ビジネスメールや会議資料などでよく使われる「確認事項を確認する」という表現。実は重複表現であるため、読み手に違和感を与えることもあります。本記事では、自然な言い換え方やシーン別の適切な表現を詳しくご紹介します。

1. 「確認事項を確認する」はなぜ違和感があるのか

1.1 同語反復による冗長表現

「確認事項を確認する」は、文字通り「確認するべきことを確認する」という意味ですが、「確認」という言葉が重なっており、言語的に冗長です。
たとえば「返事を返す」「報告を報告する」などと同様、意味は通じるものの、スマートな言い回しとは言えません。

1.2 ビジネス文書での印象

ビジネスメールや報告書などの文書では、簡潔でわかりやすい表現が好まれます。「確認事項を確認する」は一見丁寧ですが、回りくどく見えるため、相手によっては文章力や配慮に欠ける印象を与えてしまうことがあります。

2. 「確認事項を確認する」の自然な言い換え表現

2.1 内容を確認する

もっともシンプルで汎用性の高い言い換えです。「確認事項」という語を省略して、行為自体にフォーカスします。

例文:
「会議前に内容を確認しておいてください」

2.2 事項をチェックする

「チェックする」はややカジュアルですが、口頭や簡潔な社内メモなどでは違和感なく使えます。「確認」という言葉を避けたいときに有効です。

例文:
「全ての事項をチェックしました」

2.3 確認項目を見直す

「確認項目」という言葉に「見直す(再度見る)」を加えることで、重複を避けながら意味を伝える言い換えになります。最終確認や修正前に適した表現です。

例文:
「最終提出前に確認項目を見直してください」

2.4 確認リストを再確認する

やや重複的に見えるものの、「確認リスト」という名詞と「再確認する」という動詞を組み合わせることで自然な文になります。「改めて確認」というニュアンスを出したい場合に有効です。

例文:
「送付前に確認リストを再確認しました」

2.5 検討事項を確認する

「確認事項」を「検討事項」に置き換えることで、まだ決まっていない・検討中の内容を整理するニュアンスになります。会議や企画に向けた前段階での使用に向いています。

例文:
「次回までに検討事項を確認しておいてください」

2.6 要点を整理する

「確認する」よりも能動的に内容をまとめる行為を示した表現です。議事録やプレゼンの準備などにも適しています。

例文:
「打ち合わせ前に要点を整理しておきましょう」

2.7 必要事項を洗い出す

確認すべき点が明確でない場合、「洗い出す」という言葉を使うと、「何が必要かを見極める」という積極的な姿勢が伝わります。

例文:
「契約前に必要事項を洗い出して共有してください」

2.8 該当項目を確認する

漠然と「確認事項」というよりも、「該当項目(関係する点)」と明確に言うことで文章に具体性が加わります。

例文:
「該当項目を確認し、対応可否を検討してください」

3. ビジネスシーン別の適切な言い換え例

3.1 メールでの使い方

【NG】
「ご確認事項をご確認いただけますと幸いです。」

【言い換え例】

「ご確認のうえ、ご対応いただけますと幸いです。」

「以下の内容をご確認ください。」

「下記の項目を再度ご確認ください。」

3.2 会議でのアナウンス

【NG】
「会議での確認事項を確認させてください」

【言い換え例】

「会議で確認すべき点について整理します」

「会議の要点を共有します」

「議題に沿って内容を見直しましょう」

3.3 報告書や議事録での記述

【NG】
「報告書の確認事項を確認する必要があります」

【言い換え例】

「報告書の該当項目を見直してください」

「記載内容をご確認ください」

「確認すべきポイントをチェックしました」

4. 言い換え時に気をつけたいポイント

4.1 文脈に合った自然な表現を選ぶ

たとえば、上司に提出する文書では「再確認」「見直す」など丁寧で柔らかい表現が求められます。一方、カジュアルな社内チャットや口頭のやりとりでは「チェックする」や「洗い出す」などのラフな表現でも違和感はありません。

4.2 重複を避けながら意図を明確にする

「確認事項を確認する」は、意味が伝わりやすい反面、曖昧さや冗長さが含まれます。何を、どのように、どのタイミングで確認するのかを具体的に言い換えることで、伝達の精度が上がります。

5. より伝わる表現にするためのテクニック

5.1 主語と動詞の関係を見直す

たとえば、「確認事項を確認する」は主語と動詞の関係が曖昧なため、能動態・受動態を明確にしながら整理すると伝わりやすくなります。

例:

「私は内容を確認しました」

「ご確認いただきたく存じます」

「再度、下記内容をご確認ください」

5.2 目的や背景を添える

単に「確認してください」と伝えるよりも、「〜のために」「〜に備えて」など、理由を補足することで、相手の納得感が増します。

例:

「納品前にミスを防ぐため、内容を再確認してください」

「円滑な進行のため、当日の資料をご確認ください」

6. まとめ:「確認事項を確認する」は状況に応じて言い換えよう

「確認事項を確認する」という表現は誤用ではないものの、冗長な印象を与えるため、言い換えを検討する価値があります。文脈や伝えたいニュアンスに応じて、「内容を確認する」「見直す」「洗い出す」など、具体的かつ自然な表現に置き換えることで、よりスマートで伝わる文章を目指せます。細やかな言い回しに気を配ることで、ビジネスコミュニケーションの質も向上します。

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