天気予報や科学の授業などでよく見かける「摂氏(せっし)」という言葉。気温の単位として日常的に使われていますが、その由来や他の単位との違いを正確に説明できる人は少ないかもしれません。この記事では、「摂氏」の意味、由来、華氏との違い、そして使われる場面についてわかりやすく解説します。

1. 摂氏とは?

「摂氏(せっし)」とは、温度を表す単位のひとつで、記号は「℃(degree Celsius)」です。
スウェーデンの物理学者アンデルス・セルシウス(Anders Celsius)が考案した温度目盛に基づいており、彼の名前から英語では「Celsius(セルシウス)」と呼ばれます。

つまり、摂氏とは「セルシウス温度」の日本語訳です。日本やヨーロッパをはじめ、世界の多くの国では摂氏温度が標準的に使われています。

2. 摂氏温度の基準

摂氏温度は、水の状態変化を基準として決められています。

  • 水が氷になる温度(氷点):0℃
  • 水が沸騰する温度(沸点):100℃

この2つの基準の間を100等分し、その1目盛を1℃と定めたのが摂氏温度の基本です。つまり、0℃~100℃の間で温度を直感的に理解しやすいのが特徴です。

3. 摂氏の由来

「摂氏」の「摂」は、「摂取」「統べる(すべる)」の意味を持ち、「セルシウス氏の考案による」ということを表しています。
つまり、「摂氏」とは「セルシウス氏の方式(による温度)」という意味なのです。

英語の “degree Celsius” を直訳すると「セルシウス度」になりますが、日本語ではそれを音訳・意訳して「摂氏」と表現しています。

4. 摂氏と華氏の違い

温度の単位には「摂氏(℃)」のほかに「華氏(℉)」があります。
華氏はドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイト(Gabriel Fahrenheit)が考案したもので、英語では “Fahrenheit” と呼ばれます。

項目 摂氏(℃) 華氏(℉)
氷点(氷が溶ける温度) 0℃ 32℉
沸点(水が沸騰する温度) 100℃ 212℉
基準 水の状態変化 塩水の凍結・人体温度を基準
主な使用地域 日本、ヨーロッパ、アジアなど アメリカ、カナダの一部

4-1. 華氏から摂氏への換算式

華氏を摂氏に変換するには、次の式を使います。

℃ = (℉ − 32) ÷ 1.8

例:68℉ → (68 − 32) ÷ 1.8 = 20℃
つまり、華氏68度は摂氏20度に相当します。

5. 摂氏温度が使われる場面

摂氏温度は、私たちの生活の中で非常に多くの場面で使われています。

  • 天気予報(例:今日の最高気温は25℃)
  • 料理(例:オーブンを180℃に設定する)
  • 医療(例:体温36.5℃)
  • 科学実験や学校教育

一方、アメリカなどでは日常的に華氏(℉)が使われるため、海外旅行や科学文献を読む際には換算が必要になることがあります。

6. 摂氏・華氏以外の温度単位

温度には摂氏や華氏以外にも、科学の分野でよく使われる単位があります。

  • ケルビン(K):絶対温度。0Kは絶対零度(−273.15℃)に相当。
  • ランキン度(°R):華氏を基準にした絶対温度(主にアメリカの工学分野で使用)。

摂氏はこれらの単位との変換も容易であるため、国際的にも標準的な温度表示として採用されています。

7. まとめ

「摂氏(せっし)」とは、スウェーデンの学者アンデルス・セルシウスが考案した温度の単位(℃)で、水の氷点を0℃、沸点を100℃とした基準を持ちます。
アメリカなどで使われる華氏(℉)と異なり、感覚的に理解しやすいのが特徴です。日常生活や科学の世界で最も広く使われる温度尺度として、摂氏は世界共通の基準となっています。

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