ビジネスの場や少しかしこまった会話で「誘ってくれてありがとう」と伝えたい場面はよくあります。しかしこの表現はカジュアルな印象が強いため、そのままでは敬語として適切ではありません。相手や状況に応じて正しい敬語表現を使うことで、感謝の気持ちがより丁寧に伝わります。この記事では、「誘ってくれてありがとう」の敬語表現や言い換え方、ビジネスシーンで使える例文などを紹介します。

1. 「誘ってくれてありがとう」は敬語ではない?

1.1 丁寧な印象はあるが、カジュアルな表現

「誘ってくれてありがとう」は口語的な日本語で、親しい関係やフランクな場面では問題なく使えます。しかしビジネスや目上の人とのやり取りでは敬語としては不十分です。「くれて」「ありがとう」はどちらも直接的でストレートな感謝を示しますが、敬意を込めるには表現を変える必要があります。

1.2 敬語に直すためには主語と動詞の変化が必要

敬語に直すためには、

「誘ってくれて」を尊敬語あるいは謙譲語に変える
「ありがとう」を丁寧な感謝表現にする
という2点を考慮する必要があります。例えば「お誘いいただきありがとうございます」などが適切な敬語表現です。

2. 「誘ってくれてありがとう」の敬語表現一覧

2.1 フォーマルで無難な表現

以下の表現は、目上の人やビジネスシーンでも使える、定番の敬語です。

「お誘いいただき、ありがとうございます」
「お招きいただき、誠にありがとうございます」
「お声がけいただき、感謝申し上げます」
これらは文章としても自然で、相手に失礼のない感謝の表現となります。

2.2 さらに丁寧な場面での表現

より丁寧さが求められるフォーマルな状況では、以下のような言い回しが有効です。

「お誘いいただき、光栄に存じます」
「ご丁寧にお声がけいただき、誠に恐縮です」
「このような機会を賜り、心より御礼申し上げます」
これらは、公式な招待や重要な会合などに対して使うのが望ましい表現です。

3. 使用シーン別の例文集

3.1 ビジネスメールでの例文

例文1(会食の誘いに対して)
「この度はお忙しい中、お誘いいただき誠にありがとうございました。ご一緒できることを楽しみにしております。」

例文2(イベント招待に対して)
「このたびはご丁寧にご案内いただき、心より感謝申し上げます。ぜひ参加させていただきたく存じます。」

例文3(社内上司からの誘い)
「お声がけいただき、大変光栄です。貴重なお時間を共有できること、嬉しく思っております。」

3.2 カジュアルな敬語表現の例文

親しみを保ちつつ、敬語として成立する表現もあります。

例文1(社内の先輩向け)
「お誘いありがとうございました!とても嬉しかったです。」

例文2(協力会社の担当者へ)
「先日はお声がけいただきありがとうございました。またぜひご一緒できれば幸いです。」

4. 誤用しがちな表現とその修正方法

4.1 「誘ってくれてありがとうございます」はNG

一見丁寧に見える「誘ってくれてありがとうございます」という表現ですが、「くれて」は敬語ではないため、ビジネスでは避けましょう。正しくは「お誘いいただきありがとうございます」となります。

4.2 「ありがとう御座います」は漢字表記に注意

「ありがとう御座います」と書いてしまう人がいますが、正しい表記は「ありがとうございます」です。「御座います」は漢字ではなく、ひらがなで書くのが一般的です。

5. 書き言葉と話し言葉での使い分け

5.1 書き言葉では形式を整える

メールや文書では「お誘いいただきありがとうございます」のように、形式に沿った文体が望ましいです。特に取引先や上司への連絡では、略語や口語表現は避けるのが無難です。

5.2 話し言葉では柔らかく伝える工夫を

対面や電話では、やや柔らかい表現でもOKです。

例:
「お声がけいただいて、ありがとうございます。とても楽しみにしています。」

声のトーンや表情と合わせることで、言葉がより丁寧に伝わります。

6. 断る場合の丁寧な感謝表現

6.1 誘いを断るときでも感謝は丁寧に伝える

断る場合でも、誘われたこと自体に対しての感謝はしっかり伝えるべきです。

例文:
「このたびはお誘いいただき、誠にありがとうございます。あいにく別件があり、今回はご遠慮させていただきたく存じます。」

6.2 今後につなげるひと言を添える

「またの機会にぜひよろしくお願いいたします」など、前向きな一文を添えると印象が良くなります。

7. よく使われる敬語テンプレート集

下記はメールや文書で活用しやすいテンプレートです。

件名:〇〇のお誘い、誠にありがとうございます

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇でございます。

このたびは、〇〇のお誘いをいただき誠にありがとうございます。
お心遣いに感謝申し上げますとともに、当日を楽しみにしております。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

このテンプレートは会食、イベント、セミナーなどさまざまな誘いに対応可能です。

8. まとめ:感謝の気持ちは敬語で丁寧に伝える

「誘ってくれてありがとう」という言葉は、親しみやすい一方で敬語としては不完全な表現です。ビジネスやフォーマルな場面では、「お誘いいただきありがとうございます」など、丁寧な言い回しに変えることが必要です。相手に敬意を示しつつ、感謝の気持ちを適切に伝えることが、信頼関係の構築につながります。場面や相手に合わせて敬語表現を使い分け、印象の良いコミュニケーションを心がけましょう。

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