東京を代表する観光地として知られる「上野恩賜公園」。桜の名所や美術館・動物園で有名ですが、その正式名称「上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)」の読み方や意味を正確に知っている人は意外と少ないかもしれません。この記事では、「上野恩賜公園」の正しい読み方、名称の由来、歴史、そして見どころまでをわかりやすく解説します。

1. 上野恩賜公園の読み方

1-1. 正しい読み方は「うえのおんしこうえん」

「上野恩賜公園」は「うえのおんしこうえん」と読みます。 「上野(うえの)」は東京都台東区の地名で、「恩賜(おんし)」は「天皇からの贈り物」という意味を持つ言葉です。したがって、「上野恩賜公園」とは「天皇から賜った上野の公園」という意味になります。

1-2. 読み間違えやすいポイント

「恩賜(おんし)」の部分は日常生活ではあまり使われないため、「おんじ」や「おんしょ」と誤読されることがあります。正しくは「おんし」と読みます。ニュースや案内板でも「うえのおんしこうえん」とアナウンスされるのが正式です。

2. 恩賜公園とは何か

2-1. 「恩賜」の意味

「恩賜(おんし)」とは、天皇陛下や皇室から国民へ下賜(かし)されたものを指します。つまり、「恩賜公園」とは、もともと皇室の所有地であった土地を国や自治体に贈られた公園のことです。

2-2. 恩賜公園の例

上野恩賜公園のほかにも、「芝恩賜庭園(港区)」や「井の頭恩賜公園(武蔵野市)」などがあります。これらはいずれも、明治期に宮内省から東京府(当時)に下賜された土地を公園として整備したものです。

3. 上野恩賜公園の歴史

3-1. 寛永寺の境内がルーツ

現在の上野恩賜公園は、もともと江戸時代に建立された「東叡山寛永寺」の境内でした。寛永寺は徳川家の菩提寺として建立され、江戸の北を守る「鬼門封じ」の役割を担っていました。

しかし、1868年の上野戦争(戊辰戦争の一部)で多くの伽藍が焼失。廃仏毀釈の影響もあり、その後は寺の領地の多くが公用地となりました。

3-2. 明治政府による公園化

1873年(明治6年)、日本で最初の「公園制度」が制定され、上野の地はその候補地の一つとして選ばれました。そして1876年、明治天皇の許可を得て「上野恩賜公園」として開園。ここに「恩賜」という名称が付けられたのです。

3-3. 日本初の近代公園としての役割

上野恩賜公園は、日本における近代的公園の先駆けです。開園当初から博物館や動物園、美術館の建設が進められ、一般市民が文化・芸術に触れられる場所として発展しました。

4. 上野恩賜公園の見どころ

4-1. 上野動物園

1882年(明治15年)に開園した日本初の動物園です。現在もパンダをはじめとした人気動物が多く、子どもから大人まで楽しめる東京を代表する観光スポットです。

4-2. 東京国立博物館

日本最古・最大の博物館であり、国宝や重要文化財を多数所蔵しています。日本美術や歴史文化に関心のある人には欠かせない場所です。

4-3. 上野の桜並木

江戸時代から「桜の名所」として知られ、春には多くの花見客が訪れます。ソメイヨシノを中心とした約800本の桜が咲き誇り、夜桜ライトアップも人気です。

4-4. 不忍池(しのばずのいけ)

公園南側に位置する不忍池は、かつては寛永寺の庭園の一部でした。池の中央には弁天堂があり、ボート遊びや四季折々の自然を楽しむことができます。

4-5. 芸術と文化の中心地

公園内には国立西洋美術館、東京都美術館、東京文化会館など、芸術・音楽施設が集中しています。文化の香りが漂う「アートの街・上野」としても有名です。

5. 上野恩賜公園という名前の由来

5-1. 「上野」の地名の由来

「上野」は、かつて高台に位置していたことから「上の地」=「上野(うえの)」と呼ばれるようになったとされています。現在も上野台地は地形的に高く、見晴らしの良い場所として知られています。

5-2. 「恩賜」の由来

明治時代、宮内省が所有していた上野の土地を東京府に下賜したことにより、「恩賜(天皇の贈り物)」の意味を込めて命名されました。これは、天皇の恩に感謝し、その土地を広く国民のために利用するという意義を表しています。

6. 上野恩賜公園のアクセス情報

6-1. 所在地

東京都台東区上野公園・池之端三丁目一帯に位置しています。

6-2. 最寄り駅

・JR上野駅(公園口)から徒歩すぐ ・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」から徒歩約2分 ・京成電鉄「京成上野駅」から徒歩約3分

6-3. 開園時間・入園料

公園は常時開放されており、入園料は無料です。ただし、動物園や美術館などの施設はそれぞれ開館時間・料金が異なります。

7. 上野恩賜公園の魅力と今後の展望

7-1. 都市のオアシスとしての存在

東京の中心にありながら、豊かな自然と文化が共存する上野恩賜公園は、まさに「都市のオアシス」です。観光客だけでなく、地元の人々の憩いの場としても親しまれています。

7-2. 歴史と現代が融合する空間

江戸時代の歴史を感じさせる寺院や記念碑と、現代アートが融合した風景は、他の公園にはない独特の魅力を放っています。

7-3. 世界への発信拠点として

2020年代以降、外国人観光客の増加により、上野恩賜公園は「文化発信地」としての注目も高まっています。英語・中国語・韓国語などの案内板も整備され、国際的な観光スポットとして進化を続けています。

8. まとめ:上野恩賜公園は「歴史と文化の贈り物」

「上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)」という名称には、「天皇から国民への贈り物」という深い意味が込められています。江戸時代の寺院の地を起点に、明治以降は日本の近代化とともに歩んできた上野恩賜公園。 今もなお、歴史・自然・芸術が融合する空間として、訪れる人々に癒しと学びを与え続けています。

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