
・録音への承諾を事前に得ておく必要があります。
2-3. 承諾の丁寧な表現
ビジネスメールでは、より丁寧な形として「ご承諾」「ご承諾いただく」「承諾いたしかねます」といった形が使われます。
例文：
・ご多忙のところ恐れ入りますが、ご承諾いただけますと幸いです。
・誠に恐縮ながら、今回の条件には承諾いたしかねます。
3. 類語との違いと使い分け
3-1. 「了承」との違い
「了承」は、物事の内容や状況について理解・納得したうえで受け入れることを意味します。
「承諾」は相手の希望や提案に対して許可や同意を与える意味が強いため、承諾の方がやや積極的で重いニュアンスがあります。
例：
・スケジュール変更を了承する（内容を認める）
・スケジュール変更を承諾する（依頼を受け入れる）
3-2. 「同意」との違い
「同意」は、相手の意見や考えに自分の意思として賛成することを意味します。契約書などの法的文脈では「同意」がよく使われますが、日常的・ビジネス的には「承諾」の方が形式的な印象を与えます。
3-3. 「受諾」との違い
「受諾」は主に依頼や申し出などを受け入れることを表す言葉で、やや硬く公式な文章に使われます。ニュアンスとしては「承諾」と非常に似ていますが、「受諾」は受け身的、「承諾」はやや能動的な表現となる傾向があります。
4. よく使われる承諾の言い回し
4-1. 承諾する
もっとも一般的な形。「承諾する」はそのまま「受け入れる」という意味で、書き言葉・話し言葉の両方で使えます。
例：
・お申し出を承諾する。
4-2. ご承諾いただく
相手に対して丁寧に同意を求める言い回し。「お願い」や「確認」メールなどで頻出です。
例：
・上記の条件にご承諾いただけますでしょうか。
4-3. 承諾しかねます
依頼や提案を断る際に使う、やわらかい否定表現です。
例：
・誠に恐れ入りますが、今回は承諾しかねます。
5. 承諾が必要なシーン
5-1. 契約・同意に関する場面
業務委託契約、秘密保持契約（NDA）、売買契約など、法的に拘束力を持つ場面では、承諾を明示することが重要です。文書・口頭にかかわらず、承諾の意思を明確に示すことでトラブルを防ぐことができます。
5-2. プライバシー保護の場面
写真や動画、個人情報の使用には「承諾」が求められます。とくに取材や調査などでは書面での承諾が求められることもあります。
5-3. 組織内の意思決定
社内提案や新プロジェクトの進行などで、上長や関係部署の「承諾」が必要になる場面は多くあります。「承諾を得る」ことは、組織運営において非常に重要なプロセスです。
6. 承諾を得るためのポイント
6-1. 提案の明確化
承諾を得るには、相手が納得できる情報提供が不可欠です。内容が曖昧だと承諾を得にくくなります。目的・条件・影響範囲を簡潔かつ具体的に伝えることが重要です。
6-2. 丁寧な依頼表現
承諾を求めるときには、丁寧な言い回しを心がけましょう。とくにビジネスメールでは「ご検討のほど」「ご承諾賜りますようお願い申し上げます」など、礼節ある表現が評価されます。
6-3. 期限・回答方法の明示
いつまでに返事がほしいのか、返答はメール・電話どちらでもよいのかなど、具体的に示すことで相手の負担が減り、承諾されやすくなります。
7. まとめ：承諾の理解が円滑なやりとりを生む
「承諾」とは、単なる同意ではなく、相手の意図を丁寧に受け止めて、許可・受け入れの意思を示す重要な表現です。ビジネスでは契約・提案・情報提供など、あらゆる場面で登場します。
「了承」「同意」「受諾」との違いを理解したうえで適切に使い分けることができれば、コミュニケーションの質は格段に上がります。また、丁寧な言葉選びは信頼関係を築く第一歩でもあります。
正しく「承諾」を使いこなし、円滑で誠実なやりとりを実現しましょう。
