「多事多端」という四字熟語は、ビジネス文書やあいさつ文の中などで見かける機会がありますが、日常会話ではあまり使われないため、正確な意味を知らない人も多いかもしれません。この記事では、「多事多端」の意味、使い方、例文、類語や注意点までをわかりやすく解説します。

1. 多事多端とは何か

1-1. 言葉の意味

「多事多端(たじたたん)」とは、**やるべきことが多くて非常に忙しいさま**を意味する四字熟語です。「多事」は“多くの用事・事件・出来事があること”、“多端”は“やることが多くて手が回らないほど忙しいこと”を表します。

1-2. 読み方と漢字の構成

* 読み方:たじたたん
* 「多事」=多くの用件、出来事
* 「多端」=物事の端(はし)が多い → 仕事が多岐にわたる → 忙しい状態

つまり、「多事多端」は、**やるべきことも多く、複雑で手間のかかることが重なっている状態**を表す熟語です。

2. 多事多端の使い方

2-1. ビジネスメールや手紙での使用

「ご多事多端のところ恐れ入りますが」といった形式で、相手の多忙さに配慮する言葉としてよく使われます。相手への敬意を表しつつ、依頼や連絡をする際に便利な表現です。

例:
・ご多事多端の中、大変恐縮ではございますが、ご確認のほどお願いいたします。

2-2. スピーチや挨拶文での使用

卒業式、入社式、年始の挨拶など、少しかしこまった場でも使われます。

例:
・年度末のご多事多端の折、皆さまにおかれましてはご自愛くださいませ。

2-3. 自分の多忙を表す場合

謙虚さや誠実さを込めて、自分の忙しさを丁寧に伝える表現としても使えます。

例:
・多事多端な日々が続いており、ご返信が遅れてしまいました。

3. 類語・言い換え表現

3-1. 多忙(たぼう)

「忙しいこと」を表す最も一般的な言葉。「多事多端」より口語的で、日常会話にも使いやすいです。

例:
・多忙につき、お返事が遅れました。

3-2. 繁忙(はんぼう)

仕事や業務が立て込んでいる様子をやや形式ばって表現する語。多事多端と置き換えやすい場面が多いです。

例:
・年末は繁忙期のため、ご対応にお時間をいただくことがあります。

3-3. 多用(たよう)

「多くの用がある状態」を意味します。個人レベルの多忙さを表現するのに向いています。

例:
・多用につき、今週はスケジュールが調整できません。

3-4. 東奔西走(とうほんせいそう)

「東へ西へと忙しく走り回ること」を表す四字熟語で、多事多端のやや動的な表現です。

例:
・新規事業の立ち上げに東奔西走の毎日です。

4. 多事多端を使うときの注意点

4-1. 日常会話にはやや堅い

「多事多端」は格式ある言葉なので、友人との会話や軽いSNS投稿では違和感があることもあります。そうした場合は「忙しい」「手一杯」といった言い換えの方が自然です。

4-2. 自分に使うときは謙虚に

自分の多忙を表す際に多事多端を使うと、やや堅苦しく、場合によっては「大げさ」に聞こえることもあります。ビジネス文書などで丁寧に述べるときには有効ですが、文脈には注意が必要です。

4-3. 相手への配慮としては適切

相手の忙しさを気遣う表現としては非常に効果的です。ビジネスメールやお礼状、依頼文などでは積極的に使う価値があります。

5. 多事多端を含む丁寧な文例

5-1. ビジネスメールでの使用

・ご多事多端の中、早速のご返信を賜り誠にありがとうございました。
・多事多端とは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

5-2. お礼状や挨拶文での使用

・年度末のご多事多端の折にもかかわらず、ご出席を賜り心より御礼申し上げます。
・何かとご多事多端の時期に、貴重なお時間を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。

6. まとめ

「多事多端」とは、やるべきことが多く、非常に忙しいさまを表す四字熟語であり、主に改まった文章やビジネス文書などで使われます。似た表現に「多忙」「繁忙」「多用」などがありますが、相手の多忙を丁寧に気遣う場面では「多事多端」が最適です。使い方や文脈に注意しながら、適切に用いることで文章に品格と配慮が加わります。

まとめ

多事多端とは、多くの事柄に追われて非常に忙しい状態を表す言葉であり、ビジネスや挨拶文などで相手への敬意や配慮を表現する際に使われる。類語との違いを理解し、場面に応じて使い分けることで、より丁寧で的確な言葉遣いが可能になる。

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