ビジネスの場で頻繁に使われる「共有させていただきます」という表現。社内外の連絡やメール文面で定番の言い回しですが、「本当に正しい敬語なのか？」「目上の人に使っても失礼でないか？」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。本記事では、「共有させていただきます」の意味と適切な使用方法、丁寧な言い換え表現、具体的な文例を解説します。
1. 「共有させていただきます」の意味と構造
「共有させていただきます」は、「情報や資料などを相手と一緒に持つ（知る）ことを丁寧に伝える」ための表現です。謙譲語の一種で、自分の行動をへりくだって伝える形になります。
1.1 言葉の構成
- 「共有」：情報などを他者と一緒に使うこと
- 「〜させていただきます」：自分の行為を相手の許可を得て行う、という意味の謙譲語
したがって、「共有させていただきます」は、「相手の了承を前提として、自分が情報を共有する」というニュアンスになります。
1.2 使用される主な場面
- 会議後の資料送付
- チーム内への業務報告
- クライアントへの進捗報告
例：
「本件についての最新情報を、添付ファイルにて共有させていただきます。」
2. 「共有させていただきます」は敬語として正しい？
結論から言えば、「共有させていただきます」はビジネス敬語として広く使用されており、一般的に問題ありません。ただし、「させていただく」表現の多用や誤用には注意が必要です。
2.1 「させていただきます」表現の注意点
過剰に使うと冗長な印象を与えたり、「へりくだりすぎ」と感じられる場合もあります。また、実際に相手の許可を必要としない行為にまで使うと不自然になることも。
例：
×「今から退社させていただきます。」（退社は自由意思でできる行為）
〇「上司に報告内容を共有させていただきます。」（相手に配慮が必要な行為）
2.2 敬語の使いすぎに注意
文章全体が過剰に謙譲表現で埋め尽くされると、かえって読みにくくなったり、伝わりにくくなることがあります。「共有します」などとのバランスを考えることが大切です。
3. 「共有させていただきます」の言い換え表現
状況や相手に応じて、別の表現に置き換えることで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
3.1 「共有いたします」
やや簡潔で、社内の上司や同僚への連絡に向いています。
例：
「こちらの資料を本日中に共有いたします。」
3.2 「情報をお送りいたします」
「共有」ではやや硬すぎる場合や、メールでファイル送信する場合に使えます。
例：
「必要な情報を別途メールにてお送りいたします。」
3.3 「参考までにご確認ください」
資料を共有するだけでなく、相手に確認を促す目的がある場合に適した表現です。
4. ビジネスメールでの具体例文
4.1 資料を送るメール
件名：会議資料のご共有
本文：
〇〇様
お世話になっております。
本日開催されました会議の資料につきまして、以下に共有させていただきます。
【添付】会議資料_2025年4月23日.pdf
何かご不明点等ございましたら、お知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
4.2 プロジェクト進捗の共有
件名：プロジェクト進捗のご共有
本文：
〇〇チーム各位
いつもお世話になっております。
本プロジェクトの進捗について、以下のとおり共有させていただきます。
・ステージ2：完了
・ステージ3：4月25日着手予定
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
4.3 チーム内の報告
件名：クライアント対応報告
本文：
お疲れ様です。〇〇です。
本日の△△株式会社様との打ち合わせ内容について、要点をまとめた資料を共有させていただきます。
ご確認のほどよろしくお願いいたします。
5. 使い方のポイントと注意点
5.1 クッション言葉を添える
「念のため」「参考までに」「お忙しいところ恐縮ですが」などを加えることで、より丁寧で柔らかい印象になります。
5.2 「させていただきます」の多用を避ける
ひとつの文章に何度も「させていただきます」を使うとくどくなるため、言い換えとのバランスを取りましょう。
5.3 「共有」の対象を明確にする
何を共有するのか、誰と共有するのかを明確に書くことで、伝わりやすくなります。
6. まとめ
「共有させていただきます」は、ビジネスメールや社内連絡で頻繁に使われる敬語表現です。相手への配慮や丁寧な印象を与えられる一方で、多用や不自然な使い方には注意が必要です。適切なタイミングで「共有いたします」「お送りします」などの言い換え表現を使い分けることで、よりスマートで伝わりやすい文章になります。状況や相手に応じた言葉遣いを心がけ、円滑なコミュニケーションを目指しましょう。
