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実績紹介

ChatGPTを活用した地方商社のDX支援・大規模ECサイト設計実績

地域商社は、汎用的な事業形態を見つけづらく、その地域の現状を見定めて、柔軟に問題に向き合い、対処することが求められます。それでは、地域の現状としてどのような問題、また解決策があるのでしょうか。

栃木県は、現在総人口のほぼ3割が65歳以上であるなど、少子高齢化が進んでいる地域です。この栃木県の中に、かつて繊維の町と呼ばれた宇都宮市問屋町が存在します。

この記事においては、この町において少子高齢化という問題に直面しつつも、定まった事業形態が無いという地域商社の特徴を逆手に取ってDX化を推進した、ある繊維系商社を支援した実績について解説していきます。合わせて、最近大きなイノベーションとして世界的に注目を浴びているChatGPTを活用した事例についても解説します。

卸売業の歴史と地域社会への貢献

卸売業は、我々の生活には欠かせない産業です。特に、地域に根差す卸売業者は、地域産品の販路制作を担うだけでなく、生産段階から流通・販売まで一貫したマーケティングを行っています。

更に、市場情報へのフィードバックなどで「地域ビジネスの土台」の強化及び「地域ビジネスの成長サイクル」を描くことで、地域のプレイヤーを巻き込み更なる発展を生み出すなど、地域の活性化を促すうえで注目されるべき存在と言えるでしょう。

収益構造の把握と課題の特定

近年D2Cと呼ばれる小売業の新しい業態が注目されています。これは本来的には、メーカーなどの生産者が消費者に直接商品を販売するビジネスを指しますが、一般的には商品の企画とSNSによる顧客の獲得に重点を置いたEC事業者のような意味合いで使われることが多くなっています。

このようなEC事業の粗利率は例えばアパレルなどでは一般的には40%ほどが相場と言われていますが、伝統的な卸業者では20~25%ほどであることが多いようです。

その一方で、伝統的な卸業者では長年に渡って築き上げてきた販促網が強く、新興のEC事業者のように大量の広告出稿に依存しない継続的なB to Bの取引が安定した収益源となっているのが強みと言えるでしょう。

地域SEOの徹底による新規顧客獲得の自動化

SEOとは、「Search Engine Optimization」の頭文字をとったもので、日本語でいうところの「検索エンジン最適化」を意味します。より具体的には、自社が提供する商品・サービスの購買に繋がりやすいキーワードでユーザーがGoogle検索をかけた際に、自社のページを検索結果のより上位に表示させるための手法です。

私たちのようなIT系のサービスを提供する会社の場合には遠方の見込顧客でもオンラインで商談、クラウドでサービスを提供、とできるのですが、地域密着型の小売業者の場合にはそうはいきません。

対策の結果、「栃木県 学生服」「栃木県 スクール用品」といった検索ワードでGoogleの検索最上位に表示できるようになりました。

コンテンツマーケティングによる購買・調達の強化

ECサイトは販売する商品の仕入れ先を確保することが難しく、新規仕入れ先の開拓に苦労することが難点として挙げられます。商品は数多く出した方が集客率向上に繋がりますが、何分手間やコストがかかってしまいます。

しかし、先ほどの「地域SEO」の対策のためにSEOブログ記事を執筆していたところ、この問題に関して思わぬ副産物がありました。楽天・Amazonで運営しているショップに自社の商品を出品してみないかという打診の連絡が、国内外のメーカーや商社から頻繁に来るようになったのです。

特に楽天に関して言えば、直近の売上高が楽天内SEOで大きく影響していると言われているほか、店舗自体の総レビュー数が訪問ユーザーの転換率に関わってくるため、間接的にSEOの強化につながっていると予想されます。

楽天・Amazonの継続的売上アップのための施策立案

楽天に関しては大きくは2点の対策を行いました。商品ページのSEO対策及び広告の最適化です。

SEO対策は一般的にはGoogleの検索エンジンに対して行うものではありますが、同様のノウハウは楽天にも適用することができます。

より具体的には、楽天ユーザーの検索ニーズを想定した商品名の修正が楽天市場出店済店舗の改善施策としてはROIが高いものと考えられます。

というのも、Googleの検索エンジンは過度にSEOキーワードを詰め込んだ「キーワードスパム」のような施策を毛嫌いする傾向がある一方で、楽天市場ではキーワードをなるべく多く詰め込む施策を行う店舗が大半であり、楽天ユーザーの大部分もそれに慣れているという特徴があるためです。

(注) Googleの検索エンジンのアルゴリズムはブラックボックスではありますが、検索結果に表示されたページのクリック率や、訪問ユーザーの挙動(何秒間滞在したか、ページの何%をスクロールしたか、ブラウザバックして他のサイトを参照したか)などを参考に検索順位を決定しているとされています。そのため、読者のユーザー体験を阻害する過度なSEOキーワードの埋め込みはSEO対策上悪手であると考えられています。

Shopifyの機能拡張を活用した、オーダーメイドの学校法人向けECソリューション

従来は商社が小売店に制服などの学校用品を委託し、一定のマージンをかけて小売店が生徒に制服を販売する、という方法が一般的でした。しかし、地方の小売店経営者は高齢化の一途を辿っているので、小売店の数が減りつつあるのが現状です。一方、学校用品を必要とする子どもたちは常にいるので、彼らのために、学校用品を買うことが出来る場を新たに作る必要がありました。

そこで私たちは、この問題に対してShopifyの拡張機能を活用し、オーダーメイドの学校法人向けECソリューションを打ち出しました。このシステムにおいては、特定の学校の生徒や教師といったユーザーが、ECサイトに個人のIDやパスワードを入れることにより、その人に向けてパーソナライズドされた学校用品を提案することが可能になりました。

また、商社が小売店を介することなく発送までを行うため、小売店がかけていたマージンを得ることができ、大幅な利益を生み出すことが出来ます。

話題のAI・ChatGPTの導入で粗利の改善

伝統的な卸売業は、ITなどのサービス業と比較すると粗利率が低いことがしばし指摘されます。
打開策として、製造コストの小さい中国の工場で製造したものを輸入すると利益率が大幅に向上します。
この場合、オリジナルのデザインを作成して、中国の業者に製造する商品の仕様(長座布団カバー、枕カバー等)を指定して依頼することとなります。

しかし、繊維商品となると、発注を「生地ロット」ベースで行う必要があるので、まとめて製造する必要があることがしばし課題になります。なぜなら、販売の見込を大きく上回る生地量で製造・輸入してしまった場合、商品が計画通りに売れないと在庫として多く抱えることになるためです。

ここで、最近話題のChatGPTのような生成AIを活用することの有効性が期待されています。
より具体的には、「長座布団カバー」「座布団カバー」「枕カバー」「ベッドカバー」「敷きパッド」など、同一デザインを共用できるものについては同じ生地ロットで作成することにより、商品の在庫数を分散させることができます。

この共通デザインの生成及び、商品ラインナップとデザインパターンのマッチングの最適化を生成AI及び独自アルゴリズムの活用でより小さい工数で実現することができると考えられます。

繊維系事業者向けに生成AIを活用する際のコツ

生成AIを活用して希望通りのデザインを作成したい際に、何かコツのようなものはあるのでしょうか。
ここでは、実際にChat GPTとCanva AIを用いて「座布団カバー」のデザイン作成をした結果わかったことを、事例を挙げながら解説いたします。

AIは煩雑な言葉ではなく、シンプルでわかりやすい言葉を認識しやすいことはイメージしやすいのではないかと思います。なので、AIに指示を出す際には「〇〇な座布団カバー」など、主体となる名詞を最後に置いたシンプルな言葉を使うと、AIが望み通りに機能しやすいです。

また、このことに関連して言えることですが、Chat GPTが提案した具体的な表現をそのままの文や文末だけ変えた文でCanva AIに送信すると正しく画像が生成されない場合があるので、手動で適切な形に直す必要があります。特にChat GPTが複雑な文章を記述した際に注意すべきでしょう。

例えば、Chat GPTが生成した文章から「市松模様の中に赤や青の糸を使った」という部分を抜粋し、「市松模様の中に赤や青の糸を使った座布団カバー」と文末だけ変えてCanva AIに送信すると、赤と青のストライプ柄のマットレスの画像が生成されました。「赤や青色の市松模様座布団カバー」や「赤色の市松模様の座布団カバー」とChat GPTが判別しやすいシンプルな言葉に直すと、望んだデザインである、赤や青の市松模様の座布団カバー画像が正しく生成されました。

加えて、柄名や色名、デザインという言葉を言わないと少しずれた画像ができあがることがあるので、このどれかは入れるべきと言えます。例えば「ハロウィンに適した座布団カバー」と入力すると、黒い座布団の上にかぼちゃが置かれた画像が生成されました。勿論これも一つの案かもしれませんが、かぼちゃという小道具がなければハロウィン感が出せないので、単体でハロウィンらしさを演出できる座布団カバーデザインを編み出したいときには適しません。「ハロウィンに適した柄の座布団カバー」と直すと、ハロウィンらしい、かぼちゃのイラストが描かれた座布団カバー画像が出来上がりました。

また、幅広いデザインを検討したい際にはChat GPTが作成した抽象的な文章を抽出してCanva AIに伝えると、独創的なデザインが生成されやすいです。例えば、Chat GPTが作成した「春や夏にぴったりなさわやかなデザイン」という部分を抽出し「春や夏にぴったりなさわやかな座布団カバー」という文にしてCanva AIで画像を生成すると、若草色の木が描かれた座布団カバーや水色と黄の菱形があしらわれた布団カバーなどのデザインが生成されました。

地方商社の今後

人口減少や少子高齢化などの問題が山積し、地域社会の結び付きが弱くなっている今日、その結び付きを今一度強くし、未来の世代が健やかに暮らしていける礎を築いていく必要があります。地方商社はその結び付きを強める糸となり、礎となり、地域の活性化を促進することに大いに貢献することでしょう。

私たちTuring Technologies株式会社はデータ分析に基づく小売業者の支援を得意としています。レベニューシェアや成果報酬制でのお取組みも可能ですので、業務提携等にご興味のある小売業者様はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

おまけ

最後に、この事例でご紹介したChat GPTに「Chat GPTは繊維業界に貢献できるのか?」と質問した際の回答が興味深かったためご紹介させていただきます。

【ChatGPTの回答】
はい、ChatGPTのようなAIモデルは繊維業界においてさまざまな貢献をすることができます。

テキスタイルデザインのサポート: AIモデルは大量のデザインデータを解析し、テキスタイルデザインの傾向やパターンを抽出することができます。これにより、デザイナーはより創造的で魅力的なデザインを生み出すためのインスピレーションを得ることができます。

マテリアル・テクノロジーの開発: AIは材料科学やテクノロジーの分野でも活用されています。繊維業界においては、新しい素材の開発や製造プロセスの最適化などにAIが貢献できます。例えば、特定の特性を持つ繊維の開発や、環境に優しい製造方法の研究などがあります。

プロダクト開発と改善: AIモデルは市場の需要やトレンドを分析し、製品の開発や改善に役立つ情報を提供できます。需要予測や消費者の好みの分析により、需要に合わせた製品開発や効果的なマーケティング戦略の策定が可能となります。

サプライチェーンの最適化: AIは予測分析や最適化アルゴリズムを活用して、サプライチェーンの効率性を向上させることができます。生産計画や在庫管理の最適化、物流の効率化など、繊維業界におけるサプライチェーンの課題を解決するためにAIが活用されています。

持続可能性への貢献: AI技術は繊維業界における持続可能性の向上にも役立ちます。例えば、エネルギー効率の最適化、廃棄物削減、リサイクル技術の開発などにAIが貢献することが期待されています。

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