ビジネスシーンや社内外のやり取りで目にする「ご予定置きください」という表現。相手に対して日程を空けておいてほしい旨を丁寧に伝えるときに使われますが、具体的にどういう場面で使えばよいのか、ほかの類似表現との差は何か、疑問を持つ方も多いかもしれません。本記事では、「ご予定置きください」の意味や使い方、ビジネスメールでの文例や注意点などを詳しく解説します。敬意を示しつつ円滑なコミュニケーションを図るためのポイントをしっかり把握しましょう。

1. 「ご予定置きください」とは何か

「ご予定置きください」は、相手に対して「その日程や時間を空けておいてほしい」というニュアンスを伝える表現です。特にビジネスシーンでは、会議や打ち合わせ、セミナーなどのスケジュールが調整される際、日程の確保をお願いする場面で使われます。ここでは、その基本的な意味や用いられる場面を整理します。

1-1. 基本的な意味と構造

1) 意味
「ご予定置きください」は、相手に「スケジュールを確保しておいてほしい」という要望を伝える敬語表現です。自分側の都合に相手を合わせてもらう際、相手の予定を邪魔するかもしれないという配慮から丁寧な物言いを選ぶ傾向があります。

2) 構造
「ご予定」とは「予定」に丁寧語の接頭語「ご」がついた形、「置きください」は「置く(確保する)」という動作を敬語化した要請形である「~ください」を組み合わせたものです。
- 「ご予定」:相手のスケジュールに対する丁寧表現
- 「置きください」:「確保する」「とっておく」という意味を含む

1-2. よく使われる場面

- 会議や打ち合わせの日程調整
- イベントやセミナーに対して出席を依頼するとき
- 社内行事(懇親会や研修など)の日程を周知する際
- 顧客や取引先に対して、訪問日や納期の調整をする場合

上記のように、「いついつの時間を空けておいてほしい」と伝えたいシーン全般で使いやすい表現となっています。ただし、その丁寧さ故にややかしこまったニュアンスもあるため、カジュアルな場面には合わない場合もある点を意識しましょう。

2. 「ご予定置きください」を使うメリットと注意点

「ご予定置きください」は、相手に対して敬意を示しながらも、必要なスケジュール調整を促すことができる便利な表現です。しかし、使い方を誤ると逆に不自然な印象を与えたり、誤解を生んだりする可能性もあります。ここでは、メリットと注意点をまとめてみましょう。

2-1. メリット

1) 敬語としてのバランス
あまりにも堅苦しい印象を与えず、それでいて相手を尊重する丁寧な表現として使いやすいです。上司や取引先など、目上の方に対しても失礼になりにくいのが特徴。

2) 具体的な要請がスムーズ
「ご予定置きください」と言うことで、「日程を空けておく」という具体的な行動を依頼できるため、相手がやるべきことが明確に伝わります。

3) 遠回しになりすぎない
敬語表現の中でも、比較的ストレートに依頼の趣旨が伝わるフレーズです。「できれば時間を確保しておいてほしい」旨が伝わり、コミュニケーションのスピード感を損ないません。

2-2. 注意点

1) 乱用しない
頻繁に使いすぎると、相手に「また日程を押さえさせられる」と感じさせるかもしれません。特にスケジュール調整が多い業務の場合は、相手の都合をこまめに確認しつつ柔軟に使う必要があります。

2) 具体的な日時や目的を明示する
「ご予定置きください」とだけ言われても、相手は「何のために」「いつまで」に日程を空けておけばいいのかが曖昧になる可能性があります。日時や目的を明確に伝えるようにしましょう。

3) カジュアルシーンでは重たく感じることも
友人同士や同僚間のライトな飲み会など、あまりフォーマルではない場面では「ご予定置きください」と言うと堅苦しい印象を与えかねません。もう少しくだけた言い方に言い換えたほうが自然です。

3. 「ご予定置きください」を使うときのマナーとポイント

相手に「ご予定置きください」と依頼するときには、スケジュールを空けてもらう背景や詳細をできる限り伝えることが大切です。いきなり「この日を空けておいて」と言われても、相手としては理由や内容が分からなければ不安を感じるかもしれません。以下、使う際のポイントを解説します。

3-1. 目的や内容を明確に示す

- 「ご予定置きください」の後に、何のために日程を確保してほしいのかを一文で追加すると、相手が状況を把握しやすくなります。
- 例:「〇月〇日(〇)14時からの会議について、お時間を確保いただきたく、ご予定置きください。」

3-2. 期限や目安を提示する

- 「いつまでに検討し、返事が欲しいか」「どの時間帯を空けてほしいか」など、相手が具体的に行動しやすいよう期限や目安を加えると、スムーズに話が進みます。
- 例:「〇月〇日までにスケジュールをご調整いただけますと幸いです。」

3-3. 感謝や配慮の言葉も併せて伝える

- 相手の時間を頂くわけですから、一方的に依頼するだけでなく、「ご多忙のところ恐縮ですが」「ご面倒をおかけいたしますが」といったクッション言葉を使うと好印象です。
- 例:「お忙しいところ恐れ入りますが、〇〇の打ち合わせにつきましてご予定置きください。いつもご協力いただきありがとうございます。」

4. ビジネスメールでの文例

「ご予定置きください」を使ったビジネスメールの例文をいくつか紹介します。シーンや相手との関係性に合わせて使い分ける際の参考にしてください。

4-1. 会議への招集

件名: 〇月会議の日程調整のお願い

〇〇部 △△様

いつもお世話になっております。□□部の▲▲です。

〇月定例会議の日程が決まりましたので、ご連絡いたします。

日時: 〇月〇日(〇) 14:00~16:00
場所: 本社3階 会議室

つきましては、お忙しいところ大変恐縮ですが、上記日時にご予定置きくださいますようお願いいたします。議題の詳細につきましては、別途資料をお送りいたします。

何卒よろしくお願いいたします。

4-2. 社内研修や懇親会への案内

件名: 社内研修のご案内(ご予定置きください)

△△部 ○○様

お疲れさまです。□本部の◇◇です。

この度、業務効率化プロジェクトの一環として、社内向け研修を開催することになりました。以下の日程で行いますので、ご都合がつきましたらご参加いただけると幸いです。

日時: 〇月〇日(〇) 10:00~12:00
場所: 本社2階 セミナールーム

大変お忙しいとは存じますが、可能であればご予定置きくださいますようお願いいたします。研修の内容は添付ファイルにてご確認ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

4-3. 取引先を招待するイベントの案内

件名: イベントへのご招待(〇〇のご提案)

〇〇株式会社 △△様

平素より大変お世話になっております。□□株式会社の▲▲です。

弊社では〇月〇日(〇)に、新製品に関する発表イベントを開催いたします。誠に勝手ながら、ご参加いただけますと大変嬉しく存じます。

つきましては、当日(14:00~16:00)のご予定置きくださいますようお願い申し上げます。詳細やプログラムは添付資料をご覧いただきたく存じます。

ご多用の中恐縮ですが、ぜひご検討いただけますよう、よろしくお願いいたします。

5. 言い換え表現との比較

「ご予定置きください」とは別のフレーズでも、同じ意味を伝えることができます。状況に応じて、言い換え表現を使い分けると表現のマンネリ化を防ぎ、相手への印象をよりよくする効果があります。

5-1. 「お時間を頂戴できますと幸いです」

「お時間を頂戴する」は、相手の時間を自分のために貰うというニュアンスが強く、ビジネスでよく使われる丁寧な依頼表現です。「ご予定置きください」よりも、相手の時間をもらう行為そのものに焦点を当てる形になります。

- 例: 「〇月〇日(〇)の15時から1時間ほどお時間を頂戴できますと幸いです。」

5-2. 「日程を抑えておいていただければ助かります」

「抑える」は「確保する」とほぼ同意ですが、少しカジュアル寄りの印象を与えます。半ば依頼形の「~していただければ助かります」をつけることで、相手の都合に配慮しつつ強くお願いしていないバランスを保てます。

- 例: 「来週の火曜か水曜あたりで日程を抑えておいていただければ助かります。」

5-3. 「ご都合を合わせていただければ幸甚です」

「幸甚(こうじん)」は「非常にありがたい」という意味を持ち、目上の人や取引先に対して使うと非常にフォーマルな印象を与えます。「ご予定置きください」と同程度、またはそれ以上に丁寧度の高い表現です。

- 例: 「誠に勝手ながら、〇月〇日(〇)の午後にお時間をご都合いただければ幸甚です。」

6. カジュアルシーンでの活用と注意点

「ご予定置きください」は、基本的にはビジネスシーンやフォーマルな場面で使われる傾向がありますが、日常会話でも上品さを出したい場合には使えないわけではありません。ただし、やや硬い印象を与える点を認識しておきましょう。

6-1. 友人同士の飲み会など

友人同士の軽い約束なら「ご予定置きください」は仰々しく感じられる可能性が高いです。むしろ「空けといて」「スケジュール押さえといて」などの口語表現で十分なケースが多いでしょう。

- 例: 「今度の土曜、よかったら空けといてくれる?みんなで集まろうと思ってるんだけど。」

6-2. プライベートなパーティや結婚式など

プライベートなパーティでも、結婚式や大きなパーティなど、ある程度フォーマル感が必要なシーンなら「ご予定置きください」を使っても違和感はありません。ただし、相手があまりフォーマル慣れしていない場合は、別の言い回しを選ぶほうが自然です。

- 例: 「〇月〇日に式を挙げる予定なので、もしお時間が合えばご予定置きいただけると嬉しいです。」

7. まとめ

「ご予定置きください」は、ビジネスシーンや公式な場面で、相手に日程を確保してほしい旨を丁寧に依頼する表現として非常に便利です。適切な場面と使い方を守れば、円滑なコミュニケーションを実現し、相手に対しての敬意と配慮を十分に示すことができます。

1. 基本的な意味
- 相手に対して、ある日程や時間を確保してほしいと頼む敬語表現
- 上司や取引先など、目上の方に使っても失礼になりにくい丁寧さを持つ

2. メリットと注意点
- ストレートにスケジュール確保を依頼できる
- 過度に乱用すると堅苦しい印象や命令的に捉えられる恐れあり
- 具体的な目的・日程を明示し、相手の都合を考慮する必要がある

3. 使用上のマナー
- 相手が日程を空ける理由や期限を示す
- クッション言葉やお礼の言葉と組み合わせ、好印象を与える
- 必要に応じて参加の可否や追加質問を求めるなど、次のステップを明確化

4. ビジネスメール例文
- 会議招集:日時と場所を明記し、「ご予定置きください」と促す
- セミナー・イベントへの招待:追加資料や詳細スケジュールを併せて案内
- 社内行事:社内研修や懇親会の案内として周知する

5. 言い換え表現
- お時間を頂戴できますと幸いです
- 日程を抑えておいていただければ助かります
- ご都合を合わせていただければ幸甚です

6. カジュアルとの使い分け
- 友人間やラフなシーンでは「ご予定置きください」は堅苦しくなりがち
- 結婚式やフォーマル感のあるプライベートイベントなら使いやすい

「ご予定置きください」は、適度に丁寧かつ明確に要望を伝えるフレーズとして非常に重宝します。日程調整の際にスムーズに使えるよう、場面ごとのニュアンスや注意点をぜひ押さえておきましょう。相手の立場や状況を汲みつつ、押し付けにならないよう配慮しながら使うことが、ビジネスおよび人間関係の円滑化につながります。

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