ビジネスメールや資料作成で頻繁に使われる「以上を踏まえて」という表現。しかし使い方を誤ると意味があいまいになったり、やや堅苦しく感じられたりすることもあります。本記事では、「以上を踏まえて」の意味、適切な使いどころ、具体例、言い換えのコツまでを詳しく解説します。

1. 「以上を踏まえて」とはどんな意味?

1-1. 基本の意味と語源

「以上を踏まえて」は、「これまで述べたことを前提にして」「これまでの情報をもとに」という意味を持つ日本語表現です。議論や説明の内容をまとめたり、次の結論や提案につなげたりするために使われる表現です。

「踏まえる」という動詞は、「ある事柄を根拠・基盤として考える」という意味があり、「以上」は「それまでの内容全体」を指します。つまり、「それまでの内容を前提に次の話に進む」ときに自然な流れとして用いられるのです。

1-2. ビジネスシーンでの使用頻度

企画書や報告書、プレゼン資料、会議での発言、ビジネスメールなど、さまざまな場面で使われる汎用性の高い表現です。特に、話のまとめや結論部、提案を提示する前段として好まれます。

2. 「以上を踏まえて」の使い方と例文

2-1. 文書や報告書での使用例

【例1:提案書のまとめ】
以上を踏まえて、本プロジェクトを段階的に進行する計画を提案いたします。

【例2:調査報告書の締め】
以上を踏まえて、今後の改善策について以下のようにまとめました。

2-2. メールでの使用例

【例3:メールで結論を述べる際】
以上を踏まえて、A社との提携を進めてまいりたく存じます。ご確認のほどよろしくお願いいたします。

【例4:やや柔らかい表現で】
上記内容を踏まえて、スケジュール調整をご検討いただけますと幸いです。

3. 「以上を踏まえて」の注意点

3-1. 曖昧な前提にしない

「以上を踏まえて」を使う際は、その「以上」が何を指しているのかが相手にとって明確であることが重要です。内容が複雑な場合や長文にまたがる場合は、「これまで述べた通り」「前述の内容から」と補足を入れることで、意味がより伝わりやすくなります。

3-2. 使いすぎに注意

便利な表現ゆえ、文章内で何度も使ってしまうと、単調で稚拙な印象を与えることもあります。適宜、別の言い回しや文脈での接続表現に言い換える工夫が求められます。

4. 「以上を踏まえて」の言い換え表現

4-1. フォーマルな言い換え

「前述の内容を鑑みて」
「上記を根拠として」
「これまでの経緯をもとに」
「上記を勘案して」
いずれもやや硬い印象になりますが、公的文書やビジネス書類では適しています。

4-2. 柔らかい言い回し

「これを踏まえて」
「上記を参考に」
「前提として考えると」
「ここまでの内容から」
口語的で柔らかい印象を与えるため、社内メールやフランクな資料にはこちらが使いやすいでしょう。

5. 使用シーン別の文例集

5-1. 社内向けメール

件名:今後の対応方針について

本文:
お疲れ様です。
先日ご共有いただいた資料内容、並びに本日の会議のご意見を確認しました。
以上を踏まえて、以下のような方針で進めたいと考えております。
ご確認をお願いいたします。

5-2. 社外向けのやり取り

件名:ご提案内容について

本文:
○○株式会社
営業部 ○○様

平素よりお世話になっております。
先日ご提案いただきました内容について、社内で検討を行いました。
以上を踏まえて、以下の点について協議を進めてまいりたく存じます。
今後ともよろしくお願いいたします。

6. 英語での対応表現

6-1. 「以上を踏まえて」に相当する英語

英語では直訳が難しいため、状況に応じて言い換える必要があります。以下が代表的な表現です:

Based on the above
Taking the above into consideration
In light of the above
Given the aforementioned

6-2. 英文メール例

Subject: Next Steps After Your Proposal

Dear Mr. Smith,
Thank you for your proposal.
Based on the above, we would like to proceed with the following actions.
We appreciate your continued support.

7. 他の接続表現との違い

7-1. 「したがって」との違い

「したがって」は論理的な因果関係を強調しますが、「以上を踏まえて」は前提条件の整理という意味合いが強く、提案や判断の出発点として使うのが自然です。

7-2. 「それを踏まえて」との違い

「それを踏まえて」は直前の一文に対する言及であるのに対し、「以上を踏まえて」は前文全体や複数項目を総括するニュアンスがあります。より幅広い内容を対象にできる点が特徴です。

8. まとめ|「以上を踏まえて」は結論への自然な架け橋

「以上を踏まえて」は、結論や提案、次の行動につなげる際に便利な表現であり、ビジネスコミュニケーションにおいて非常に重要です。ただし、意味の曖昧さや使いすぎには注意が必要です。言い換え表現や適切な使い所を意識することで、文章全体の印象を大きく向上させることができます。

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